美しい砂地とサンゴの楽園
Model:Kaoruko Inou
Special Thanks:Neverland
Edit:Harumi Yamamoto
奄美北部のダイビングサービス・ネバーランドのオリジナルポイントへGO!
美しい砂地と元気なサンゴ、奄美北部のイメージを覆すポイントの数々に魅了された。
そして、「大物はいない」と言われていた奄美で、大物三昧の1日を体験!
「ここが、『きょらサンド』です」と、ネバーランドのオーナー・ちょっくんに、美しい砂紋が広がるビーチエントリーポイントに連れてきてもらった。ここは、ネバーランドのオリジナルポイントとのことだ。
何、この半端ない開放感!? しかも、砂紋が美しすぎる!!!!
“きょら”な砂地
「ここが、『きょらサンド』です」と、ネバーランドのオーナー・ちょっくんに、美しい砂紋が広がるビーチエントリーポイントに連れてきてもらった。ここは、ネバーランドのオリジナルポイントとのことだ。
何、この半端ない開放感!? しかも、砂紋が美しすぎる!!!!
初めて聞いた時には、ギャグみたいな名前だなと思ったが、「きょら」は、奄美の方言。沖縄の方言でいうところの「ちゅら」を指す。つまり、“ちゅら=美ら”、美しいという意味だ。
奄美北部には、そんな“きょら”な砂地ポイントがたくさんある。今回のロケでは、その砂地を見比べて欲しいと言われた。潜ったのは、4箇所の砂地ポイント、その中でも飛び抜けて心に深く刺さったのが、この「きょらサンド」だった。
初めて聞いた時には、ギャグみたいな名前だなと思ったが、「きょら」は、奄美の方言。沖縄の方言でいうところの「ちゅら」を指す。つまり、“ちゅら=美ら”、美しいという意味だ。
奄美北部には、そんな“きょら”な砂地ポイントがたくさんある。今回のロケでは、その砂地を見比べて欲しいと言われた。潜ったのは、4箇所の砂地ポイント、その中でも飛び抜けて心に深く刺さったのが、この「きょらサンド」だった。
他のエリアの砂地との違いを表現するのは難しいが、今まで世界中で潜った砂地ポイントの中でも、5本、いや、条件付きだが、3本の指に入るくらい気に入った。
条件付きと言うのは、このとき見ることができた“砂紋があるかないか”ということ。あの砂紋が「きょらサンド」の印象を大きく左右させる要素だった。これぞ自然が生み出した芸術作品。まるで未知の惑星を彷徨っているような異質感があったのに、それでいて、何かに守られているような安心感……。
ときにウミガメたちが、砂紋の上をゆっくりと泳ぐ。その広々とした光景は、日本の庭園を愛でているような、絵画を鑑賞しているような気分にもさせてくれた。
他のエリアの砂地との違いを表現するのは難しいが、今まで世界中で潜った砂地ポイントの中でも、5本、いや、条件付きだが、3本の指に入るくらい気に入った。
条件付きと言うのは、このとき見ることができた“砂紋があるかないか”ということ。あの砂紋が「きょらサンド」の印象を大きく左右させる要素だった。これぞ自然が生み出した芸術作品。まるで未知の惑星を彷徨っているような異質感があったのに、それでいて、何かに守られているような安心感……。
ときにウミガメたちが、砂紋の上をゆっくりと泳ぐ。その広々とした光景は、日本の庭園を愛でているような、絵画を鑑賞しているような気分にもさせてくれた。
異質感と安心感が混在するって、あまり無いのかもしれない。でも、海中にある本当に美しい砂地ポイントって案外そう感じる要素があるんじゃないかって思うことが多い。
美しい、本当に美しかった。「冬の時季には、ここで耳を澄ますとクジラたちの歌声が聞こえるんです」とちょっくん。あー、目を閉じて想像するだけで、何て素敵なダイビングが楽しめるんだろうってワクワクしてくる。
「きょらサンド」以外に潜った砂地ポイントは、「キリスト浜」「ブルーキャニオン」「サンドパラダイス」「ハナゴイ」などなど。どれも及第点の砂地が多く点在している。
異質感と安心感が混在するって、あまり無いのかもしれない。でも、海中にある本当に美しい砂地ポイントって案外そう感じる要素があるんじゃないかって思うことが多い。
美しい、本当に美しかった。「冬の時季には、ここで耳を澄ますとクジラたちの歌声が聞こえるんです」とちょっくん。あー、目を閉じて想像するだけで、何て素敵なダイビングが楽しめるんだろうってワクワクしてくる。
