ガイドさんはなぜあんなに簡単に生物を見つけられるんですか?
ガイドさんが次々と人気生物を見つける姿に、
尊敬のまなざしを向けるのと共に単純に驚くダイバーは少なくない。
僕のところにも「なんで、あんなに簡単に見つけられるの?」というお便りがしばしば届く。
なぜ、あれほど簡単に生物を見つけられるのか?
「目がいい」、「直観が鋭くなっている」、「生物のことをよく知っている」
といった答えが多いが、半分だけ正解。
もう半分の答えのヒントは、取材前にかける電話に隠されている。
「明日、早朝に潜ってネタおさえときます」
「ここ数日潜っていないので、おさえがないんですよ〜」
この〝おさえる〟という感覚。
彼らにとって潜っている海は勝手知ったる庭のようなもの。
庭に花が咲けばいち早く気がつくし、ちょっとでもゴミが落ちていれば気になるもの。
つまり、庭である海に「毎日のように潜って海の中を把握しておく」。
これがガイドさん驚くほど生物を見つけられる一番の理由だ。
ガイドさん同士の会話を聞いていても、
「あの根の2㍍左の3つ並んだ小石の裏に……」とか
「端がちょっと切れたあのカイメンのさ……」と、
それはもう庭を通り越して自分の部屋のような感覚ですらある。
なので、「私もガイドさんのように生物を見つけたい!」と聞かれることもあるが、
それはちょっと無理な話。
だからこそ、お金を払ってでも潜りたいわけですからね。
ただ、ガイド並は無理でも、やはり生物の生態や生息環境を知れば、
自分で生物を見つけられる確率もかなり上がるはず。
赤いダンゴウオは、ちゃんと”ダンゴウオが出るころの水温”に、
“赤いダンゴウオがいるはずの海藻”で見られるのだ。
葉山の《ダイビングショップNANA》ガイドのテルさんは、
「絶対にいるって信じて探すことです。半信半疑で探すのとでは、
絶対に見られる確率が違ってきます!」と力説するので、
そうした集中力も大事なのかも。