ニシキテグリの産卵行動を観察&撮影会レポート! 参加者全員撮影できたのか!?

アオリイカの産卵が各地で見られている今日この頃だが、沖縄県・今帰仁村ではニシキテグリの産卵が毎晩のように見られています。この時期だけのスペシャルな行動を観察&撮影しちゃおう!ということで水中写真家・清水淳さんとニシキテグリを撮影したいというダイバーの皆様とニシキテグリ撮影会をしてきました。

産卵行動は見られたのか?撮影は全員できたのか?
ニシキテグリ産卵撮影の一部始終をレポート。

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本番前にポイントの確認とファンダイビング

ゲストは最大4名の少人数体制

ゲストは最大4名の少人数体制

ニシキテグリの産卵行動が見られるのは日没後から完全に真っ暗になるまで。そのため私たちの集合も午後13時過ぎとゆっくりスタート。午後、日が出ている間に2本ダイビングをして、日没後の3本目にニシキテグリを狙うのだ。

今帰仁の港からボートを出してくれている大神丸は、いきなり日没後にニシキテグリのポイント「トレジャーパラダイス」に連れて行くことはない。日没前に一本潜って、ポイントの地形やニシキテグリのいる場所を確認した上で潜るルールだ。このポイントには水深14mほどにユビエダハマサンゴが群生しており、その間にニシキテグリが住んでいる。真っ暗になってから潜るとサンゴを踏み荒らしたり迷ったりする危険があるので、事前に必ず潜ることになっている。

当日は天気も良く絶好のダイビング日和

当日は天気も良く絶好のダイビング日和

一日目は透視度5mあるだろうかというくらいの濁り。沖縄でここまで濁るのは珍しい。そのせいあってか油断したニシキテグリが明るい時間からサンゴの内側から出てきて泳ぎ回る姿を観察できた。二日目も透視度は少し回復したが同様だった。これは確かに真っ暗になる前に潜っておく必要性を感じた。

ゲストさんたちも濁りには驚いていたが、ポイントの地形を把握し、初めて見るニシキテグリに「こんなに可愛いのか〜!」と、興奮を隠せない様子。

準備ダイブが終わったら日没までまだ時間があるのでサンゴのキレイな別のポイントへ。

一面に広がるサンゴ礁が美しいポイント

一面に広がるサンゴ礁が美しいポイント

全員ニシキテグリを狙っていたため、マクロ撮影に合わせたカメラを持っていたので、ワイドなサンゴの写真はありませんが、大槻さんが素敵なハナゴイの写真を撮ってくれたのでお楽しみください。

大槻さん撮影

大槻さん撮影

日没を待ち、準備とエントリー

2本目が終わると日没までしばし休憩も兼ねてカメラや器材の確認。

ニシキテグリの産卵行動はオスとメスの二匹が寄り添ったままフワーッと水面に向かって泳ぎ、数センチほどあがったところで放精放卵をしながら離れるというもの。一瞬の出来事なので、撮影時は連写がベスト。水中でうまく動作しないと悲劇なので、全員で連写ができるか陸でチェック。設定の注意点も清水さんからレクチャー。特にミラーレス一眼「OM-1 MarkⅡ」にはAI被写体認識AF(オートフォーカス)があり、鳥を追尾するモードで魚も認識しピントを合わせてくれるので、設定を忘れずに。

陸でのレクチャーと準備。OM SYSTEMの一眼カメラで皆さん参戦

陸でのレクチャーと準備。OM SYSTEMの一眼カメラで皆さん参戦

19時過ぎ、日が沈み薄暗くなった海にエントリー。

当日は夏至で日が長かった

当日は夏至で日が長かった

事前に打ち合わせたとおり、ブイの近くのサンゴ周りに位置どり。ライトでサポートしてくれる清水さんを中心に、左右に3人ずつサンゴに向かって横に並ぶ。砂を巻き上げたりニシキテグリを刺激したりしないために、目の前で産卵しなくても移動しないというルールで観察スタート。果たして本当に見られるのだろうか…?

全員スタンバイ

全員スタンバイ

ニシキテグリの産卵タイム

心配したのも束の間、すぐ目の前のサンゴの間を縫うようにニシキテグリが泳いでいる。よく見ると何個体かいる。しかしなかなかすぐには産卵しない。何匹かが行ったりきたり、オスはヒレを開いてメスを誘ったり…。

ヒレを開いて誘うオス(右)と見向きもしないメス(左)

ヒレを開いて誘うオス(右)と見向きもしないメス(左)

強い光を当てると産卵をしないので、赤いライトを斜め後ろに向けて、漏れた光で目を凝らしながら観察をする。海の生き物は赤い光を認識しにくいのだ。人によっては赤ライトに減光フィルターをつけ、さらに光を弱くしたライトを使用している。

