奄美大島・龍郷~命を紡ぐ海 ~
Special Thanks:龍郷ダイビング組合
Edit:町田直子
奄美大島の北部に位置するダイビングエリア、龍郷町。
奄美空港から車で約20分とアクセスも良く、近年多くのダイバーが訪れている。
この龍郷町を代表する伝統的な産業が、世界的に有名な“大島紬”。
古くから絹織物を紡いできたこの町の海は、多くの生物たちの命をも紡ぐ、生命の連鎖に溢れた海だった。
龍郷(たつごう)、という名を初めて聞いた人もいるかもしれない。
龍郷町は島の北部、奄美空港のある奄美市のすぐ隣にある自然豊かなのどかな町だ。
龍郷柄で有名な伝統産業・大島紬や、西郷隆盛のゆかりの地(大河ドラマ「西郷どん」のロケ地にもなりました!)としても知られ、夏場は海を求めてやってくる観光客でにぎわう。
龍郷からのダイビングは、通称“奄美クレーター”と呼ばれる赤尾木湾や笠利湾といった湾内、東シナ海側の外洋、そして太平洋側の外洋といった3つのエリアをメインに潜る。
風に強くクローズになることが少ない内海、大物&マクロで湧く外洋。ともに黒潮の恵みをふんだんに受け、多種多様な生き物たちがダイバーを迎えてくれる。
今回は私、堀口和重が普段からさまざまな場所で撮影をしている“魚たちの生態”にフォーカスして、龍郷の取材を行った。
初夏の奄美・龍郷の魅力を紹介していこう。
大島紬の町、龍郷~命を紡ぐ海
龍郷(たつごう)、という名を初めて聞いた人もいるかもしれない。
龍郷町は島の北部、奄美空港のある奄美市のすぐ隣にある自然豊かなのどかな町だ。
龍郷柄で有名な伝統産業・大島紬や、西郷隆盛のゆかりの地(大河ドラマ「西郷どん」のロケ地にもなりました!)としても知られ、夏場は海を求めてやってくる観光客でにぎわう。
龍郷からのダイビングは、通称“奄美クレーター”と呼ばれる赤尾木湾や笠利湾といった湾内、東シナ海側の外洋、そして太平洋側の外洋といった3つのエリアをメインに潜る。
風に強くクローズになることが少ない内海、大物&マクロで湧く外洋。ともに黒潮の恵みをふんだんに受け、多種多様な生き物たちがダイバーを迎えてくれる。
今回は私、堀口和重が普段からさまざまな場所で撮影をしている“魚たちの生態”にフォーカスして、龍郷の取材を行った。
初夏の奄美・龍郷の魅力を紹介していこう。
海では多種多様な生き物との出会い、そして次の世代に命を紡ぐ“生態行動”に立ち会う瞬間がある。
「どうしたらあの子は振り向いてくれるだろう?」「何をあげたら喜ぶかな?」
人間の恋愛のことはみんな知ってるけれど、海の生き物たちの恋愛って……?
取材に訪れた5月下旬、龍郷の海は魚たちの“求愛行動”でにぎわっていた。
求 愛 行 動~命を紡ぐ海
海では多種多様な生き物との出会い、そして次の世代に命を紡ぐ“生態行動”に立ち会う瞬間がある。
「どうしたらあの子は振り向いてくれるだろう?」「何をあげたら喜ぶかな?」
人間の恋愛のことはみんな知ってるけれど、海の生き物たちの恋愛って……?
