アクアランググループがHEADグループ傘下に。注目集まるブランド融合の行方
スキューバダイビング業界を長く支えてきたAQUALUNG(アクアラング)グループが、ついにHEAD(ヘッド)グループの一員に。すでにスキューバギアメーカーの「MARES(マレス)」、教育機関の「SSI」、スイムブランドの「ZOGGS(ゾグス)」などを擁するHEADグループによる大型買収により、ダイビング業界構造に、新たな動きが生まれている。

AQUALUNGグループがHEADグループに。ダイビングブランドの再編が進む
2025年6月27日、HEADグループがAQUALUNGグループの買収を正式に発表した。経営破綻により管財人の管理下に置かれていたAQUALUNGグループを、HEADグループが救済入札で落札。これにより、MARESやSSIなどをすでに抱えるHEADグループに、AQUALUNG(アクアラング)、APEKS(エイペックス)、AQUASPHERE(アクアスフェア)といった象徴的ブランドが加わることになる。
HEADグループは今回の買収を通じて、水中スポーツ分野での存在感をさらに強化。両社の専門性とブランド力を統合することで、ウォータースポーツ市場でのグローバルリーダーとしての地位を確立しようとしている。
5000万ユーロ規模の投資と生産拠点の拡大も
この救済パッケージには、5000万ユーロを超える緊急資金の注入や、フランス・イギリス・メキシコの生産拠点の改善・拡大も含まれている。数百人規模の雇用維持に加え、ブランドの再生と成長のための包括的な統合計画も進行中だ。
HEADグループは、AQUALUNGグループの製造能力を活用することで、自社製品のグローバルな流通・製造体制の強化にも乗り出す。この買収により、ただのブランド再編ではなく、製品供給体制の強化と市場拡大を狙う本格的な戦略が見えてくる。
MARES・SSIに続くブランド戦略の進化系か
HEADグループがウォータースポーツ分野で存在感を強め始めたのは今に始まったことではない。1971年にはMARESを、2014年にはSSIを、2020年にはZOGGSをそれぞれ買収し、それぞれのブランドはグローバル市場で飛躍的に成長してきた。SSIは買収以来、ヨーロッパNo.1の認定機関に成長し、売上も2倍以上に拡大している。今回のAQUALUNGグループ買収により、軍事・プロユース分野の戦略強化も視野に入れた動きが始まっている。ダイバーにとっても、MARESとAQUALUNGの技術やデザインの融合に期待が高まるところだ。