3歳で初めてジンベエザメと一緒に泳いだ空くん

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メキシコ、ムヘレス島(撮影:越智隆治)

今回のジンベエスイムスペシャルトリップには、今年3月のタイのediveの企画したファミリークルーズで一緒だった、菊池ファミリーも参加した。

菊池さんご家族(撮影:越智隆治)

お父さんの暁君は、以前タイのタオ島にある、ブッダビューというダイビングサービスで日本人マネージャーをしていて、取材で何度かお世話になったことがある。

彼等の子どもたちは、小学校4年生の長女、海ちゃん、2年生の遥君、そして、3歳の空君。
僕らの息子の海友が4年生で、二男の颯友が1年生なので、タイのファミリークルーズでも意気投合していたことから、話が盛り上がり、丁度お互いに、こちらの方面に来る機会があったので、スケジュールを合わせて、ムヘーレス島で合流した。

INTO THE BLUE + ocean+αでチャーターするジンベエザメのスペシャルトリップ
結構ファミリーからの参加の問い合わせもあったのだけど、「ほんのちょっと見たいだけなら、デイトリップの船が沢山出てますよ」とアドヴァイスしていた。
何故なら、僕らのチャーターは、長く泳ぎたい人、沢山撮影したい人をメインのゲストにと考えていたからだ。

僕らのチャーターは、どの船よりも早く出港して、どの船よりも遅くまでいてくれる。
だから、ジンベエと泳げる時間は、1日で長くて6時間以上になる。
それだけ撮影に集中できるし、沢山泳げるわけだ。

デイトリップの船だと、現場に2時間もいない場合も多い。
しかも、泳ぎ慣れていない人の参加が多いから、ガイドと2~3名のゲストが一緒に入っている間は、他のゲストは船上で待っていなければいけない船が多い。

こちらは、基本的にプロフェッショナルな人を中心にしているから、自己責任ではあるけど、ほとんどの場合、皆、好きにエントリーして泳いでもらっている。

たまたま、現地で仲良くなった日本人ファミリー(上の子が4年生、下の子が1年生)が、「参加させて欲しい」と言ってくれたのだけど、どうしても人数的に無理があったので、デイトリップの会社に参加してジンベエザメを見に行ってもらった。
ただ、やはり順番で入らなくてはいけなくて、しかも、入れるチャンスが2回だけだったとか。

それに、ガイドが付きっきりで手を引いているから、思うように動けなくて、下の子はかなり海水を飲んで大変だったそうだ。

海に慣れていない子どもだと、船酔いの心配もあるから、早く帰れるデイトリップの方がおすすめかと思っていた。
しかし、今回、自分の子どもや、暁君たちの子どもを乗船させてみて、「船酔いなどしているのに、少ないチャンスで順番が来たからと言って無理矢理入れて、ぱっと見ておしまい」みたいな感じより、長く現場にいて、船酔いが回復したり、僕らや周囲の人が泳いでいるのを見て、徐々に泳ぐ決心をしたり。
そういう意味で、子どものペースに合わせられる事は、チャーターのメリットだと感じた。

あとは、一人で躊躇していたのに、友だちが入っていると、競争心と安心感が芽生えるのか、結構平気で泳げるようになっていたりとか。

同じ海域で、冬の時期泳ぐバショウカジキは、海が荒れていることが多いからできないけど、このジンベエスイムの夏の時期は、海も穏やかな日が多いから、それも可能だなと感じた。

そして、今回3歳の空君が、ジンベエスイムに初挑戦。
4日間のうち、空君が乗船したのは、最後の1日だけ。

しかし、その前にお兄ちゃん、お姉ちゃんがジンベエやマンタと泳いだ話を聞いたからか、「僕も泳ぐ」と決意も固く、最終日に船に乗り込んだ。
でも、前夜には、「サメが大きいし、ソラは小さいから食べられちゃうかも・・・」と若干弱気になっていたらしいのだけど、いざ船に乗ると、その顔は3歳ながら、「ボク、がんばるぞ!」という気合いで満ちあふれているようだった。

ジンベエザメと泳ぐ3歳の空君(撮影:越智隆治)

まずは、ボートの上からお父さんに抱っこされて、世界最大の魚、ジンベエザメがどれくらい大きいかを確認。
びびるかと思ったけど、意外と平気。

ジンベエザメと泳ぐ3歳の空君(撮影:越智隆治)

最初は両腕にフロート、ライフジャケット、それにゴーグルを付けて、お父さんに連れられてエントリー。

ジンベエザメと泳ぐ3歳の空君(撮影:越智隆治)

でも、お父さんが気合い入れて速く泳ぐものだから、呼吸のタイミングが合わず、海水を沢山飲み、鼻からも海水がいっぱい入ってしまって。しばらくダウン。

ジンベエザメと泳ぐ3歳の空君(撮影:越智隆治)

途中、海に入るのを嫌がっていたけど、他の皆が泳いでいるのを見て、再度入ることを決意。
今度はお姉ちゃんのマスクとスノーケルを借りて、再び、お父さんに抱っこされながら、やって来るジンベエザメにアプローチ。
そして、念願のジンベエザメとマンタに遭遇!といっても、3歳で念願だから、贅沢だけど。

でも、親としては、そんな小さな息子が、なかなかできない体験をできるは嬉しいもの。
僕もなんとか好ポジションに回り込んで撮影を試みた。

最初のアプローチでは、暁君が邪魔で空君が見えない。
「もう1回!」とチャレンジ、今度は良いタイミングで、ジンベエザメとそれを水中で見る空君を撮影できた。

ジンベエザメと泳ぐ3歳の空君(撮影:越智隆治)

「やったね!」とお父さんと空君がハイタッチ。
しかも、今まで使った事のなかったスノーケルもその時に、何も教えていないのに使えるようになっていた。

「空君、ジンベエ、どんなだった?」の質問に、「おおきかった!でも怖くなかったよ」と満面の笑み。

ジンベエザメを見終わって、島に戻ってからの空君、なんかちょっと大人っぽくなった感じだったな。
いっつもお姉ちゃんの海ちゃんに、「赤ちゃん」と呼ばれてるのに対しても、「赤ちゃんじゃない!」と抵抗してみたり、遥君や颯友に闘いを挑んでみたり。
それまでは一人マイペースで遊んでいたのに、お兄ちゃん、お姉ちゃんたちの走り回るのに、一緒について行くようになったり。

ジンベエと泳いだ経験は、3歳の空君にとっては、ちょっとお兄ちゃんになった事への大きなステップだったのではないかと感じた。

こういう経験を通して、子どもの心が成長していくのを目の当たりにするのは、大人である自分にしても、本当に嬉しくて、何ものにも代え難い経験だと思った出来事だった。

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PROFILE
慶応大学文学部人間関係学科卒業。
産経新聞写真報道局(同紙潜水取材班に所属)を経てフリーのフォトグラファー&ライターに。
以降、南の島や暖かい海などを中心に、自然環境をテーマに取材を続けている。
与那国島の海底遺跡、バハマ・ビミニ島の海に沈むアトランティス・ロード、核実験でビキニ環礁に沈められた戦艦長門、南オーストラリア でのホオジロザメ取材などの水中取材経験もある。
ダイビング経験本数5500本以上。
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