取材に訪れた5月下旬、龍郷の海は魚たちの“求愛行動”でにぎわっていた。
龍郷の赤尾木湾沖にある「バベル」というポイントには、時期になると“ミステリーサークル”のような、不思議な幾何学模様が出現する。
「えっ!ミステリーサークル!?」と驚くことなかれ。実はこれ、アマミホシゾラフグが作っている産卵床なのだ。
アマミホシゾラフグは、2012年に発見されたシッポウフグ属の仲間。ダイビングポイントでは現在、高確率で見られているのは奄美大島ぐらいという、世界的にもかなり貴重なフグだ。
しかもこの産卵床、構造もしっかりと考えられているというからさらに驚く。
360度、どの方向から水が流れてきても抜けていくように窪みが作られ、サークルの外側には粗い砂、中心部には細かい砂が集まりやすいようになっている、との研究結果もあるそうだ。
サークルの中心部でメスが産卵することから、細かく柔らかい砂にきれいな水が流れる構造になっているということか。
龍郷の赤尾木湾沖にある「バベル」というポイントには、時期になると“ミステリーサークル”のような、不思議な幾何学模様が出現する。
「えっ!ミステリーサークル!?」と驚くことなかれ。実はこれ、アマミホシゾラフグが作っている産卵床なのだ。
アマミホシゾラフグは、2012年に発見されたシッポウフグ属の仲間。ダイビングポイントでは現在、高確率で見られているのは奄美大島ぐらいという、世界的にもかなり貴重なフグだ。
しかもこの産卵床、構造もしっかりと考えられているというからさらに驚く。
360度、どの方向から水が流れてきても抜けていくように窪みが作られ、サークルの外側には粗い砂、中心部には細かい砂が集まりやすいようになっている、との研究結果もあるそうだ。
サークルの中心部でメスが産卵することから、細かく柔らかい砂にきれいな水が流れる構造になっているということか。
アマミホシゾラフグは産卵床を作る際、体全体で砂を掘りながらかき分け、邪魔なゴミなどをサークルの外の土手の部分に運んだり、飾り付けたりしている。
しかし、時に予想外なことも起こるようで、砂を掘っていくと大きな貝殻や石が現れたり、制作中に外敵が近寄って来ると懸命に威嚇して追い払ったりもする。
体長10㎝ほどの小さな体で、直径2mものサークルを懸命に作るフグ。見ている側も、心にグッとくるものがある。
アマミホシゾラフグは産卵床を作る際、体全体で砂を掘りながらかき分け、邪魔なゴミなどをサークルの外の土手の部分に運んだり、飾り付けたりしている。
しかし、時に予想外なことも起こるようで、砂を掘っていくと大きな貝殻や石が現れたり、制作中に外敵が近寄って来ると懸命に威嚇して追い払ったりもする。
体長10㎝ほどの小さな体で、直径2mものサークルを懸命に作るフグ。見ている側も、心にグッとくるものがある。
カラフルなボディが大人気のニシキテグリ。
ニシキテグリの繁殖行動が見られるのは、奄美大島が北限と言われている。
夕方、薄暗くなるにつれて動きが活発になる彼らは、その時間帯に生態行動も盛んになる。
オスがメスに向かって全力でヒレを立て、必死に求愛しているシーンは美しく、見ている側も心を揺さぶられる。
最近では見やすさからか、ニシキテグリの産卵浮上にばかり目が行ってしまうが、オスが頑張って求愛している姿もぜひ目に焼き付けてほしい。
カラフルなボディが大人気のニシキテグリ。
ニシキテグリの繁殖行動が見られるのは、奄美大島が北限と言われている。
夕方、薄暗くなるにつれて動きが活発になる彼らは、その時間帯に生態行動も盛んになる。
