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無理解を理解する。竹沢うるま写真展「Walkabout」に行ってきました閲覧無制限

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イベント

写真家・竹沢うるまWalkabout

写真家・竹沢うるまさんの写真展「Walkabout」を見に、キヤノンギャラリー銀座に行ってきました。

竹沢うるまさんの世界一周を振り返った写真展「Walkabout」は、東京を皮切りに名古屋、大阪、仙台、札幌と回ります。
僕がうかがえたのが東京での最終日となってしまって申し訳ないのですが、竹沢うるまさんの写真展をじっくり堪能してきました。

日に日に増えていったお客さん

写真展会場でお会いした竹沢うるまさん

写真展会場でお会いした竹沢うるまさん

会場でお会いしたうるまさんは「お陰様で、お客さんも日に日に増えてくださって」と、ホッとした表情。
僕がうかがったのは昼間、少し早めの時間帯でしたが、それでもかなりのお客さんがギャラリーの中を回られていました。

期間中にお客さんが増えるということは、写真展の感想や評判が話題になったり、口コミで広まっている証拠。

会場に飾られている竹沢うるまさんの写真は決して分かりやすいものばかりではないのですが、それでも響く人が多かったことに、僕も嬉しさを覚えました。

安易な理解を拒絶するような写真たち

以下は、写真展を拝見しての、僕の感想です。

「世界一周」という言葉から、皆さんはどんな印象を抱くでしょうか。

多くのメディアに載る「世界一周」は、少しの高揚感や時には浮ついたイメージすらまとっていて、押し切り型の美しい風景や町並みがセットになっていることが多いでしょう。

ただ今回、竹沢うるまさんが写真展に飾っていた写真は、先に書いた通り、決して分かりやすいものばかりではありません。

その表れであるかのように、写真の下のプレートに記された地名と国名には日本語表記はなく、英語のみ。
そもそもメジャーな観光地はほとんどないため、その地名をなんと読めばいいかも分かりません。

その写真を前にして感じるのは、様々な「?」。

この人は何をしている人なのだろう?
ここではどんな暮らしが送られているのだろう?
これは何が起きているシーンなのだろう?

そんな「?」が浮かぶ写真だらけで、それらは安易な理解を拒絶しているかのようにすら見えました。

ただ、分からないのも無理はありません。
僕がいる世界と、向こう側の世界、それぞれ完全に異なる世界を、竹沢うるまさんはあえて乱暴にそのまま繋ぐ架け橋を用意してくれているからです。

それだけに、会場内を一回りしても、また見返したくなります。
そして何度見返しても、自分の中に答えなどは出ずに、ただ自分の想像力に身を任せるしかありません。

その想像力の末に辿り着ける一つの結論があるとしたら、それが「世界は広い」ということなのでしょう。

世界は広くて、自分はその世界の広さすら理解できていない。
つまり、自分の無理解を理解せざるを得ないんです。

写真家・竹沢うるまWalkabout

日本ではそう味わえない、人間から発せられる熱量

もう一つ、この写真展の一つの特徴は、人を写した写真が意外と多いことかもしれません。

実際、会場の一角には人物写真ばかりを並べたコーナーもありましたし、それ以外にも人物が写っている写真がけっこうな割合を占めていました。

ただ、そこに写っている人物に、「情報」はないんです。

彼らが誰なのか、何をしようとしているのか、どういう感情でいるのか、という情報が明らかにされていない写真の多さ。

その代わりに、それらの写真から伝わるのは、写っている人物(たち)から発せられる強烈なエネルギー。
人間の熱量がそのまま閉じ込められた写真、とでも言えばいいでしょうか。

その熱量に触れて、インタビューで竹沢うるまさんが言っていた言葉を思い出しました。

僕にとって、大地があって人がいてちゃんとした関係性が成り立っている場所こそが本当の世界なんです。そこで生きている人たちは本当に「生きている」んですよ。表情や輝きが違って、彼らが考える「生きる」と日本にいる僕たちが考える「生きる」っていうのは違うんですよ。

彼らの「生きる」っていうのはまさしく生きるってことなんです。
人として、人間として、ひとつの生命として生きる。自分の生命力を輝かせて、すり減らして生きていく。

僕らの「生きる」っていうのは、「どうやって生きるか」になるんです。付加価値の生きるでしかない。どうやって幸せに生きるか、どうやって楽しく生きるか。それは一つの生物としての「生きる」っていう意味からかけ離れちゃってるんですよ。

竹沢うるまインタビュー「世界一周の果てに辿り着いた場所」 | オーシャナ

これらの土地と人間から発せられる熱量を、カメラのフィルター越しにダイレクトに受け止めて、精神的にどれだけ過酷な旅だったのだろう、と思わされます。

そしてそのうるまさんが味わった過酷さも、読み手は完全に理解することはできないと思い知らされるほど、圧倒的な世界の広さを伝えてくれる写真展でした。

竹沢うるま写真展:Walkabout -1021日、103 ヶ国を巡る旅の記録-

東京での開催は終わってしまいましたが、名古屋、大阪、仙台、札幌の方はぜひ。

2013年8月1日(木)~8月7日(水) キヤノンギャラリー銀座
2013年8月22日(木)~9月4日(水) キヤノンギャラリー名古屋
2013年9月12日(木)~9月18日(水) キヤノンギャラリー梅田
2013年10月3日(木)~10月15日(火) キヤノンギャラリー仙台
2013年10月24日(木)~11月5日(火) キヤノンギャラリー札幌

また、ずっしりと見応えのある写真集も発売中です。

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