オーストラリア・グレートバリアリーフでダイビング!(第21回)

ダイビングデビューの理想形?「Cカード取得後そのままバディ潜水」に密着!(前編)

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オーストラリアのバディダイビング(撮影:越智隆治)

ケアンズといえば、バディ潜水のメッカですが、Cカードを取得直後、いきなりバディダイビングをするダイバーも珍しくないそうです。

バディダイビング(撮影:越智隆治)

プロダイバーと潜るスタイルが一般的な日本のダイビング事情から考えると驚きですが、実際にどんなものかと、ダイビングの教育プログラムに定評のあるディープシーダイバーズデン(以下、DSDD)で、Cカード講習→即バディ潜水というダイビングスタイルに密着してきました。

オーストラリアのバディダイビング(撮影:越智隆治)

宇田千佳子さんと井渕慎弥さんに密着

まず、DSDDのCカード取得のオープンウオーターコースは最低でも4日間。
プール講習もみっちり2日間やることになります。

短期間でのCカード講習の問題が指摘されることがありますが、問題視するインストラクターやガイドが最もよく指摘するのが「プール講習をもっとしっかりやるべき」ということ。

ダイビングのスキルを練習しマスターするプールは講習の要。
海洋実習はあくまでプールで身に着けたものの実践という位置づけです。
1日では十分でなく、ましてや半日足らずでは厳しいので、せめて2日欲しい、という声をよく聞きます。

そういう意味では、学科とプールをおよそ9:00~18:00の時間、2日間でみっちり行なうDSDDのプログラムはひとつのモデルケースといえるでしょう。

DSDDのプール施設(撮影:越智隆治)

DSDDはケアンズ市街に、深度の2段階ある大きなプールを所有

学科とプールを終えたら3日目からいよいよ海洋実習です。
ケアンズから1時間ちょっとのノーマンリーフへ。

講習生は、船酔いでふらふらになりつつも、ストレスなく初めての海の世界を楽しんでいる様子でした。

オーストラリアのバディダイビング(撮影:越智隆治)

名物のナポレオンも一緒

海洋講習の初日が終わると、オーバーナイトクルーズに参加した講習生2人は、宿泊船に乗り込みまったり過ごします。

翌日、海洋実習2日目。
講習生もすっかり海にも慣れ、時間を有効に使えるオーバーナイトの2人はお昼には無事にCカード取得!

オーストラリアのバディダイビング(撮影:越智隆治)

そして、いよいよファンダイビングデビュー!

午後はいよいよ講習生の2人だけのバディ潜水でファンダイビング……の予定が、悪天候のため、宇田さんが体調不良でファンダイビングをパス。
急きょ、僕がもうひとりの講習生・井渕さんのバディとなって潜ることになりました。

オーストラリアでのバディダイビング(撮影:越智隆治)

バディ潜水では、井渕さんをリーダーにし、基本的には僕は何もしないでついてくということに。

ブリーフィングでイントラのマサさんと決まりごとを確認(残圧50でエグジット、最大50分まで、無減圧潜水、水深18メートルを超えない、迷ったとき、はぐれたとき…などなど)。
その後、水中マップでコースの説明を受けいよいよ初めてのバディダイビング。

バディダイビング前のブリーフィング(撮影:越智隆治)

ロープ沿いにエントリーし、左肩を壁にして、残圧110になったら折り返してくるというシンプルなナチュラルナビゲーション

エントリーから潜降までスムーズにこなした井渕さんは、その後、コース取りに集中しているため、泳ぐのが速い速い(笑)。
どこまで泳いでいくのかと思ってついていくと、きっちり残圧110でターン。

ブリーフィングで紹介された、ナポレオンやホワイトチップまで楽しむ余裕を見せ、最後はちょっと方向を間違ったので、さりげなく修正して(笑)、無事にエグジットすることになりました。

オーストラリアのバディダイビング(撮影:越智隆治)

これぞ理想のダイバーデビュー!?

バディダイビングに密着し、自由に海を楽しんでいたCカード取得直後の井渕さんを見て、率直に、これこそ「Cカードを取得したらバディ潜水をしていいよ」という、教科書通りの講習だと思いました。

自分の頭で考えて潜らねばならないので、ブリーフィングは必死に聞きますし、講習で習ったバディチェックから決まりごとまで、完璧に守ろうという意識が強い。
安全意識を含めた講習内容を最終的に刷り込む“補強”という意味でも、ダイビングを主体的に楽しむきっかけとしても、とても効果的だと思います。

一方、不安も感じなくはありません。

「怖さはありませんでしたが、まだ不安だなーとも思いました。方向を間違ったり、水深が17mともう少しで18mに行ってしまいそうだったり(注:「OWだと18mまで」と教えられたので、水深を守る意識が高い)、自分で潜るのはまだ少し不安です」とご本人も言うように、取ったばかりで当たり前ですが、見ていてまだ危なっかしい。

実際、全員が全員、いきなりバディダイビングデビューできるわけではないようです。

「やはり講習でその人のスキルや海況を見極めてOKならということですね。少なくとも、講習の最後のダイビングで、私の手を借りずに基本的なダイビングの一連のことをこなせることが条件です。だいたい6~7割くらいの方は問題なく送り出していますが、ちょっと厳しいと思った方はイントラと潜ることをおススメしますが、だいたい本人自身が不安で『インストラクターさんと潜りたい』と言ってきますね」とマサさん。

他の海でCカードを取得したダイバーが、グレートバリアリーフでいきなりバディ潜水をすることになって、レスキューされてしまった、なんて話も実際にあるようです。
また、Cカード取得後もプロと一緒にがっつり潜ることは、安心してスキルアップにつながることも事実。

そういう意味では、講習中、マサさんが「最後はイントラと一緒ではなく、二人で潜るんだから…」と、ことあるごとにバディ潜水を意識させ、バディ潜水を前提とした講習をしていましたが、講習生とイントラがバディ潜水が前提のダイビングに意識が向いていて、受け入れるダイビングフィールドも体制が整っていることが、いきなりバディ潜水デビューできる条件でしょう。

いずれにせよ、「とても楽しかったです。サメも見られたし、いい経験になりました。今度は地元の新潟から佐渡に潜りに行きたいです」(井渕さん)、「今度は沖縄で潜ってみたい!」(宇田さん)と、また海で会いそうなダイバー仲間が増えたことは何よりでした。

オーストラリアのバディダイビング(撮影:越智隆治)

※後編へ続く

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writer
PROFILE
法政大学アクアダイビング時にダイビングインストラクター資格を取得。
卒業後は、ダイビング誌の編集者として世界の海を行脚。
潜ったダイビングポイントは500を超え、夢は誰よりもいろんな海を潜ること。
ダイビング入門誌副編集長を経て、「ocean+α」を立ち上げ初代編集長に。

現在、フリーランスとして、ダイバーがより安全に楽しく潜るため、新しい選択肢を提供するため、
そして、ダイビング業界で働く人が幸せになれる環境を作るために、深海に潜伏して活動中。

〇詳細プロフィール/コンタクト
https://divingman.co.jp/profile/
〇NPOプロジェクトセーフダイブ
http://safedive.or.jp/
〇問い合わせ・連絡先
teraniku@gmail.com

■著書:「スキルアップ寺子屋」、「スキルアップ寺子屋NEO」
■DVD:「絶対☆ダイビングスキル10」、「奥義☆ダイビングスキル20」
■安全ダイビング提言集
http://safedive.or.jp/journal
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