オスがメスに向かって全力でヒレを立て、必死に求愛しているシーンは美しく、見ている側も心を揺さぶられる。
最近では見やすさからか、ニシキテグリの産卵浮上にばかり目が行ってしまうが、オスが頑張って求愛している姿もぜひ目に焼き付けてほしい。
取材時にニシキテグリ狙いで入ったのは、ビーチエントリーも可能な湾内の「ピアテグリ」。ニシキテグリの姿はもちろん、生態行動も高確率で見ることができるポイントだ。
メスに必死にアピールする姿は、こちらも思わず「がんばれ!」と応援してしまう(笑)
人気の生物なだけに、リクエストするダイバーも多い。
潜る際は、周辺のサンゴを傷つけたり、ニシキテグリを脅かしたりしないようご注意を。彼らはとても繊細な魚だ。
取材時にニシキテグリ狙いで入ったのは、ビーチエントリーも可能な湾内の「ピアテグリ」。ニシキテグリの姿はもちろん、生態行動も高確率で見ることができるポイントだ。
メスに必死にアピールする姿は、こちらも思わず「がんばれ!」と応援してしまう(笑)
人気の生物なだけに、リクエストするダイバーも多い。
潜る際は、周辺のサンゴを傷つけたり、ニシキテグリを脅かしたりしないようご注意を。彼らはとても繊細な魚だ。
魚類のおもしろいところは、次の世代をより多く繁栄させるために、人間ではありえない行為をすることだ。それが、意外と多くの魚たちが行っている“性転換”。
艶やかで美しいスミレナガハナダイもまた、性転換する魚のひとつ。人間で言うところの女性が、男性へと性別を変えてしまうのだ。
スミレナガハナダイは小さな群れが集まって生活をしている。群れの中はオスが1匹のみで、その他はすべてメスだ。(まさにハーレム状態!)
途中、何かの拍子に1匹しかいないオスがいなくなってしまうと、今までメスだった個体が性転換をしてオスになる。これにより、群れの中には再びオスが現れ、子孫を残すことが可能になる。
龍郷ではたくさんのスミレナガハナダイが見られ、「バベル」を潜った際には性転換途中の個体にも遭遇することができた。
雄雌の色合いが混ざり合い、とても珍しい体色を見せてくれた。
魚類のおもしろいところは、次の世代をより多く繁栄させるために、人間ではありえない行為をすることだ。それが、意外と多くの魚たちが行っている“性転換”。
艶やかで美しいスミレナガハナダイもまた、性転換する魚のひとつ。人間で言うところの女性が、男性へと性別を変えてしまうのだ。
スミレナガハナダイは小さな群れが集まって生活をしている。群れの中はオスが1匹のみで、その他はすべてメスだ。(まさにハーレム状態!)
途中、何かの拍子に1匹しかいないオスがいなくなってしまうと、今までメスだった個体が性転換をしてオスになる。これにより、群れの中には再びオスが現れ、子孫を残すことが可能になる。
龍郷ではたくさんのスミレナガハナダイが見られ、「バベル」を潜った際には性転換途中の個体にも遭遇することができた。
雄雌の色合いが混ざり合い、とても珍しい体色を見せてくれた。
ハナダイ類など一部の魚は、求愛のときに色が変わる。
取材中、体色が濃くなったオスのカシワハナダイを見つけた。婚姻色である。メスにアピールする際、他のオスに負けじと色を変え、自分をより美しく見せているのだろう。
「ミドリヤ」の砂地では、メスを巡って静かなる戦いが行われていた。いたのはエソの仲間、2匹がオスで1匹がメスだ。「A君ごめんなさい…実は私、あなたの親友のB君が好きなの!」と、人間界でもよくある(!?)三角関係さながら。産卵しそうなメスを狙って、2匹のオスが後ろでじっと待ち続けている。
