ヘッドラインHEADLINE

なぜパプアニューギニア政府観光局は自らイベントを主催するのか閲覧無制限

カテゴリ:
徒然コラム
タグ:
パプアニューギニアのサンゴ(撮影:岡田裕介)

パプアニューギニアのサンゴ(撮影:岡田裕介)

ちょっと変わったPR施策を行っている、パプアニューギニア政府観光局。

前回は、そのマーケティングマネージャーである山田隆さんのバックボーンから、これまでの取り組みについて駆け足で語っていただきました。

そのインタビューの後半である今回は、いよいよパプアニューギニアのちょっと変わった主催イベントと、そこに込めた意図についてうかがいます。

ちょっと変わった主催イベントというのは、パプアニューギニアナイトのこと。
オーシャナでも何度かお邪魔しているイベントで、そのレポート記事は以下をご覧ください。

このパプアニューギニアナイトの大きな特徴の一つは、一般ダイバーさんも無料で飲み食いができるということ。
そこには、山田さんなりの意図がありました。

山田さんへのインタビュー後編、どうぞお読みください!

パプアニューギニア政府観光局・山田隆さん

パプアニューギニア政府観光局・山田隆さん

――

前回は旅行代理店やメディアにパプアニューギニアに行ってもらうこと、パプアニューギニアを知ってもらうことを大事にした、というお話でした。

山田

はい、旅行代理店さんへの勉強会もこまめに行っています。辞めてしまう方もけっこういらっしゃるので。

――

それに加えて、一般のお客さんに対してはパプアニューギニアナイトを開催されていますね。

山田

はい。
僕らの場合、パプアニューギニアと言うと、未だに「人が殺されるのでは」と思われてしまうんです。

そういった誤った情報ではなくて、正しい情報を興味のある方に正しく伝える、ということを大切にしています。
そのためには他人のチャンネルではなかなか通じないんですね。例えばAさんがブログで「パプアニューギニア、人殺されるらしいぜ」と書いたら、それで終わってしまう。

だから自分たちから正しい情報を発信するチャンネルをとても大事にしています。

――

なるほど、そのためにパプアニューギニアに興味のあるお客さんに正しい情報を直接与える場所がほしかった、ということですね。

山田

そうなんです。
観光局なので、イベントを営利イベントにする必要はありません。だから参加者の方からお金をいただくのではなく、観光局の予算でイベントすべてを運営しています。

撮影:中村卓哉

撮影:中村卓哉

――

今ではすぐに予約が埋まってしまうイベントになっていますね。

山田

4、5年前に始めた時は参加者が30人ぐらいでしたが、今年は申し込み開始日から5日間で180人のお客さんのお申し込みがあるほどです。
新しいお客さんがとても増えています。

――

ちょっと意地悪な質問をさせてもらいますが、飲み食いが無料だと、それが目的のお客さんはいませんか?

山田

イベントを楽しくする努力をしないと、そうなってしまうと思います。
僕らの場合は、最後までいる方が約95%で、途中で帰らせないように楽しく感じてもらえる仕組みを毎回考えています。

約10人のチームで毎イベントを運営しているのですが、毎回テーマ性をもってやっています。
前回のテーマはパプアニューギニアの「ナイトダイビングとクルーズ」だったのですが、その後にアンケートを取るとお客さんのニーズとツアー商品のギャップも分かって、発見につながるんです。

――

なるほど、その楽しさが伝わるイベント作りに成功しているんですね。

山田

また、パプアニューギニア政府観光局日本事務所の場合、私が行いたいマーケティングをするために約40人ぐらいの方に協力を頂いているのですが、その中にはライター、編集者、カメラマン、ウェブ担当、印刷、イベント運営者などが含まれます。2014年4月にはそういった方々を招いた内輪のシークレットパーティーも主催しました。
その方々にとっても横のつながりがあった方がいいと考えたんです。

――

そこまでされている政府観光局さんはあまりないですよね。前回にオーストラリアでツーリズムの勉強をされたというお話もありましたが、山田さんはご自分ではなぜそこまでされるようになったんだと思いますか?

山田

根底にはパプアニューギニアが好きという気持ちがあるんです。
その上で、人と違うことをしようという観点はあります。

もし自分が担当しているのがある意味もっと有名な場所だったら、こんなに細かいマーケティングは必要なかったと思います。
パプアニューギニアは頑張らないと知ってもらえないので、そのおかげでいいアイデアが生まれ、逆に育ててもらったところがありますね。

ただ、一人の人間が一つの国を長く担当することには反対な部分もあります。
ビリーバー(信者)みたいになってしまうんですよね。

自分としては、いつでもフレッシュでありたいと思っています。
「パプアニューギニアはこうでなければいけない」とか思ってはいけなくて、自分がどうしたいという気持ちが常に正しいわけではないという心のフレキシブルさが必要だと思います。

パプアニューギニアの夕焼け(撮影:岡田裕介)

パプアニューギニア、タワリリゾートの夕焼け(撮影:岡田裕介)

――

では最後に、最も近いところにいる山田さんから見た、パプアニューギニアの魅力は何でしょう?

山田

僕はパプアニューギニアの仕事に就いた時は人生に焦っていて、社会人になった年齢が人よりも高いところがあって、一秒でも早く同世代との差を縮めたいという気持ちがあったんですね。
でも、パプアニューギニアに行ったことで、そんなことはとても小さなことなんだということをあの国は気づかせてくれました。

サッカーをやっていた頃も、他人のミスにイライラして自分が潰れてしまうことがあったんですが、パプアニューギニアにはそういうことを感じなくても幸せに生きていける環境があったんです。
「疲れた、疲れた」と言ってしまいがちな日本人の方は多いですが、パプアニューギニアではそういう言葉を聞いた事がありません。常に笑顔で豊かな顔をしていて、それは自分が考えてもいなかった心のゆとりなんですよね。

そもそも人間が持っていなければいけない、けれど今の日本人が失いがちなものがパプアニューギニアにはあると思います。

また、この国はチャレンジする立場にあって、何もセットアップされてない所から始めることは自分にとっても得意分野なんです。
急激な成長も要らないですし、それが今の自分の性格にも合っていて、パプアニューギニアを通して人生設計を見つけられたと思っています。

――

一人の人間の価値観をそこまで変えられる国、すごいですね。今日はお話いただきありがとうございました!

パプアニューギニア(撮影:岡田裕介)

撮影:岡田裕介

ページトップへ