「きょらサンド」以外に潜った砂地ポイントは、「キリスト浜」「ブルーキャニオン」「サンドパラダイス」「ハナゴイ」などなど。どれも及第点の砂地が多く点在している。
鏡面のように凪いだ海にサンゴが透ける「サンゴジャングル」。
ウミガメが集う「元カレとニューカレ」。
奄美の地で生き生きと育まれたサンゴとそこに息づく生き物たちに見惚れた。
サンゴの楽園
鏡面のように凪いだ海にサンゴが透ける「サンゴジャングル」。
ウミガメが集う「元カレとニューカレ」。
奄美の地で生き生きと育まれたサンゴとそこに息づく生き物たちに見惚れた。
笠利湾の中で見つけた水深2mあるか無いかの浅瀬のサンゴ礁群生地に連れていってもらった。
ベタ凪の海に、太陽の光が降り注ぐ。ボートの上から鏡のような海水を透かし見て眺めるサンゴの美しさ。ボートが近づくと、魚たちがサンゴの中に隠れていくシーンまで、はっきりと見える。
まるで、天空から地上を眺めているような不思議な感覚だ。
エンジン音はあるはずなのに、今思い出すその情景はいつも「無音」だ。このポイントの名前は「サンゴジャングル」。どこまで行ってもサンゴの根が続いている。
根と根を渡り歩きながらサンゴに生息する小魚たちとサンゴの美しさをまったりと堪能できるポイントだ。
笠利湾の中で見つけた水深2mあるか無いかの浅瀬のサンゴ礁群生地に連れていってもらった。
ベタ凪の海に、太陽の光が降り注ぐ。ボートの上から鏡のような海水を透かし見て眺めるサンゴの美しさ。ボートが近づくと、魚たちがサンゴの中に隠れていくシーンまで、はっきりと見える。
まるで、天空から地上を眺めているような不思議な感覚だ。
エンジン音はあるはずなのに、今思い出すその情景はいつも「無音」だ。このポイントの名前は「サンゴジャングル」。どこまで行ってもサンゴの根が続いている。
根と根を渡り歩きながらサンゴに生息する小魚たちとサンゴの美しさをまったりと堪能できるポイントだ。
もう1箇所、気になったのが「元カレとニューカレ」ポイント。サンゴの根が水面下まで元気に盛り上がっていて、しかもその上にまるでミーティングでもしているかのように、ウミガメたちがわさわさと集まっていた。
その数、15匹くらいか。「うぉ〜!この集まり具合は面白いな!」と興奮しながらも、撮影できる距離まで散らしてはいけないと、かなり慎重に接近していく。しかし、「わ〜、変なおじさん来た〜!皆逃げろ〜!!わ〜!」みたいな感じで、フラフラと四散して行った。
「あ〜〜待って〜〜〜〜(涙)」と心の中ではなくて、本当に情けない声を出しながら、カメラのシャッターを切る。もちろん、無理と分かっていながら……。
しばらくして同じ場所に戻ると、さっきより数は少ないながらウミガメたちがいる。「今度こそは!」と慎重に近づくも「変なおじさん来た〜!」とまたも四散。涙目で見送ったが、いつかウミガメのミーティングシーンを写真に収めてみたいな。
もう1箇所、気になったのが「元カレとニューカレ」ポイント。サンゴの根が水面下まで元気に盛り上がっていて、しかもその上にまるでミーティングでもしているかのように、ウミガメたちがわさわさと集まっていた。
その数、15匹くらいか。「うぉ〜!この集まり具合は面白いな!」と興奮しながらも、撮影できる距離まで散らしてはいけないと、かなり慎重に接近していく。しかし、「わ〜、変なおじさん来た〜!皆逃げろ〜!!わ〜!」みたいな感じで、フラフラと四散して行った。
「あ〜〜待って〜〜〜〜(涙)」と心の中ではなくて、本当に情けない声を出しながら、カメラのシャッターを切る。もちろん、無理と分かっていながら……。
しばらくして同じ場所に戻ると、さっきより数は少ないながらウミガメたちがいる。「今度こそは!」と慎重に近づくも「変なおじさん来た〜!」とまたも四散。涙目で見送ったが、いつかウミガメのミーティングシーンを写真に収めてみたいな。
のんびりゆっくりと潜るがテーマのネバーランド。
大物を狙う潮の流れが早いポイントには潜らないため、普段は大物に出会うことは少ない。
しかし、取材班は大物に恵まれる幸運を手にした。
イルカ、マンタ、ハンター、魚群……次々と姿を現す大物たちとエキサイティングダイブ!
大物三昧の1日
のんびりゆっくりと潜るがテーマのネバーランド。
大物を狙う潮の流れが早いポイントには潜らないため、普段は大物に出会うことは少ない。
しかし、取材班は大物に恵まれる幸運を手にした。
イルカ、マンタ、ハンター、魚群……次々と姿を現す大物たちとエキサイティングダイブ!