クロホシイシモチの産卵前のペアもいたる所にいた。つがいでぴったりと寄り添い、別の個体が近くを通ると追い払ったりしながら、産卵まで辿り着く。しかし、こんなに仲の良いペアも産卵後には急変。なんとメスがオスに向かって……と、ここから先のストーリーは諸説あるので、ぜひ自分の目で確かめてほしい。
生物の宝庫として人気のビーチポイント「倉崎ビーチ」の岩場では、マダライロウミウシが2匹でくっつき移動をしていた。これから交接をするのだ。
ウミウシ類は幼生期には浮遊生活を送り、その後着底する。この大海原で同じ種と出会い、繁殖行動を行うと思うと感慨深い。
ハナダイ類など一部の魚は、求愛のときに色が変わる。
取材中、体色が濃くなったオスのカシワハナダイを見つけた。婚姻色である。メスにアピールする際、他のオスに負けじと色を変え、自分をより美しく見せているのだろう。
「ミドリヤ」の砂地では、メスを巡って静かなる戦いが行われていた。いたのはエソの仲間、2匹がオスで1匹がメスだ。「A君ごめんなさい…実は私、あなたの親友のB君が好きなの!」と、人間界でもよくある(!?)三角関係さながら。産卵しそうなメスを狙って、2匹のオスが後ろでじっと待ち続けている。
クロホシイシモチの産卵前のペアもいたる所にいた。つがいでぴったりと寄り添い、別の個体が近くを通ると追い払ったりしながら、産卵まで辿り着く。しかし、こんなに仲の良いペアも産卵後には急変。なんとメスがオスに向かって……と、ここから先のストーリーは諸説あるので、ぜひ自分の目で確かめてほしい。
生物の宝庫として人気のビーチポイント「倉崎ビーチ」の岩場では、マダライロウミウシが2匹でくっつき移動をしていた。これから交接をするのだ。
ウミウシ類は幼生期には浮遊生活を送り、その後着底する。この大海原で同じ種と出会い、繁殖行動を行うと思うと感慨深い。
魚たちの保育行動は、いつ見てもおもしろい。
人間のように手がない魚たちは、さまざまな手段でそれを補う。
岩場に卵を産み付けるものもいれば、プランクトンのように水面を漂わせるもの、さらには口の中で卵を育てるものも!
龍郷の海でも、保育行動を行う魚たちや、さまざまな親子(成魚と幼魚)の姿に出会うことができた。
保 育 行 動~命を紡ぐ海
魚たちの保育行動は、いつ見てもおもしろい。
人間のように手がない魚たちは、さまざまな手段でそれを補う。
岩場に卵を産み付けるものもいれば、プランクトンのように水面を漂わせるもの、さらには口の中で卵を育てるものも!
龍郷の海でも、保育行動を行う魚たちや、さまざまな親子(成魚と幼魚)の姿に出会うことができた。
魚の世界の子育ては、基本的にオスが行うことが多いのはご存じだろうか?
「ピアテグリ」では、口の中に卵を持つウスモモテンジクダイのオスを見つけた。テンジクダイの仲間は、メスが産んだ卵をオスが孵化するまで口の中で守り育てるのだ。
キイロサンゴハゼなど、サンゴの中で過ごす生き物たちはその中で卵を産むことが多い。侵入してくる外敵も少なく、安心して子育てができるのだろう。
せっせと卵の世話をするナミスズメダイもいたるところにいた。ゴミが付かないようにしたり、新鮮な海水を送ったりと忙しそうだ。自分より大きい外敵が来ると、威嚇して必死に卵を守る姿にはいつも驚く。
ムチヤギの仲間などに卵を産み付けるガラスハゼは、卵を産みたいところ見つけて産卵床を作る。取材中も「大仏サンゴ」でガラスハゼがいるムチヤギを見かけた。案の定削られてる場所があり、卵を見つけることができた。
魚の世界の子育ては、基本的にオスが行うことが多いのはご存じだろうか?