だんだんと暗くなってきた

だんだんと暗くなってきた

潜水時間30分近く経っただろうか。水温25度とはいえじっとしているのでさすがに寒くなってきた。そろそろ産んでくれ〜と思いながらふと目線を外すと、向かって右下の方で二匹が寄り添って浮かび上がってきた。

これが産卵の瞬間かー!と初めて見る光景に目を見開き、カメラを向ける。TGの内蔵フラッシュだとスピードが追いつかないため連写はできない。何度かシャッターを切るものの暗くてピントがなかなか合わない。

ピントが合わない

ピントが合わない

心をどうにか落ち着けてニシキテグリを観察しなおし、何度目かでどうにか寄り添う二匹を写真に収めることができた。冷静になって周りを見ると何人かが連写をしている。どうやら各所でニシキテグリの産卵行動が見られているよう。どれだけこのサンゴの森に住んでいるのか…。

産卵行動が始まり10〜15分くらい経ったころ、清水さんが赤いライトを消し、白いライトでダイビング終了の合図を出す。あたりからすっかりニシキテグリの姿は消えている。不思議なもので、2日目もほとんど同じ時間に産卵が見られた。ニシキテグリたちは、何を合図にしているのだろうか。

果たして結果は…?

一日目は、撮影が終わった後はホテルに集まってみんなで写真をシェア。果たして全員撮影できたのだろうか…?

一人ずつSDカードを清水さんに渡してモニターで確認

一人ずつSDカードを清水さんに渡してモニターで確認

結果、二日間とおして、みんな別々の場所で見ていたのに素敵な作品が撮れていました! 一日目は大槻さんだけ産卵自体が見られなかったということでハラハラしてましたが、二日目バッチリ観察&撮影できたのこと。よかった〜〜。

ということで、皆さんの作品をご紹介!

中俊樹さん撮影。二匹がこっちに向かって泳いでくるところを捉えている。初めてのニシキテグリ撮影とは思えないほど完璧な位置どり

中俊樹さん撮影。二匹がこっちに向かって泳いでくるところを捉えている。初めてのニシキテグリ撮影とは思えないほど完璧な位置どり

石田竜治さん撮影。ダイビング自体も久しぶりとのことだったがしっかりと二匹が重なった姿が捉えられている

石田竜治さん撮影。ダイビング自体も久しぶりとのことだったがしっかりと二匹が重なった姿が捉えられている

若林広司さん撮影。一年ぶりのニシキテグリ撮影で、連写モードのない装備だったが可愛らしい二匹の寄り添う姿を収めていただいた

若林広司さん撮影。一年ぶりのニシキテグリ撮影で、連写モードのない装備だったが可愛らしい二匹の寄り添う姿を収めていただいた

大槻祥也さん撮影。一日目は産卵行動が見られなかったという大槻さん。二日目は清水さんの横に位置どりバッチリ見られたそう。写真は寄り添う前の可愛い二匹

大槻祥也さん撮影。一日目は産卵行動が見られなかったという大槻さん。二日目は清水さんの横に位置どりバッチリ見られたそう。写真は寄り添う前の可愛い二匹

初めての方もそうでない方も、ニシキテグリの産卵行動を観察&撮影でき、大成功となりました。ここまで見ると「やっぱり一眼じゃないと撮影できないんじゃないの?」と思う方もいるかもしれません。そんなことはありません。私のTGで撮影した作品もぜひご覧ください。

編集部スイカ撮影

編集部スイカ撮影

TG-6と内蔵フラッシュ(と、清水さんの編集の力)でここまで撮れました! 見てくださいこの繊細な模様とヒレの透明感…! TGってすごい。

ピント合わせが難しく、バシッと決まった一枚はこれだけですが、ライトを変えたり外付けフラッシュなどアクセサリーの使用や工夫次第でもっと撮れそうです。ぜひ、ご興味のある方はTGでもお気軽に撮影しにきてみてください。7月くらいまではシーズンなので今年もまだまだチャンスありです。

企画をしていただいた清水さん、ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました! また次回よろしくお願いします。今回参加できなかった方はぜひ次回ご参加ください〜!

二日目はニシキテグリ顔で

二日目はニシキテグリ顔で

ニシキテグリの観察、撮影ダイビングの問い合わせは清水さん主宰の水中写真教室マリーンプロダクト

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PROFILE
IT企業でSaaS営業、導入コンサル、マーケティングのキャリアを積む。その一方、趣味だったダイビングの楽しみ方を広げる仕組みが作れないかと、オーシャナに自己PR文を送り付けたところ、現社長と当時の編集長からお声がけいただき、2018年に異業種から華麗に転職。
営業として全国を飛び回り、現在は自身で執筆も行う。2020年6月より地域おこし企業人として沖縄県・恩納村役場へ駐在。環境に優しいダイビングの国際基準「Green Fins」の導入推進を担当している。休みの日もスキューバダイビングやスキンダイビングに時間を費やす海狂い。
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