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JAUS(日本水中科学協会)第1回シンポジウム・レポ閲覧無制限

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2010年12月12日(日)、JAUS(日本水中科学協会)が「第1回 水中活動基準とマニュアル研究策定シンポジウム」を開催しました。
そこで発表されたことや当日の模様のレポートをお届けいたします。

シンポジウムは10:00から始まったのですが、会場はかなりの盛況!
主催者側の予想を上回る250名以上の方がいらっしゃいました。

JAUS(日本水中科学協会)シンポジウム

まずはこのJAUSが「何を目指している団体なのか」を、代表の須賀次郎さんから。

JAUSというのは、Japanese Academy of Underwater Sciencesの略。
ジャウスと読み、日本水中科学協会と訳されています。

実はアメリカにモデルとした団体があり、それはAAUS(American Academy of Underwater Sciences)というもの。
これはアメリカの各研究機関や大学から構成されている団体です。

そのため、日本のJAUSもレジャーダイビングの他に、研究者の行うダイビング(サイエンス・ダイビング)や調査を目的としたダイビング(リサーチ・ダイビング)などを含めた、ダイビング活動全般をカバーする団体としています。

JAUS(日本水中科学協会)シンポジウム 須賀次郎氏

代表の須賀次郎さんは、JAUSの目標を以下のようにしています。

「スクーバ&スキンダイビングで目標とする水中活動を安全に成功させること」

この目標のもとに、活動基準として、自己責任、トレーニング、健康管理、危機管理、保険などについてのJAUSの考え方が示されました。
それらを一つ一つ書いていくと膨大になってしまうので、興味のある方はJAUSのウェブサイトをご覧ください(現在は「基準・プロトタイプ」というカテゴリにアップされています)。

また、一部で話題となっている「Vカード」についても説明されました。
Cカード(Certification Card)が「ダイバーになるための講習を修了した証」とするなら、Vカード(Vertification Card)は「そのダイバーが一般の水中活動を自己責任で行うことができる知識・技能確認証」。
これまでCカードを持っているだけでは「そのダイバーの現在のスキル」が不明なことが多かったですが、Vカードは原則として3年以内の更新が必要となる予定です。

Vカードと同時に、それを認定するプライマリー・コースとインストラクターに関しても説明がされました。

他にも大学の部活動として行われているダイビングに関するマニュアル例と課題や、サイエンス・ダイビングの現状と課題、セルフダイビングの現状と課題など、様々なテーマの講演が行われました。

例えばセルフダイビングを現地ダイビングサービスが受け入れる際、現在のスキルを保証するJAUSのVカードを一つの基準とすることができれば…という将来的な展望など、様々なダイビング分野を包括的にカバーし、それらに統一した一つの基準を設けたいというのがJAUSの基本的な考え方と言えます。
特に、サイエンス・ダイビングやリサーチ・ダイビングと通常のレクリエーション・ダイビング(レジャーダイビング)を同じようにカバーする団体は近年ではなかったため、それもJAUSの大きな特徴の一つでしょう。

このJAUS、今回のシンポジウムはあくまで「第1回」であり、この内容はこれからの議論の中で進化・変更することもあるとしています。
船で言えば、まさに港を出たばかり。

今回のシンポジウムで目標やコンセプトはほぼ明示されたので、これから具体的にどう活動・運用されていくのかが注目されます。
ここでは、今後の注目点として大きく三つを挙げておきます。

1.ダイビングショップ・サービスへの認知
2.ダイビング指導団体との補完的な関係
3.サイエンスやリサーチのダイビング分野の啓蒙

1.ダイビングショップ・サービスへの認知

実際にダイビングの現場となっている都市型ショップや(特に)現地サービスとの関わり方・認知のされ具合はとても大きな点でしょう。

現在JAUSに興味があるダイバー、もしくは「Vカードを取ってみようかな」と思っているダイバーは、かなり意識の高いダイバーです。
一般のダイバー間なら、まだ「こういう協会があるみたいだよ」と口コミ的に話が広まりやすいと思います。
ただ、ショップ・サービスに対してはむしろJAUSからの働きかけが重要になってくるでしょう。
その際にJAUSの目指していることがうまく伝わることが大切ですね。
(そのためにはまず少なくとも、現状のHPのデザインではなくWebデザイナーを立てた方がいいと思います…)

2.ダイビング指導団体との補完的な関係

CカードとVカードというのは、決して敵対するものではなく相互補完的なものでしょう。
そしてJAUSとダイビング指導団体も、お互いがバラバラに活動するというよりも、できれば相互協力的な活動が望ましいのではないでしょうか。
なぜなら、それが一般ダイバーさんにとって分かりやすいからです。

例えば、一般ダイバーさんがCカードを取った後に、そのダイビングショップもしくは指導団体から「Vカードというものもありますよ」と情報をもらう、というのが理想的な流れではないでしょうか。
ただ、今回のシンポジウムでは触れられていませんでしたが、指導団体が行っているSP講習との兼ね合いはデリケートな部分ですね。

現在は、日本のダイビングを包括的にまとめようとする団体・協会が多すぎるため、また、各団体・協会への協力体制にも指導団体ごとにバラつきがあるため、一般のダイバーさんからしてみれば「何がなんだかよく分からない」状態になっています。
その状態は(JAUSでもJAUS以外の団体でもいいのですが)早く解消してほしいと考えています。

3.サイエンスやリサーチのダイビング分野の啓蒙

一般のレジャーダイバーさんにはあまり関係のない分野ですが、ここもJAUSは活動範囲としています。
ただ、今回のシンポジウムでも語られていましたが、特にサイエンス・ダイビングの現場はレジャーダイビング以上にルールのないものとなっているのが現状です。

そのサイエンスやリサーチのためのダイビングに「安全」というルールを持ち込む際、全国に点在している科学者・調査者にどうやってそれを認知・啓蒙して広めていけばいいのかはとても大きな難題と言えるでしょう。

以上、注目される点を三つ挙げました。

ともかく、何よりもダイバーさんの役に立つ新しい価値を生み出すこと、また安全潜水が広まることに対して期待をしたいところです。
(この場合のダイバーとは、JAUSの場合、レジャー以外が目的のダイビングを行う人も含まれます)

繰り返しますが、JAUSはまだ第1回のシンポジウムを終えたばかり。
今後に注目したいと思います。

(文責:いぬたく)

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