「ピアテグリ」では、口の中に卵を持つウスモモテンジクダイのオスを見つけた。テンジクダイの仲間は、メスが産んだ卵をオスが孵化するまで口の中で守り育てるのだ。
キイロサンゴハゼなど、サンゴの中で過ごす生き物たちはその中で卵を産むことが多い。侵入してくる外敵も少なく、安心して子育てができるのだろう。
せっせと卵の世話をするナミスズメダイもいたるところにいた。ゴミが付かないようにしたり、新鮮な海水を送ったりと忙しそうだ。自分より大きい外敵が来ると、威嚇して必死に卵を守る姿にはいつも驚く。
ムチヤギの仲間などに卵を産み付けるガラスハゼは、卵を産みたいところ見つけて産卵床を作る。取材中も「大仏サンゴ」でガラスハゼがいるムチヤギを見かけた。案の定削られてる場所があり、卵を見つけることができた。
「倉崎ビーチ」や「リラックスガーデン」などの砂地で見ることができたのが、人気のハナヒゲウツボ。
こちらも性転換する魚で、幼魚はどこに目があるかわからないほど真っ黒な体をしている。その後、成魚になると青く変化してオスになり、さらに黄色に変化してメスになると言われている。
しかし私自身、黄色のメスとは海で会ったことがない。もしかすると、個体数も少なく、とても珍しいのかも?
「倉崎ビーチ」や「リラックスガーデン」などの砂地で見ることができたのが、人気のハナヒゲウツボ。
こちらも性転換する魚で、幼魚はどこに目があるかわからないほど真っ黒な体をしている。その後、成魚になると青く変化してオスになり、さらに黄色に変化してメスになると言われている。
しかし私自身、黄色のメスとは海で会ったことがない。もしかすると、個体数も少なく、とても珍しいのかも?
“奄美”の名がつく、アマミスズメダイはご存じだろうか?
伊豆などでも幼魚にはお目にかかることがあり、美しい水色の体色と小さな体がかわいらしい人気の魚だ。
しかし、成長すると幼魚とは似ても似つかない風貌となり、住む環境までも変わる。幼魚は根の側面や窪みに単体で生息しているのだが、成魚はサンゴ礁の中層や岩礁域で群れを成すのだ。
魚を観察する際は、色や形以外に、生息域の違いなどにも目を向けると新しい発見がありおもしろい。
“奄美”の名がつく、アマミスズメダイはご存じだろうか?
伊豆などでも幼魚にはお目にかかることがあり、美しい水色の体色と小さな体がかわいらしい人気の魚だ。
しかし、成長すると幼魚とは似ても似つかない風貌となり、住む環境までも変わる。幼魚は根の側面や窪みに単体で生息しているのだが、成魚はサンゴ礁の中層や岩礁域で群れを成すのだ。
魚を観察する際は、色や形以外に、生息域の違いなどにも目を向けると新しい発見がありおもしろい。
どこにも隠れる場所がなさそうな水面だが、実はたくさんの生き物たちが生活している。
今回も撮影を終え、ボートに戻る際に船底を見てみると、アオリイカの子どもたちが隠れていた。
また、枯れ葉かな?と思いきや、ソウシハギの幼魚が浮いていたり、小枝などの細かい浮遊物をかき分けたら、珍しいシイラの幼魚が紛れていたり。
知恵を絞って、あらゆる方法で隠れている幼魚たちとの出会いは、いつも胸がときめく。
どこにも隠れる場所がなさそうな水面だが、実はたくさんの生き物たちが生活している。
今回も撮影を終え、ボートに戻る際に船底を見てみると、アオリイカの子どもたちが隠れていた。
また、枯れ葉かな?と思いきや、ソウシハギの幼魚が浮いていたり、小枝などの細かい浮遊物をかき分けたら、珍しいシイラの幼魚が紛れていたり。
知恵を絞って、あらゆる方法で隠れている幼魚たちとの出会いは、いつも胸がときめく。
ここまで龍郷の海で出会った魚たちを、生態行動を交えながら紹介してきたが、もちろん海の見どころはそれだけではない。
