初めて行った久米島で課せられた難しい水中撮影テーマとは

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久米島のダイブエスティバンのボート(撮影:越智隆治)

久米島のダイブエスティバンで、オーシャナロケを行なっている。

個人的に、久米島に上陸するのは今回が初めて。
当然エスティバンで潜るのも初めて。
オーナーである川本剛志さんと潜るもの初めて。

川本さんはガイド会の会長でもある。
ガイド会を知っている人ならわかると思うけど、魚の生態などにめちゃくちゃ詳しいガイドが集まっていて、川本さんは、その筆頭なわけだ。

今までもガイド会のガイドの方と取材で潜った事は何度かあるのだけど、いつも「自分の海をどう写真で表現してくれるのか、プロのお手並み拝見」と勝負を挑まれているような、そんな緊張感を持って取材に挑んでいる。
サッカーで言うところの、彼等にとってホームの海に、めちゃくちゃアウェイな立場で乗り込む感じだ。

そして、当然の事ながら、そのテーマがまたハードルが高い事が多い。
今回も、事前の打ち合わせで、川本さんから「繁殖行動」というキーワードを聞かされていて、久米島に来てからも事前のブリーフィングは受けていたのだけど、実際の繁殖行動がどんなもので、どう撮影できるのかは、一度潜ってみない事には、100%把握するのは難しい。
いや、潜ったところで、100%把握できるかといったら、正直無理な話。

久米島のハナゴイ(撮影:越智隆治)

婚姻色を出したオス(上)のハナゴイが、メスを誘惑する

それでも、当然何らかの成果を残さなければいけない。
今回、繁殖行動を狙うのは、スミレナガハナダイ、ハナゴイ、キンギョハナダイなどのハナダイ系に、ヒレナガヤッコ、ヘラルドコガネヤッコなどのヤッコ系がメイン。

久米島のヘラルドコガネヤッコ(撮影:越智隆治)

オス(手前)が卵を持ったメスのお腹を刺激する、ナズリングという行動を行なっているヘラルドコガネヤッコ

水温の上がるこの時期から、魚たちの繁殖行動、放精放卵が活発になる。

しかも、それらの繁殖行動は、サンセットダイブ中のそこかしこで全て行なわれるので、そのワンダイブで撮影しなければいけない。
魚の繁殖行動って、分かる人にはわかると思うけど、とにかく激しく動き回ることが多い。
それを瞬時に撮影するのは本当に至難の技なわけだ。

ペアリングしている状態が撮れるだけでも恩の字。
卵を写すのは至難の技。

そう言われはしたものの、「いや、やっぱりどれか一つくらいは、卵が写ってる写真を撮影したいです。もう一回サンセットダイブやらせて下さい」…と、うっかり本音をもらし、自らハードルをあげてしまった。
という事で、おそらく川本さんの心中では1ダイブだけで終了だったサンセットダイブを、もう一度トライすることになった。

一度、要領を把握したからには、絶対に撮影したい。
もう後が無いPK戦。
そういう意気込みで撮影に挑みます。

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PROFILE
慶応大学文学部人間関係学科卒業。
産経新聞写真報道局(同紙潜水取材班に所属)を経てフリーのフォトグラファー&ライターに。
以降、南の島や暖かい海などを中心に、自然環境をテーマに取材を続けている。
与那国島の海底遺跡、バハマ・ビミニ島の海に沈むアトランティス・ロード、核実験でビキニ環礁に沈められた戦艦長門、南オーストラリア でのホオジロザメ取材などの水中取材経験もある。
ダイビング経験本数5500本以上。
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