「うちで潜るポイントでは、大物はあまり見られないですよ」とちょっくん。
え〜、ザトウクジラがいるじゃないか、と思うのだけれど、それはホエールスイムやウォッチングを行うサービスだからであって、ダイビングのみを行っているショップからすれば、「除外」対象のようだ。
ウミガメは大物には入らないのか……と思いながら、笠利湾を出て東シナ海のポイントを目指した。そこに姿を見せたのは、ミナミハンドウイルカの群れ!
「なんだよ、いるじゃん大物じゃん!」と思ったが、やはりダイビング中に見れるものではないらしい。それでも、ボートの船首にはついてくれて、ひととき、イルカたちとのランデブーを満喫した。
そして、潜ったのが、「ブルーキャニオン」。
ここも砂地が美しいポイントだが、「きょらサンド」よりは水深があるため、居心地が良いからと砂地でぼ〜っとしていると、エアが思ったより減っていたり、DECOが出そうになったりするから要注意。
ここでも、砂地とサンゴのリーフの間を泳ぐウミガメに何度か遭遇した。
他にも、巨大なケショウフグが砂地でゆらゆらと浮遊していたりして、「これも大物じゃないのかな〜」と思いながら撮影していた。
「うちで潜るポイントでは、大物はあまり見られないですよ」とちょっくん。
え〜、ザトウクジラがいるじゃないか、と思うのだけれど、それはホエールスイムやウォッチングを行うサービスだからであって、ダイビングのみを行っているショップからすれば、「除外」対象のようだ。
ウミガメは大物には入らないのか……と思いながら、笠利湾を出て東シナ海のポイントを目指した。そこに姿を見せたのは、ミナミハンドウイルカの群れ!
「なんだよ、いるじゃん大物じゃん!」と思ったが、やはりダイビング中に見れるものではないらしい。それでも、ボートの船首にはついてくれて、ひととき、イルカたちとのランデブーを満喫した。
そして、潜ったのが、「ブルーキャニオン」。
ここも砂地が美しいポイントだが、「きょらサンド」よりは水深があるため、居心地が良いからと砂地でぼ〜っとしていると、エアが思ったより減っていたり、DECOが出そうになったりするから要注意。
ここでも、砂地とサンゴのリーフの間を泳ぐウミガメに何度か遭遇した。
他にも、巨大なケショウフグが砂地でゆらゆらと浮遊していたりして、「これも大物じゃないのかな〜」と思いながら撮影していた。
ボートへの帰り際、後方にいたモデル兼ライターのルコちゃんが悲鳴のような大声で叫んでいるのに気が付き、振り返った。
なんと目の前にマンタが!!
慌てて撮影したが、まぁ証拠写真程度。それをちょっくんに見せたところ、「まじですか!?奄美でマンタなんて僕、4年に1回見るくらいのレアですよ!」と本当に悔しそうにしていた。
実際その日、SNSにマンタとの遭遇をアップしたら、奄美のダイビング業界で、ちょっとした話題になっていたそうだ。
ボートへの帰り際、後方にいたモデル兼ライターのルコちゃんが悲鳴のような大声で叫んでいるのに気が付き、振り返った。
なんと目の前にマンタが!!
慌てて撮影したが、まぁ証拠写真程度。それをちょっくんに見せたところ、「まじですか!?奄美でマンタなんて僕、4年に1回見るくらいのレアですよ!」と本当に悔しそうにしていた。
実際その日、SNSにマンタとの遭遇をアップしたら、奄美のダイビング業界で、ちょっとした話題になっていたそうだ。
見られなくて少し不機嫌そうなちょっくんに連れられて次に向かったのが、「ボロ瀬」という外洋の岩礁ポイント。奄美にしては、こんな岩礁ポイントも珍しい。アカネハナゴイのコロニーがあるということで、潜ることになったポイントだ。
今回、奄美が北限の魚たち、という特集をヘッドラインで先行してアップしたが、このアカネハナゴイも奄美が北限と考えられている魚だ。
しかし、それよりも感動したのが、水面に突き出た岩礁を覆うように、群れていたギンユゴイの群の大きさ。こんなにギンユゴイが群れているのは、多分他の海では見たことがない。
あまりメジャーな魚では無いけど、シルバーのボディーと尾びれに走る黒い5つの帯が、シンプルだけどセンスを感じさせるデザインで、個人的に好きな魚だ。
見られなくて少し不機嫌そうなちょっくんに連れられて次に向かったのが、「ボロ瀬」という外洋の岩礁ポイント。奄美にしては、こんな岩礁ポイントも珍しい。アカネハナゴイのコロニーがあるということで、潜ることになったポイントだ。
