Black Water Dive®Produced by Ryo Minemizu

Point 撮り方のPOINT

カメラ派ダイバー必見! ブラックウォーターダイブ®をプロデュースする峯水氏が、実際に撮影で使用している機材の詳細と実用的なテクニックを惜しげもなく教えてくれました。ちなみに、漂いながら楽しむダイビングなので、中性浮力のスキルはマスト。生物が上下するため、水深管理にはくれぐれもご注意を。

【峯水氏使用機材】Canon EOS 5DMarkⅣ、SIGMA MACRO 50mm F2.8 EX DG キヤノン用、ネクサス5DMarkⅡをMarkⅣ用にコンバージョンアップ、Nexus バランスステーM、アーム類はすべてNexus アーム18で構成、INON S-2000ストロボ×2+スヌートセット for S-2000 (撮影光源)、INON LF800-N(サーチライトとして)、RGBlue System03 (ターゲットライトとして)

浮遊系撮影のレンズの選択

 小さくて動き回る被写体が多いので、なるべくポートのすぐ前まで寄れて撮影することができ、かつ、被写体の大きさそのままに等倍(1:1)で写せるレンズがいいでしょう。フルサイズ一眼レフカメラの場合は、焦点距離が50~60㎜のマクロレンズがおすすめです。
 ニコンなら「AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED」、キヤノンは残念ながら純正のレンズにラインナップがないので、私の場合は、シグマの単焦点マクロレンズ「MACRO 50mm F2.8 EX DG キヤノン用(フルサイズ対応)」を使用しています。APSサイズの一眼レフカメラの場合は、キヤノンは「EF-S35mm F2.8 マクロ IS STM」、ニコンは「AF-S DX Micro NIKKOR 40mm f/2.8G」がおすすめ。

ストロボの角度と位置

 浮遊生物の撮影をしてみると、最初に誰もが悩むのが被写体まわりに写り込む浮遊物の乱反射です。大小の丸いダストが被写体に被るなどして、何とか防げないものかと四苦八苦することでしょう。これは、そこにある以上仕方ないことなのですが、なるべく写さないように軽減する方法がいくつかあります。
 一つは、被写体に近づくことで、レンズと被写体との間にある浮遊物を量的に少なくします。もう一つはストロボの照射範囲をなるべく狭くすることです。これにより、被写体の奥や手前にある浮遊物にストロボが当たらなくなり、乱反射そのものを軽減できます。
 また、ストロボの照射をなるべく弱く柔らかい光にすることや、レンズの絞りを解放値にすることでも軽減できます。ただし、ディティールのおもしろい被写体は、なるべく被写界深度を稼ぎたいので絞って撮りたいと思うことも多いでしょう。その辺りは撮影者の好みによると思います。
 また、あまりストロボの角度をつけすぎると、稚魚の眼の周りや胃の銀色の部分が反射(鏡のように)してしまうことがあるので、なるべく被写体に対して平衡にストロボを照射することでそれを軽減できます。

水中ライトは3灯

 私の場合、カメラに取り付けるライトは合計3灯。中でもバッテリー1つで2つのライトの役割を果たすRGBlueのツインライト「System03」が1台あると一石二鳥でとても便利です。
 これをターゲットライト(被写体を照らすライト)として利用しています。片方は被写体を正面から照らす標準的な位置にあり、もう片方はカメラの前に長く伸ばしたアームの先にあるので、被写体の動きに合わせてライトの位置を柔軟に変えることができます。
 生物によって、光に向かうものや光から遠ざかるものがいるため、それぞれの習性に合わせてライトの位置を変えることで、被写体の泳ぐ向きをうまく導くことができます。「System03」は、注文時にケーブルの長さを通常の倍の長さに交換することができるので、私は右側のライトを長いケーブル仕様にしています。
 もう一つは、カメラの左上部にあるイノンのLEDライト「LF800-N」です。これはカメラを構えたままで生物を探す際のサーチライト。水中重量は約134gと比較的軽いのでハウジングの上部に取り付けていてもさほど重さを感じません。

コンデジでも
OK!
※丸の中の生物をクリック! 生物のディティールと実物の大きさを見てみましょう。

驚くべきことに、一眼レフカメラのみならず、コンパクトデジタルカメラでも撮影可能! 峯水氏に「コンデジ撮影の腕は私より上」と言わしめる久米島ダイビングショップ「ダイブ エスティバン」の吉田氏に、その撮影のポイントを伺いました。驚きのクオリティを誇る作例とともに、ご覧あれ。