大物、群れ、人気のアイドルフィッシュ、そして絶景を思わせる場所や地形など、龍郷ではワイド派もフォト派も納得の素晴らしいダイビングをすることができる。
黒潮の恵み豊かな海をご覧いただこう。
恵み豊かな海~命を紡ぐ海
ここまで龍郷の海で出会った魚たちを、生態行動を交えながら紹介してきたが、もちろん海の見どころはそれだけではない。
大物、群れ、人気のアイドルフィッシュ、そして絶景を思わせる場所や地形など、龍郷ではワイド派もフォト派も納得の素晴らしいダイビングをすることができる。
黒潮の恵み豊かな海をご覧いただこう。
先に紹介したアザハタは、湾内の「ミドリヤ」で撮影した。まるで自分がここの主であるかのように力強く根の周りを泳ぎ、根の周囲にはバイオレットボクサーシュリンプやホワイトソックスなど珍しい甲殻類を携えていた。初心者から楽しめるポイントなので、ぜひ豪快な動きを目に焼き付けてほしい。
また、外洋のイチオシポイント「デッショ」にいたのは、浅場の海をゆったりと舞うカスミチョウチョウウオの群れ。明るいブルーの海に、黄色と白が良く映える。こんな素晴らしいシーンを目にすると、自分は今南方の海にいるんだなと再認識する。
コモンシコロサンゴの群生がまるで大仏の頭のように見えることからポイント名がついた「大仏サンゴ」では、サンゴの周りを無数のハナゴイが泳ぎ回っていた。日本でも最大級と言われている奄美のコモンシコロサンゴの群生は必見。サンゴの奥にある砂地では、たくさんの種類のハゼを観察することもできる。通年穏やかで、初心者も行きやすいので、ぜひリクエストを。
先に紹介したアザハタは、湾内の「ミドリヤ」で撮影した。まるで自分がここの主であるかのように力強く根の周りを泳ぎ、根の周囲にはバイオレットボクサーシュリンプやホワイトソックスなど珍しい甲殻類を携えていた。初心者から楽しめるポイントなので、ぜひ豪快な動きを目に焼き付けてほしい。
また、外洋のイチオシポイント「デッショ」にいたのは、浅場の海をゆったりと舞うカスミチョウチョウウオの群れ。明るいブルーの海に、黄色と白が良く映える。こんな素晴らしいシーンを目にすると、自分は今南方の海にいるんだなと再認識する。
コモンシコロサンゴの群生がまるで大仏の頭のように見えることからポイント名がついた「大仏サンゴ」では、サンゴの周りを無数のハナゴイが泳ぎ回っていた。日本でも最大級と言われている奄美のコモンシコロサンゴの群生は必見。サンゴの奥にある砂地では、たくさんの種類のハゼを観察することもできる。通年穏やかで、初心者も行きやすいので、ぜひリクエストを。
“奄美ブルー”。雑誌などのメディアで使われ尽くした感のあるフレーズだが、やはりその青く美しい海の色は特筆すべき点だなと、今回の取材でも感じた。
龍郷の湾内は透明度がとても良く、さらに太陽の光が入ると、浅場には淡いブルーの海が広がる。
湾内のポイント「リラックスガーデン」では、ヨスジフエダイの群れに遭遇した。連なるヨスジフエダイの群れが、淡いブルーの色合いとマッチしていて印象的だった。
一方、東シナ海側の外洋ポイント「ブンブンロック」の深場では、濃いブルーの海が広がっていた。
奥へと進むと、自然が生み出したダイナミックな地形が広がり、まるで我々ダイバーを“冒険者”として待ち構えているようだった。
“奄美ブルー”。雑誌などのメディアで使われ尽くした感のあるフレーズだが、やはりその青く美しい海の色は特筆すべき点だなと、今回の取材でも感じた。
龍郷の湾内は透明度がとても良く、さらに太陽の光が入ると、浅場には淡いブルーの海が広がる。
湾内のポイント「リラックスガーデン」では、ヨスジフエダイの群れに遭遇した。連なるヨスジフエダイの群れが、淡いブルーの色合いとマッチしていて印象的だった。
