Project AWAREとは? 〜ダイバーができる10のことVol.1 〜

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神秘的な水中世界。思いがけない出会いや、一生の思い出、日常を忘れさせてくれる水中でのひと時。誰よりもその虜になっているのが、海を身近に感じる私たちだ。

そんな癒しの空間が様々な危機に陥っていることは、既に知っているだろう。
一方で、自分自身に何が出来るのか分からず、行動に移せていない人も多いのではないだろうか。

今回は、環境保護団体Project AWARE(以下、プロジェクトアウェア)が推奨する「海の惑星を守るためにダイバーができる10のこと」を紹介していく。自分自身のダイビングスキルを見直すとともに、ダイバーとしてサステナブルな社会への取り組みに参加するきっかけとなれば幸いだ。

Project AWAREとは?

「Project AWARE」とは、世界で最も有名なダイビング指導団体・PADIが海洋環境保護を目的として立ち上げた非営利組織であり、「全てのダイバーによる全てのダイビングで、海の惑星である地球を守ろう」とスローガンを掲げている。
大きな取り組みとして、毎年AWAREデザインカードを発行しており、認定されたダイバーは500円以上を寄付することでAWAREオリジナルCカードへの変更が可能となっている。これにより集まった寄付金は、サメやエイの保護や水中清掃などの活動に補填するという仕組みだ。

また、ダイバーから回収されたゴミから地球上の海洋ゴミにおいて最も包括的な海中データを作成し、地方自治体や研究者などに共有することで、世界の環境活動に役立てている。
2018年には、米国カリフォルニア州オレンジ郡の監理委員会から、100万個の海洋ゴミ回収に達成したという偉業を表彰されるなど、国内外で様々な取り組みが評価されている組織である。

HP:https://www.projectaware.org/
Instagram:https://www.instagram.com/projectaware/

海の惑星を守るためにダイバーができる10のこと

ここでは実際にプロジェクトアウェアが推奨している、海と深い関わりを持つダイバーだからこそできる10のことを紹介していく。全てを取り組むことは難しいだろうが、まずは自分に出来ることを見つけ、行動に移すきっかけにして欲しい。

①浮力の達人になりましょう

水中生物は見かけによらず、繊細な生物が多い。悪気はなくても、フィンや器材が触れただけで生き物を傷をつけてしまうことがある。中性浮力を完璧に習得することで、衝撃に弱いサンゴの上も気兼ねなく泳ぐことができるようになる。また、水中生物に接触する恐れがある器材は固定するなど、自然に配慮できると良いだろう。

②良いお手本になりましょう

Cカード協議会によると、年間で新たにダイバー認定される人は約4万人いると報告されている。水中に憧れを抱いている人たちが、これから始まるダイビングライフに心を踊らせているはずだ。自分自身の経験とは関係なく、新たに加わる仲間のお手本となるような行動を心がけよう。

③”とる”のは写真だけ、置いてくるのは泡だけ

水中にある物の海洋ゴミ以外は、生きているか、生物が利用しているかのどちらかであると言われている。勝手にとったり、動かしたりすることは、海の中の絶妙な生態系を崩してしまうことになり得る。自身の好奇心で本来あるべき姿を覆すのは避けていきたい。

④水中生物を保護しましょう

基本的に、水中の生き物への接触や餌付け行為はしてはいけない。興味本位な行為は生物のストレスになってしまったり、生態系を壊すきっかけに繋がることもある。また、触れることで相手の防御反応から攻撃を受ける可能性も考えられる。中には毒を持つ生物も存在するので、触らないことは自分自身を守ることにも繋がる。

⑤ゴミを出さないことを実践しましょう

世界問題になっている海洋ゴミ。それにより多くの生き物が犠牲になっている。廃棄物をできる限り出さないことや清掃活動に積極的に取り組み、報告することで世界の環境活動に貢献していることになる。

⑥シーフードの選択に責任を持ちましょう

海の生き物の乱獲や無暴な漁は、水中生態系を脅かす原因となる。更に、漁獲量が激減してしまうことから、世界の漁業業界が崩壊してしまう恐れもあると言われている。
消費者として、将来も魚を食べていくことができるよう、水産資源や環境に配慮して管理された食品を選ぶことが大切である。

⑦行動を起こしましょう

海の環境の変化や問題についてより早く気づくことができるダイバー。
自分にできることから行動し発信することで、水中活動に貢献しよう。

⑧エコ・ツーリストになりましょう

旅先に出かける時には、現地の文化や法律、規定を理解してから行くように心がけよう。
例えば、野生のイルカと泳ぐことのできるドルフィンスイムでは、地域により、独自なルールが設けられている。
定められた約束を守ることが、環境が保たれる鍵になるのだ。

⑨二酸化炭素排出を少なくしましょう

地球温暖化は地球の未来へ大きく関わっている。
日頃からサステナブルな商品を使用するなど、生活を見直すことにより、二酸化炭素の排出量を抑えることができる。

⑩寄付や基金に協力しましょう

Project AWAREが発行しているオリジナルCカードは環境活動への寄付金として使用される。例年、絶滅の危機に瀕している生物がデザインされている。毎年変更されるので、コレクション感覚で集めている人もいるとか。

出典URL:https://www.projectaware.org/sites/www.projectaware.org/files/AWARE%2010%20Tips%20A4%20-%20Flyer_jp%20(Final)_0.pdf 

以上が、プロジェクトアウェアが提唱する「ダイバーができる10のこと」。今の自分が行動に移せる項目はいくつあっただろうか。
まずはそれを続け、そして少しずつ自分自身のペースで増やしていこう。

次回は、環境問題への取り組みに積極的なプロジェクトアウェアのSP(スペシャルティ)コースについて紹介していく。

意識を変えることは、サステナブルな社会の貢献への第一歩。知識や技術を学ぶだけでなく、環境に配慮ができるダイビングを楽しもう。

Text:Natsuki Matsuda

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