今回、奄美が北限の魚たち、という特集をヘッドラインで先行してアップしたが、このアカネハナゴイも奄美が北限と考えられている魚だ。
しかし、それよりも感動したのが、水面に突き出た岩礁を覆うように、群れていたギンユゴイの群の大きさ。こんなにギンユゴイが群れているのは、多分他の海では見たことがない。
あまりメジャーな魚では無いけど、シルバーのボディーと尾びれに走る黒い5つの帯が、シンプルだけどセンスを感じさせるデザインで、個人的に好きな魚だ。
アカネハナゴイ以外にも、他にも、今回の取材では、奄美が北限と言われている魚たちを沢山紹介してもらった。
特に注目すべき、北限の魚はヘッドラインで紹介したが、ここでは、説明は抜きにして、撮影した魚を全部ギャラリー形式で紹介することにする。
また、マニアックなヤマブキベラとクギベラの放精放卵シーンも写真におさめた。
奄美ダイビングの
魅力を再発見
アカネハナゴイ以外にも、他にも、今回の取材では、奄美が北限と言われている魚たちを沢山紹介してもらった。
特に注目すべき、北限の魚はヘッドラインで紹介したが、ここでは、説明は抜きにして、撮影した魚を全部ギャラリー形式で紹介することにする。
また、マニアックなヤマブキベラとクギベラの放精放卵シーンも写真におさめた。
奄美が北限と言われている魚たちの中でも、人気なのは、産卵のために、海中に砂地にミステリーサークルを作ることで、人気者の奄美の固有種アマミホシゾラフグ。
ネバーランドのガイドたちは、あまり生態的なシーンはあまり興味無いのかと思っていた。しかし、「むしろ1番好きなのが生態観察ですよ」と言いながら「今日、注目して見てもらいたいのはリーフのベラたちの放精放卵シーンです」とマニアックぶりを披露してくれた。
ベラは結構好きなんだけれど、この放精放卵、明るい内にリーフの上で行われる。観察はしやすいが、写真に収めるのはなかなか難しい。
メスに放卵を促すために、根のかなり上の方でホバリングするオス。徐々に、リーフにいるメスに近づいていき、一緒に上昇して放精放卵を行う。なかなか面白いシーンだが、今回はあまり上手く撮影ができなかったのが悔やまれた。
奄美が北限と言われている魚たちの中でも、人気なのは、産卵のために、海中に砂地にミステリーサークルを作ることで、人気者の奄美の固有種アマミホシゾラフグ。
ネバーランドのガイドたちは、あまり生態的なシーンはあまり興味無いのかと思っていた。しかし、「むしろ1番好きなのが生態観察ですよ」と言いながら「今日、注目して見てもらいたいのはリーフのベラたちの放精放卵シーンです」とマニアックぶりを披露してくれた。
ベラは結構好きなんだけれど、この放精放卵、明るい内にリーフの上で行われる。観察はしやすいが、写真に収めるのはなかなか難しい。
メスに放卵を促すために、根のかなり上の方でホバリングするオス。徐々に、リーフにいるメスに近づいていき、一緒に上昇して放精放卵を行う。なかなか面白いシーンだが、今回はあまり上手く撮影ができなかったのが悔やまれた。
最後に、台風によって変貌してしまった海底の地形についてふれたい。
昨シーズン、取材前の9月に奄美を直撃した台風24号が通過した後、ネバーランドが使っていたダイビングポイントの砂が根こそぎえぐられてしまった。砂地から少しだけ顔を見せていた岩礁が、巨大な岩礁に姿を変えていたり、なかったトンネルが出現したり、台風のエネルギーの大きさをまざまざと見せつけてくれた。
変貌の憂き目に遭いながらも、奄美北部の海は今日も美しい。奄美と言えば南部の大島瀬戸でのダイビングが注目されがちだが、空港からも近く、サンゴや美しい砂地、生物層にも恵まれた奄美北部で気楽にダイビングを楽しむのもいいだろう。
最後に、台風によって変貌してしまった海底の地形についてふれたい。
昨シーズン、取材前の9月に奄美を直撃した台風24号が通過した後、ネバーランドが使っていたダイビングポイントの砂が根こそぎえぐられてしまった。砂地から少しだけ顔を見せていた岩礁が、巨大な岩礁に姿を変えていたり、なかったトンネルが出現したり、台風のエネルギーの大きさをまざまざと見せつけてくれた。
変貌の憂き目に遭いながらも、奄美北部の海は今日も美しい。奄美と言えば南部の大島瀬戸でのダイビングが注目されがちだが、空港からも近く、サンゴや美しい砂地、生物層にも恵まれた奄美北部で気楽にダイビングを楽しむのもいいだろう。