一方、東シナ海側の外洋ポイント「ブンブンロック」の深場では、濃いブルーの海が広がっていた。
奥へと進むと、自然が生み出したダイナミックな地形が広がり、まるで我々ダイバーを“冒険者”として待ち構えているようだった。
冒頭では生態にフォーカスしたので登場させられなかったが、ダイバーに人気のマクロ生物もとても充実していた。
外洋の「デッショ」にいたのはピグミーシーホース。なんと、水深22m付近という、ピグミーにしてはかなり浅場にいる個体だ。「デッショ」は中~上級者向けのポイントだが、さらに深場の砂地にはアケボノハゼやスジクロユリハゼ、ゴロタにはフリソデエビやキンチャクガニといった人気生物もいるらしい。スキルがあるダイバーは、ぜひ潜ってほしい。
湾内の「漁礁」にいたシンデレラウミウシのペアも、魔法をかけられたかのような美しい色彩だった。ダイバーを背景に入れて撮影すると、いつもと違う雰囲気の写真が撮れておもしろい。さらに同じポイントにいた、擬態上手なオオモンカエルアンコウ。そのひょうきんな風貌は、いつ撮影してもかわいらしい。
「山本SP」にいたのが、逆さまに着底しているサカサクラゲ。サンゴ同様、褐虫藻と共生しているクラゲだ。「山本SP」もまた、湾内の初心者向けのポイント。最大水深も15mほどで、マクロ生物も豊富なので、エアが許す限りカメラを持ってじっくり撮影したい場所だ。
冒頭では生態にフォーカスしたので登場させられなかったが、ダイバーに人気のマクロ生物もとても充実していた。
外洋の「デッショ」にいたのはピグミーシーホース。なんと、水深22m付近という、ピグミーにしてはかなり浅場にいる個体だ。「デッショ」は中~上級者向けのポイントだが、さらに深場の砂地にはアケボノハゼやスジクロユリハゼ、ゴロタにはフリソデエビやキンチャクガニといった人気生物もいるらしい。スキルがあるダイバーは、ぜひ潜ってほしい。
湾内の「漁礁」にいたシンデレラウミウシのペアも、魔法をかけられたかのような美しい色彩だった。ダイバーを背景に入れて撮影すると、いつもと違う雰囲気の写真が撮れておもしろい。さらに同じポイントにいた、擬態上手なオオモンカエルアンコウ。そのひょうきんな風貌は、いつ撮影してもかわいらしい。
「山本SP」にいたのが、逆さまに着底しているサカサクラゲ。サンゴ同様、褐虫藻と共生しているクラゲだ。「山本SP」もまた、湾内の初心者向けのポイント。最大水深も15mほどで、マクロ生物も豊富なので、エアが許す限りカメラを持ってじっくり撮影したい場所だ。
奄美・龍郷は、陸にも海にも想像を超えるような種類の生き物たちが住み、固有種も多い。
ダイビングでは今回紹介した以上に、多くの生態行動も観察することができる。
「美しい山がある場所には、美しい海がある」という話はよく耳にするが、まさに奄美大島はその両者がある場所だと感じた。
自然の力を借りて紡がれる、大島紬。
龍郷はまるで、“自然と人をつなぐ場所”のようにも感じた。
世界自然遺産の候補地としても注目が集まる奄美大島。
ぜひ、奄美・龍郷の海に潜りに行き、自然の尊さを体感してほしい。
奄美・龍郷は、陸にも海にも想像を超えるような種類の生き物たちが住み、固有種も多い。
ダイビングでは今回紹介した以上に、多くの生態行動も観察することができる。
「美しい山がある場所には、美しい海がある」という話はよく耳にするが、まさに奄美大島はその両者がある場所だと感じた。
自然の力を借りて紡がれる、大島紬。
龍郷はまるで、“自然と人をつなぐ場所”のようにも感じた。
世界自然遺産の候補地としても注目が集まる奄美大島。
ぜひ、奄美・龍郷の海に潜りに行き、自然の尊さを体感してほしい。