ニッポンの海と文化第0話
日本人の私たちは「ニッポンの海」の
本当の価値や魅力を
知っているのだろうか?
四方を海に囲まれた島国・日本。北は北海道から南は沖縄まで、その距離は約3,000㎞に及び、実に多彩なダイビングエリアが点在している。
しかし海外のダイビング誌や旅行サイトの「スキューバダイビングで潜りたい海トップ10」のランキング結果(※1)を見てみると、残念ながら日本はランクインしていない。
その一方では、世界中で「コロナが落ち着いた際に旅行に行きたい国」の第1位に日本が選ばれている事実も。
この結果から見て取れるように、どうやら私たち日本人は「日本が誇るべき海」の価値や魅力の深淵をしっかりと認識し、伝えることができていないようだ。
日本では昔から、海は水産資源の場として重宝されてきた。そのためあってか、私たち日本人はもとより、海外から訪れる観光客にとっても、まだまだ「日本の海=寿司」という文脈が強いのではないだろうか?
そう考えた時、そもそも私たちはこの誇るべき海のことを理解し、本当に知っているのだろうか?
オーシャナCEOの河本雄太のそんな疑問から始まり、辿りついた答えが
「海、川、湖を含めた“日本BLUE=水”の価値、そしてそこから生まれた文化をもっと知りたい。そして読者の皆さんに伝えたい!」という想いであった。
2022年秋、
「ニッポンの海と文化」を探す旅が始まる
そこで2022年秋、オーシャナ編集部が全力を注いでスタートするのが「ニッポンの海と文化」という新プロジェクトだ。
オーシャナCEOの河本雄太(以下、河本)が旅先案内人として、日本が誇る水中写真家たちとともに「ニッポンの海、そして海の恵みによって作られた文化」を探す旅に出る。
日本の海は、多様性に満ち溢れている。ハンドウイルカの群れ、マッコウクジラなどの大物に出会えるチャンスもあれば、箱庭のような美しいサンゴ礁に群れ泳ぐ小さな魚たちと戯れることもできる。
そして、豊かな自然と同じくらい日本の旅で魅力的なのが、それぞれの地域に根付いた季節ごとの祭りや花火大会など。
祭りの歴史は古く、1,000年以上昔から続いているものも珍しくない。花火も江戸時代から庶民の楽しみとして定着し、今に至る。
世の中が変容していっても、心ときめかせてくれる日本の文化は、ずっと変わらずに在り続けている。
日本の海こそが、
世界に誇る「遊び」に適した海
北海道で流氷ダイビングが楽しめる同じ時期に、沖縄ではトロピカルなサンゴ礁の海で潜れるという多様性も、日本の海ならではの魅力だ。また東京や大阪などの大都市から、気軽に潜りに行ける海も素晴らしい。伊豆半島や紀伊半島の海では四季それぞれに見どころがあり、ハンマーヘッドシャークや大型回遊魚の群れなどのダイナミックなシーンに遭遇するチャンスも。
そんな誇るべき日本の海を、はじめに河本と一緒に旅して周るのは、日本を代表する二人の水中写真家・鍵井靖章氏と中村卓哉氏。そしてオーシャナのカメラマン・坪根雄大も随時同行し、旅の様子を写真や映像、文に収め、発信していく。取材チームが各地でどんなとっておきのシーンを見つけ、どんな切り口で写真に収めていくのか期待せずにいられない。
海から育まれ、
その地に伝わる文化に触れる
海は日本人にとって、遥か昔から身近な存在だ。海の恩恵を受ける場として、また信仰の対象としても崇められ、その象徴として海の上に造られた神社は各地にある。
今回のプロジェクトでは、そんな海から育まれ、その地に伝わる文化にもスポットを当て見出していく。その土地を旅したからこそ出会える、とっておきの名所旧跡、うまいもの、工芸品、温泉、宿、そして魅力的な人々など…。
取材チームが「本当におすすめしたい」と思うものだけを紹介していく。
取材チームが見たい、感じたい
「ニッポンの海と文化」とは
そして今回、そんな我々の思いを皆様にお伝えするために、一つのメインビジュアルを制作しました。それが冒頭にある浮世絵です。日本の伝統文化である浮世絵のタッチで、海と陸の共存、過去と現代、そして多様な人々が日本の海で遊ぶ風景を表現し、描きました。
この浮世絵に詰め込んだ我々の思いを胸に、これからの旅で、多様性に溢れた『ニッポンの海と文化』の魅力を再発見し、皆さんに伝えていきたいと考えています」。
「ニッポンの海と文化」では日本各地を取材して、本当におすすめしたい海、文化を感じる場所、モノ、人々などを厳選して紹介していく。皆さんが今まで知らなかった旅先を知るきっかけになったり、知っている場所の新たな魅力を発見していただけたらと思っている。
その後も連載企画として続いていくので、ぜひ私たちと一緒に旅を楽しんでいただきたい。