2014年の御蔵島シーズンイン!赤ちゃんイルカの姿も

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少し間が空いてしまいました。ごめんなさい!
そうこうしている間に、御蔵島のイルカウォッチングが解禁しています。

お客様もチラホラと来られていますが、今年は水温が冷たい!
黒潮が南に進路を取っており、ちょうど御蔵島は冷水塊に囲まれています。

船長さんに聞いても、17℃…ない所もある、とのこと。
1-2月でも18度ほどある御蔵島では、かなり寒い方になると思います。

御蔵島のイルカ(小木さん提供)

そんな中、3月24日に出航した船長さんから「もう赤ちゃん見たよ!」との報告がありました。
例年の出産は、早くても4月に入ってから、ピークは6-7月なので、かなり早い報告です。

誰が産んだのかなぁ、、、と思っていた所、4月9日に出航したガイドさんが写真を撮って来てくれました。

1995年生れで、今年19歳の若いお母さんイルカでした。
ヤンママ?いえ、イルカのメスは、平均でも10歳くらいで性成熟する(妊娠できるようになる)事が分かっています。
御蔵島では、最年少は7歳で出産した記録もあります。

ということは、妊娠期間が約1年と考えても6歳で性成熟していた事になります。
ここ数年の観察では、若いお母さんイルカの出産が目立つようになってきました。

御蔵島のイルカ(小木さん提供)

ただ、出産回数の多いベテラン母ちゃんに比べて、若いお母さんイルカの子育ては、あまり上手ではないようです。

御蔵島でイルカの子育て行動について行われた研究では、ベテラン母ちゃんの子供より、初産のお母さんの子供の死亡率が高い事が分かっています(木村, 2009)。

同様に、子育て行動もベテラン母ちゃんと若いお母さんで異なる事が報告されています(木村, 2009)。

御蔵島は、ここ数年イルカ頭数が減少しました。
詳しい理由は分かりませんが、利島や大島等への移出個体や赤ちゃんの死亡率が増加したことが直接の原因のようです。

過去20年に渡って観察され続けてきたベテラン母ちゃんイルカが昨年から見られなくなり、もしかしたら母イルカの世代交代の時期なのかもしれません。
いずれにせよ御蔵島では、「イルカの子育て」の邪魔にならないようイルカウォッチングを進めていかないと!と思っています。

海で会えたら誰しもが喜ぶ赤ちゃんイルカ。
普段、イルカなんてあまりかわいいと思っていない私でも「ちょっとかわいいかも」と思ってしまうほどです。

そんな赤ちゃんですが、必要以上に追いかけたり、近づいたりしないよう、そっと見守るようなウォッチングを行っていきたいと思います。

さあ、御蔵島のイルカはシーズンインです。
今年は何頭くらいの赤ちゃんイルカが産まれるでしょうか?
ぽこぽこ産まれて、どんどん育って、がんがん出て行って、東京の島々がイルカだらけになっても面白いでしょうね。

引用文献
木村康香. (2009), 御蔵島ミナミハンドウイルカ個体群における出産経験の繁殖成功への影響. 三重大学修士論文, pp.70.

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writer
PROFILE
山形大学農学部で、テントウムシの産卵生態を研究をしていたが、「もうちょっと大きな動物を研究したいなぁ」と路線変更。
三重大学大学院在学中に、御蔵島をフィールドとしてイルカの行動研究を始める。

2004年、御蔵島で観光協会設立に関わり、同大学院を中退。
現在、御蔵島観光協会勤務。

観光案内業務、エコツーリズムの普及活動、イルカの調査取りまとめを行っている。

■著書:
「イルカ・ウォッチングガイドブック」水口博也(編著)144pp. ウォッチングと生態研究の両立-御蔵島のイルカをめぐって
「クジラと日本人の物語―沿岸捕鯨再考」小島孝夫(編集) 第4章クジラと遊ぶ..
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