海にはコンタクトレンズをつけて入って良いのか
「海にコンタクトレンズつけていっても大丈夫?」
「コンタクトレンズしたまま海で目を開けられるのか?」
「海でコンタクトレンズが外れたらどうしよう?」
これはよくある質問。ダイビングに限らず、プールやシュノーケリング、サーフィンなど水遊びの時の困りごとであり、必ず出てくる疑問だろう。海やプールでのコンタクトレンズ装用に対しては、昔ほど「ダメ」という人は減ったが、まだまだ賛否両論。賛否のポイントは「目にばい菌が入る」とか「目を傷つける」といったコンタクトレンズ自体の適応というより、紛失に伴うリスクに関しての方が大きい。
コンタクトレンズの種類による違い
コンタクト自体は、大きく分けてソフトコンタクトレンズとハードコンタクトレンズの2種類がある。
●ソフトコンタクトレンズ
1DAYなど使い捨ての柔らかい素材のソフトコンタクトレンズの使用が目に対して悪影響を与えることはないだろうという眼科医が多い(下記例)。
「使い捨てタイプのソフトコンタクトレンズ、紫外線カット率90パーセントを超えるものもあり、紫外線から角膜保護にもなるため、ダイビングにおける視力矯正のよい適応になります」(眼科専門医の毛塚潤氏/’07年7月号『アイラブダイビング』連載「メディカルサイエンス」より)
●ハードコンタクトレンズ
1年ほど使用できるハードコンタクトレンズは、ズレて紛失してしまうリスクの高さや眼痛の症例があるなどの理由で奨励する人は少ない。
コンタクトレンズをしないほうが良い理由
これだけ聞くと何だかソフトコンタクトレンズでいいじゃない?と思うかもしれないが、「やめておいたほうがいい」と指摘する眼科専門医やインストラクターもいる。
その理由は、マスクが外れたり、マスククリアの際にコンタクトレンズが流れるて取れてしまうリスク。
もし流れてしまうと視力が落ちるという問題だけでなく、「なくしたらどうしよう」とか「マスクが外れたらどうしよう」という精神的なストレスになりかねないからだ。
確かにマスクが外れてもどうってことないと思っているのとマスクが外れるとマズイと思っているのとでは、いざ外れたときのストレスも潜在的なストレスも違う。
コンタクトレンズをしなかった場合のリスク
ただ、先述の毛塚氏は、「ソフトコンタクトレンズの親水性が海水やプールの水に比べて、涙液とのほうがより高い」ことから、水中で目を開けても容易には外れないと指摘している。実際、そういう現場の声も多い。
この外れるリスクをどうとらえるかが問題だが、個人的にはファンダイビングでは使い捨てのソフトコンタクトレンズを使用するのは許容範囲だと考える。
ただ、このとき、「もし外れても、目を開けていられる」としっかり認識しておくことが、潜在的ストレスを取り除くうえで大事だろう。
しかし、外れる可能性はゼロではないので、講習で安全管理をしたり、必ずマスククリアのデモンストレーションをするインストラクターは、よしておいた方がいいのかもしれない。
「度付きマスクで潜るに越したことはない」という意見もある。しかし、エントリー前やエクジット直後に裸眼で過ごしたり、陸上でマスクをすると鼻を塞がれるので息苦しさがあることなど、不便さを感じることもある。また、足元さえよく見えないでタンクを背負って歩くのはリスクもある。普段コンタクトレンズに慣れている人は特に不便さを感じるだろう。
ダイビング中の快適さだけを考えると、度付きマスクの使用をオススメしたいが、ダイビング前後の不便さが強い方は、ダイビング時はソフトコンタクトレンズにする、マスククリアなどマスクに水が入った際のデモストレーションを入念に行うなど、自身の安全を一番に考えたスタイルを選びましょう。