水深22mでピグミーシーホースも!?奄美大島・龍郷イチオシの魚影&レア生物系ポイント「デッショ」がすごかった!

奄美大島北部にある「デッショ」というポイントはご存じでしょうか?

私は前日まで、奄美大島北部の湾内の撮影を行っていました。

湾内にはたくさんの生き物たちが生息しており、前回のヘッドラインでも紹介したアマミホシゾラフグをはじめ、美しい体色のニシキテグリ、かわいらしいヒレナガネジリンボウやヤシャハゼなど、取材ということを忘れてしまうほど魅了されました。

産卵床を作っていたアマミホシゾラフグ(撮影/堀口和重)

産卵床を作っていたアマミホシゾラフグ(撮影/堀口和重)

奄美大島の北部は最高なところだなぁ……と浮かれていた私でしたが、撮影を終えたその日、現地ガイドさんに「もっとすごいポイントがある」と聞かされたのです。

それが「デッショ」

「デッショ」は港から船で約30分。東シナ海に面した外洋のポイントだそう。水面から見ると、岩が飛び出ているのが特徴で、水中からもその姿は見ることができるんだとか。

そして、このポイントの目玉のひとつが、水深22m付近にいるピグミーシーホース

「確かに、浅い……!!」

普段は深場にいるピグミーシーホースが20m付近で見られるとは、なんとも魅力的。
でも、前日までいろいろな生き物の撮影に取り組んできた私にとっては、ピグミーだけではな……と、正直、期待感はやや薄かったのも事実でした。

青く抜けた海で
人気のマクロ&群れ三昧!

そして翌日、いざ「デッショ」へ。
当初の予報では梅雨入りして安定しない天候でしたが、ありがたいことに、ポイントに到着すると太陽が顔を出してくれました。

一気に気持ちは高ぶり、エントリーすると、「おーー!」とレギュレーターをくわえながらも叫んでしまいそうな透明度!

見渡す限り青く広がる世界で、前日の期待感の薄さは一転しました。

エントリーすると青く抜けた海!(撮影/堀口和重)

エントリーすると青く抜けた海!(撮影/堀口和重)

さすがは外洋、まるで海が出迎えてくれたかのように思えたのです。

そこから水深を徐々に落とし、水路へと移動。
早速、ピグミーシーホースがいる場所まで案内されました。

到着して、ガイドさんのアシストもあり、擬態上手なピグミーの撮影にすぐさま取り掛かります。

やはりどこにいってもかわいいアイドル。

ピグミーシーホース(撮影/堀口和重)

ピグミーシーホース(撮影/堀口和重)

そのピグミーを撮影して、ふと顔を上げると、何か違和感があることに気がつきました。

見渡すと、草原のようにムチヤギが広がっていたのです。
さらに中層には桁外れな数のアカモンガラが四方八方、元気に泳ぎ回っています。

ピグミーの事で頭がいっぱいになっていた私は平常心に戻り、あまり見ない光景なので「撮影しておかないとな」とすぐに広角用のカメラへ変更。撮影を行いました。

ヤギとアカモンガラ(撮影/堀口和重)

ムチヤギとアカモンガラ(撮影/堀口和重)

アカモンガラたちに見送られながらさらに水深を落とていくと、中層にはスミレナガハナダイのオスとメスの姿が。

餌を食べようとしているのか、活発に泳ぎ回る姿も確認できました。

スミレナガハナダイのオス(撮影/堀口和重)

スミレナガハナダイのオス(撮影/堀口和重)

スミレナガハナダイのメス(撮影/堀口和重)

スミレナガハナダイのメス(撮影/堀口和重)

さらに進むと、今度は水中の景勝地ような場所に辿り着きました。

巨大根がそそり立ち、壁のような岩肌が広がります。下を見ると吸い込まれてしまうのではないかと、豪快ながら恐怖感も出てきます。

しかし、そこから見上げたウミウチワの美さと太陽がきらめく景観は、今後忘れられそうもない景色になりそうです。

ダイバーとウミウチワ(撮影/堀口和重)

ダイバーとウミウチワ(撮影/堀口和重)

エキジットまで気が抜けない!
欲張りダイバーも大満足の海

ガイドさんの話の通り、おもしろいポイントだなと満足して浮上ルートに入ったのですが、ここで終わらないのが「デッショ」のすごいところ。
水深10mからエキジットまで、一息つけない状態となりました。

少し離れたところで、黄色と白の生き物が泳ぎ回っています。
近寄るとカスミチョウチョウウオの群れだと気づき、その瞬間、目の前を覆うように泳ぎ回ってくれました。

カスミチョウチョウウオが泳ぎ回る(撮影/堀口和重)

カスミチョウチョウウオが泳ぎ回る(撮影/堀口和重)

とっておきは、安全停止中に見た、咲き乱れるように群生するハナヤサイサンゴ。

浅場に広がるハナヤサイサンゴの群生(撮影/堀口和重)

浅場に広がるハナヤサイサンゴの群生(撮影/堀口和重)

ここにいる生き物は、浅場から深場まで潮通しが良いところに生活するものが多く、環境の良さを物語っていました。

今回、取材では1本しか潜れなかったため撮影できなかったのですが、深場にはアケボノハゼやスジクロユリハゼ、ゴロタにはフリソデエビやキンチャクガニといった人気生物もいるそう! また、イソマグロの群れなど、大物に遭遇できることもあるんだとか。

かわいいキンチャクガニも!(撮影/RELAXダイビングサービス 前田聡さん)

かわいいキンチャクガニも!(撮影/RELAXダイビングサービス・前田聡さん)

奄美大島・龍郷のイチオシ生物系ポイント「デッショ」。
流れることがあり、水深もやや深めなので中~上級向けですが、魚影の濃さ、人気のマクロ生物、地形など盛りだくさんで楽しめるポイントです。

奄美大島・龍郷を訪れた際にはぜひ、リクエストを!

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奄美大島の龍郷町に住んでるオーナーが集まった「龍郷ダイビング組合」。
奄美北部の海のガイドはもちろん、サンゴの育成事業やモニタリング、オニヒトデの駆除など、奄美の海の環境保全活動などにも力を入れている。
宿泊施設が併設されているショップや水中写真に力を入れるショップ、ホエールウオッチングの開催を行うショップなどがあるので、自分に合ったお店を選んで利用しよう。

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<龍郷ダイビング組合 加盟店>
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PROFILE
日本を拠点に活動している⽔中カメラマン。カメラマンになる以前はダイビングガイドをしながら数々のフォトコンテストで⼊賞。現在はダイビング・アウトドア・アクアリストなどに関連する雑誌やウェブサイト、新聞などに記事や写真を掲載、水中生物の図鑑や教書にも写真提供している。2019年に日本政府観光局(JNTO)主催の“「⽇本の海」⽔中フォトコンテスト 2019”にて審査委員、2020年には“第28回 大瀬崎カレンダーフォトコンテスト”の特別審査員も務める。近年は訪⽇ダイビングツーリズム促進を⽬的として“NPO 法⼈ Japan Diving Experience”としての活動も⾏っている。
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