バショウカジキスイム最終日。釣れる群れと釣れない群れの違いとは?

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メキシコ、バショウカジキスイム(撮影:越智隆治)

今年の自分自身のバショウカジキチャータートリップ最終日。
昨日と変って、快晴の予報。
風は強いけど、向きはそんなに悪くないはず。
そう思って、ホテルから出て、カートに乗り込む。
しかし、なんだか気温が暖かい感じ。

(う〜ん、なんか変?予報と違うかな)
と思いながら、港へ。
ゲストの皆は、この日見られれば5日間連続なので、かなり気合い?が入ってる感じ。
しかし、それとは、裏腹に、キャプテンのロヘリオの浮かない表情。

「おはよう」と挨拶すると、「タカ、今日はどうするんだ?出るのか?」と半笑いしながら聞いてきた。
「何で?波高い?」と訪ねると、「まあ、晴れてるから、波も高いけど、風向きがね」と言う。

確かに、風向きが予報より1日早く変ってしまった感じだ。
そうは言っても、最終日。
「出れるなら出ない訳にいかないだろう。それとも、出れないの?」と訪ねると「ま~、とにかく出てみるか」と昨日までのテンションとは打って変って、あまりモチベーションが高くないロヘリオ。

漁師としての経験から、確率が低いこともわかっているからなのだろうか。
でも、week2も、week3もそんな厳しい状態で見つけることができたわけで、確率0%じゃないから。
そう思いながらも、ゲストの皆には、捜索状況が悪くなった事を伝えた。
もし、見れてないメンバーであれば、そんな事最終日に伝えるのも恐ろしい。

とにかく黙って、何がなんでも探すしかない。
しかし、4日間連続で見れてる人たちの反応は、もう自信満々だ。
「今日も見れる気がする」と一様に答える。
根拠は無いのだけど、その勢いは必要だろう。
ただ、両方の状況を知っている自分としては、見るのに苦労した人たちの事考えると、複雑な心境になる。
(もっと、こう、毎週均等に見れてくれればいいのに)と思ったりもする。
まあ、ただ、それが野生の生き物を見るときの醍醐味でもあるわけだ。

とにかく、荒波の中出港。
波は昨日より高いけど、晴れているから、気分的には悪くない。
でも、捜索中音楽を聞くためにもってきていた、iPhoneを忘れてしまった。

この日も波が高くて、遠くに行けない。
昨日リーサルウェポンから鳥山を譲ってもらったエリアへとゆっくりと北上する。
心無しか、キャプテンのロヘリオも、クルーのウヮンも、昨日までと違ってリラックスしている。

昨日と同じポイントまで付くと、自社のフィッシュングボートの他数隻が釣りをしていた。
周りには沢山のグンカンドリたちがいる。
なんとな~く、ばらけていて、皆もあまり探してない感じ。
ロヘリオも後ろを向いて、ウヮンと話し込んでいた。

とそんなとき、目の前に鳥山が・・・。「あれ、バショウカジキじゃん」と僕が指差すと、振り返ったロヘリオが「あ、本当だ」と不意をつかれたように答えた。
鳥山には、すでにフィッシングボートが付いていた。
確認すると昨日群れを譲ってくれた、リーサルウェポンだった。
無線で連絡すると、この日は、20分だけ譲るから、その後群れを返してとの返事。
海が荒れているし、このワンチャンスかもしれない。
でも、これが見れれば5日間連続達成。
皆、無言で準備を始めていた。
毎日泳いでいたから、準備も手慣れたものだ。

荒れ具合は昨日より激しいので、今回もばらけないよう、バショウカジキが移動しているようなら、無理に追いかけない事を皆に伝えてエントリー。
しかし、その心配は無く、すでにイワシ玉は止まるのに丁度良いサイズになっていた。