カメラ任せで撮るならこの機材

 オリンパスのコンパクトデジタルカメラ、Toughシリーズをメインで使っています。ガイドをしながら撮るには撮り回ししやすいですし、持参するゲストの方も多いので、撮り方もレクチャーしながら潜っています。
 中でも「TG-3」「TG-4」「TG-5」は、小さな被写体を撮るのが得意なカメラです。搭載されている顕微鏡モードでは、被写体に1㎝まで寄ることができ、かなり小さな生物も撮ることができます。また、水中マクロモードでも十分に被写体をかなり大きく撮ることが可能です。そのため、外付けのマクロレンズも不要です。また、オートフォーカスの性能がいいので、夜の海という暗い環境でもピントが合いやすいこと、そして、色がはっきり出る傾向にあることもブラックウォーターダイブ®向きです。どうしても背景は真っ黒になるため、生物の色が濃く出ることで、コントラストがあり、見やすく分かりやすい写真となります。
 Toughシリーズはカメラ本体に-15mまでの防水性能がついているので、ハウジングも不要。コンパクトな装備で海に潜れるのもうれしいポイントです。(僕はハウジングに入れていますが……)

水中ライトは2種類使用

 照射角度の広いライトと、狭いライトの2種類を使っています。広いライトは、フォーカスを合わせるためのターゲットライトとして使用。出会う生物たちは動きが速かったり、不規則なものも多いので、より広い角度のライトの方が使いやすいです。一方、狭いライトは、生物を探すために使います。広いライトは、水中のゴミや目当てでない生物などをたくさん照らしてしまうため、生物を探すのに向いていません。
 もちろん、カメラを手に潜れば楽しみの幅は広がりますが、ブラックウォーターダイブ®には、自分の想像を遥かに超えてしまう出会いが待っています。潜るだけでも異世界を楽しめるので、あまり構えずにトライしてみてくださいね。

  • 吉田 健太朗

Profile

吉田 健太朗(よしだ けんたろう)

20歳の頃に久米島を訪れ、その水中景観に惚れ込む。大学卒業した2012年より、久米島のダイビングショップ「ダイブ エスティバン」のガイドを務める。
http://dive-estivant.com

Item アイテム

SYSTEM02-2

広範囲(配光100度)を均一に照らし、高演色性、高出力の撮影や観察に適したライト。連続点灯時間も同クラス最大。ブラックウォーターダイブ®では、三脚に固定しメインライトとして使用されている。

配光100度、色温度5000K、高演色Ra80、最大光束3000ルーメン
定価 77,000円(税抜)

SYSTEM02‑2 PREMIUM COLOR

光色、出力などのバランスを重視した「SYSTEM02‑2」に対して、演色性をさらに高めた色再現性に特化したライト。ブラックウォーターダイブ®では、「SYSTEM02」と同じように三脚と組み合せて使用し、異なるタイプの生物を集める役割を果たしている。

配光100度、色温度4200K、超高演色Ra95、最大光束2200ルーメン
定価 80,000円(税抜)

SYSYEM01 SPOT BEAM

「超挟角5度のビーム光」とソフトなフラッド光を合わせた「17度のフラッドビーム光」の2種類の配光が使い分けられるスポットライト。ブラックウォーターダイブ®では、主に生物を探すときに使用される。

配光5度ー17度、色温度5000K、高演色Ra80、1M先の中心照度4万ルクス(SYSTEM02の約40倍)
定価 59,000円(税抜)

SYSTEM03

「SYSTEM02」と同じ特性のLEDを小型2灯にしたツインライト。カメラハウジングの先端に専用アダプターを介して左右2灯のマクロ撮影に使用されることが多い。峯水氏は、片側をロングケーブル(受注生産)にして、生物の前後から照射するキットとして使用。

色温度は5000K(Ra80)と4200K(Ra95)の2種類から選択できる。
定価 90,000円~92,000円(税抜)

Information インフォメーション

Officail 峯水亮オフィシャルサイト

写真家・峯水氏が運営するブラックウォーターダイブ®のオフィシャルサイト。開催時の様子のほか、見られた生物の美しい写真がずらりと並んでいます。 
http://www.blackwaterdive.net

Schedule スケジュール

ブラックウォーターダイブ®は、限られた場所でイベントとして開催されています。開催情報は最新のものをチェックしましょう。
https://oceana.ne.jp/blackwaterdive2018 

RGBlue RGBlue

ダイビング用水中ライト、および、水中拡大鏡を扱うブランドです。光のクオリティにこだわった製品を打ち出しており、写真家たちから熱い支持を受けています。
http://www.rgblue.jp/ja/ 

Black Water Dive®Produced by Ryo Minemizu
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