水俣の海を追い続けた写真絵本「みな また、よみがえる」(尾崎たまき)

水中カメラマン・尾崎たまきさんが1995年から撮り続けてきた、熊本県の水俣。

水俣病という負のイメージと一緒に語られることの多い場所ではありますが、尾崎さんはその再生の記録を、現地で安全宣言が出される1997年よりも前から見つめ続けてきました。

水俣の海(撮影:尾崎たまき)

その尾崎たまきさんが撮り続けてきた水俣をテーマにした写真絵本「みな また、よみがえる」が出版されています。
写真絵本というだけあって、親子で楽しめる内容になっていますので、ぜひご覧ください。

この写真絵本の発売に際して、尾崎たまきさんにお話をうかがいました。

なお、2011年に行った写真展「いまも水俣に生きる」に際して行ったインタビューは、こちらをご覧ください。

みな また、よみがる(尾崎たまき)

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Q.恋路島の視点でこの本を作ろうと思ったのはなぜですか?

海が汚されたときも、海が埋め立てられたときも、ずっと目の前で見続けていた島なんだなあというのは、島を見るたびに感じていました。

そして、仕切り網が設置されたときは、恋路島の両側から手が伸びるように張られ、23年すると人間の都合で今度は撤去され…。
今までどんだけの苦労を見てきたのか。

ある意味長いこと動かずこの海を見続けていたのはこの恋路島くらいだな、と。

本を作るにあたって、地元の方々のことば、漁師さんから聞いてきたことば、そして自分自身が伝えたい想い、いろいろ残したい言葉や想いがありました。

いろんな人の想いを伝えるには、黙ってずっと昔からこの海やひとびとを見続けてきた恋路島が語ってくれることが、一番説得力があると感じ、恋路島に代弁してもらったんです。

もちろん、恋路島はきっとこんな思いだったんだろうな…みたいな空想も入ってますが。

Q.1995年から水俣を撮り続けてきて、当時と変わったこと・変わらないことはどこでしょうか?

当時とあまり変わってないようにも思いますが、強いて変わったところをお伝えすると、

  • 1.網がなくなったことによって、潮通しがよくなったせいか、今まで見かけなかったトゲトサカやヤギのような、ソフトコーラル系が増えたように思います。
  • 2.また以前は全く見なかった、カエルアンコウやミノカサゴも今はとても多いです。どちらも食いしん坊の魚ですが、これらのような魚が増えたということは、餌となる魚も増えたからなのではないか、と感じています。
  • 3.これは温暖化の影響もあるからだと思いますが、枝状のミドリイシ系のサンゴが増えました。キクメイシの仲間は昔から生息していたのですが、枝状のサンゴはここ数年確実に増えています。
水俣の海(撮影:尾崎たまき)

Q.前回に写真展でインタビューさせてもらった際に「特別ではないということを一番伝えたい」とおっしゃっていましたが、今回のメッセージもその延長線上にあるんでしょうか?それともそれとはまた少し違うものでしょうか?

特別ではない普通の海に戻った、ということももちろん伝えたいですが、一番伝えたいことは、私たち人間が、自然が作り上げた世界に一方的にずかずか入り込んで壊してしまうんじゃなくて、自然に配慮して仲良くともに暮らしていければいいな~と。

子どもたちも、これを子どもに読んでくれるであろう大人も、そんな気持ちで自然と繋がっていってほしい、このようなことを伝えられたら幸せですね。

そして、水銀で汚染されてしまって、絶望的な状態だった海でも、自然の治癒の力と人間の優しい配慮も手伝って、こんなに復活できるんだから、
福島とか先が見えない不安ばかりですが、それでもあきらめず、みんなで向き合って生きていきたいな、と。

尾崎たまき「いまも水俣に生きる」写真展記念インタビュー

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写真絵本「みな また、よみがえる」、発売中です!

writer
PROFILE
2002年から2014年まで広告代理店(株式会社電通)に勤務し、テレビCM・グラフィック(新聞・雑誌)広告・ウェブサイト等の企画・制作や、各種プロモーションの立案に携わる。

電通で働いていた頃から、土日は都市型ダイビングショップのダイビングインストラクターとして講習やガイドを行う。

ダイビングが好きな人たちに自分なりの形で貢献したいと考え、メディアへの知見とインストラクターとしての経験を活かし、2010年にスキューバダイビング.jpを立ち上げる。
その後、2012年4月から越智隆治、寺山英樹とオーシャナを立ち上げ。

オーシャナでは、サイト全体の管理・運営や記事執筆、物販、営業など、プロデューサー的な役割を担う(なんでも屋とも言う)。

好きなものは音楽のライブ・フェスとサッカー。
男ではあるが普段着はスカートを愛用。