皆が留まって明るい空の下で撮影を続ける。
自分はたまに船を確認しながら、撮影を続けた。
20分を越えた頃、ロヘリオが船に戻るようにサインを出した。

皆に「船に戻って下さい!」と伝えて戻させるのだが、ここで気になることが一つ。
僕ら全員戻ってしまったら、あっと言う間に食い尽くされてしましそうなイワシ玉のサイズだった。
ちょっと自分だけ残って、イワシ玉を守っていようかと思ったけど、そういう打ち合わせもしていなかったし、向うの船も状況がわからずに、自分が浮いていたら、海が荒れているから近よって来れないだろうと判断して、船に戻った。

リーサルウェポンは、僕らが全員上がったのを確認して、荒れた海をゆっくりと鳥山に接近していく。
しかし、そこで、不安に思っていた事が・・・。
グンカンドリたちが、空高く散り始めたのだ。つまり、バショウカジキにイワシが食い尽くされて、バショウカジキの群れもばらけてしまったということだ。

「気まずいね」とロヘリオと顔を見合わせた。
コンディションの悪い中、2日間続けて譲ってくれたのに、本当に申し訳無い。
「今度から、船が入れ替わるまで、やっぱり自分が最後まで近くにいることにした方がいいね」とロヘリオに伝える。
ただ、ゲストが自分だけ残ることに、不満を感じないか、それだけが気になるところだけど。

何故、昨日は、譲ってくれたまま、ずっと泳いでいて良くて、この日は、20分で返してと言われたかと言うと、同じバショウカジキの群れでも、激しく食いついてくる時と、そうでない時があるらしく、昨日はまったく食いついて来なかったのだそうだ。
でも、今日のは、かなり食いつきが良くて、釣りを続けたかったらしい。

それを聞くと増々、申し訳無いと思った。
ゲストが満足してくれる事も重要だけど、こうして、泳ぐことに協力してくれる地元のフィッシャーマンたち、その船のゲストたちにも、同じように、配慮してあげないと、といつも思う。
それは、トンガでもバハマでも一緒だけど、見れた人たちは、もうそれだけで満足だから、自分はどうこうする必要はない。
苦労した人たち、見れなかった人たちにどう接するか、それが一番重要な事だと思う。

まあ、とにかく、状況の悪い中、5日間連続スイム達成。
これで、今年のトータルでは、20日間で、14日間。
7割の大台に乗って、最後のトリップを終了した。

メキシコ、バショウカジキスイム(撮影:越智隆治)

参加して下さった皆さん、お疲れさまでした。
ちなみに、来年のスケジュールは、以下を予定しています。
すでに、年末年始はお問い合わせ多数で、満席状態です。
ボートをもう一隻チャーターするかもしれません。
一隻、4人限定です。

メキシコ、バショウカジキスイム(撮影:越智隆治)

1週目 2013年12月29日(日)~2014年1月5日(日)、ボート5日間乗船
2週目 2014年1月4日(土)~2014年1月11日(土)ボート5日間乗船
3週目 2014年1月11日(土)~2014年1月18日(土)ボート5日間乗船
4週目 2014年1月18日(土)~2014年1月25日(土)ボート5日間乗船
5週目 2014年1月25日(土)~2014年2月1日(土)ボート5日間乗船

上記は、日本発着の最短日程です。
これの前後に、セノーテダイビングなど組み込むことも可能です。
このスケジュールはあくまで予定です。
場合によっては、多少日程が前後する可能性もあります。

詳しくはこちら↓もご覧ください。

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PROFILE
慶応大学文学部人間関係学科卒業。
産経新聞写真報道局(同紙潜水取材班に所属)を経てフリーのフォトグラファー&ライターに。
以降、南の島や暖かい海などを中心に、自然環境をテーマに取材を続けている。
与那国島の海底遺跡、バハマ・ビミニ島の海に沈むアトランティス・ロード、核実験でビキニ環礁に沈められた戦艦長門、南オーストラリア でのホオジロザメ取材などの水中取材経験もある。
ダイビング経験本数5500本以上。
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