ダイビング器材のオーバーホール特集! よくある質問10に本音でお答え
オーバーホールのよくある素朴な疑問、器材の長持ちさせる裏ワザ、すべてお答えします!
オーバーホールのよくある質問10に本音でお答えします!
※2012年12月3日に投稿された記事を随時更新・修正しています。
目次
Q1.オーバーホールってそもそも何?
A.ダイビング器材の点検と修理です。
“overhaul”=「機械などを分解して点検や修理を行うこと」。ダイビング器材を部品単位まで分解し、洗浄、組立を行なって、買ったときと近い状態に戻す作業のことです。
オーバーホールを定期的にすることで、「ダイビング中のトラブルを未然に防ぐ」「器材を長持ちさせる」「病気を予防し、健康を維持する(メッキ剥がれによる鉄粉の混入、カビの防止)」ことができるのです。
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Q2.オーバーホールって絶対にやらなきゃダメ?
A.やらなきゃダメ。絶対かどうかは考えて。
どんな遊びやスポーツでも道具のお手入れは基本。ましてや、機械の場合、どんなにお手入れをしているつもりでも、内部まではなかなかメンテナンスができないもの。また、それぞれの部品には耐用年数が想定されており、定期的なチェックが必要です。
水中という特殊な環境では、器材のトラブルは事故に直結します。定期的にオーバーホールを行なうことで、安全にダイビングが楽しめるのです。
それでも、「絶対にやらないとダメですか?」「壊れてからでいいじゃん」と言う人がいますが、特に法律で決められたわけではないので、あとは自己責任。ただ、リスク回避と予防が求められるダイビングでは、呼吸や浮力という水中活動での根本的な役割を担う器材のリスクに無頓着なのは、ダイバーとしての資質が疑われます。
関連記事:器材は見えないところで劣化する~オーバーホールの必要性~
Q3.オーバーホールって何をするの?
A.洗って交換が基本。
“より快適に”が一歩先いくオーバーホール
ダイバーが水中活動をするうえで、絶対に確保しなければいけないのは“呼吸”。つまり、レギュレーターのオーバーホールが不可欠です。自力では洗浄できないレギュレーターを分解し、内部の汚れを取り除いたり、劣化部品を交換します。その他、ゲージやホース、BCのインフレーターなど、普段、お手入れできない個所を基本にオーバーホールします。
ただ、ひとくちにオーバーホールといっても、お店の機器や工具、技術によって違いがあります。例えば、一歩先いくオーバーホールでは、レギュレーターを個人に合わせて最も呼吸しやすいように調整してくれます。
※1stステージの中圧値と2ndステージの呼吸抵抗値を調整。
一歩先いく、オーバーホールのSTEP10
具体的にレギュレーターのオーバーホール過程を見ていきましょう。一歩先いくオーバーホールのチェックポイントもご紹介します。
■STEP1 器材を郵送&受付
まずは、器材をダイビングショップや専門店に郵送、もしくは持ち込みます。ここで、メーカーやモデル名、製造番号などを記録し、ワランティーカードの保証の有無を確認します。
・詳細なメンテナンス実施記録を作成。
器材の状態を細かく数値化し、パーツひとつひとつの品番・名称・単価を記載します。
・プロは器材をひと目見れば、適切に使っているかどうか一目瞭然。
改善点が必要であれば、器材の正しい扱い方のワンポイントアドバイス。
■STEP2 点検
タンクにつないでエアーを通し、1stステージの中圧値を計測します。
また、実際に吸ってみて、フリーフローや異音がないか、器材が正常に動いているか、吸い心地はどうかなどを、見て聞いて感じて症状を見ます。その他、破損部はないか部品の欠落はないかなど、外観チェック。まさに、機器と職人技の合わせ技です。
希望者には、機器で計測し吸い心地(調整)のチェック。
■STEP3 水槽検査
高圧タンクにつなぎ、エアーを通した状態で水槽に浸け、エアー漏れがないかチェックします。
器材の組立後にこの検査を行うお店が大半ですが、早い段階でホースやゲージジョイントのエアー漏れなどを確認。見込んでいた予算と大きな開きが出ないように、早い段階での確認は大事です。エアーが漏れていると泡となるのでひと目でわかります。
※器材の状態が著しく悪かったり、特殊な部品交換が必要など、部品代が高額になる場合は相談。下取交換と買替えを比較検討するなど見積り。
■STEP4 分解
可能な限り細部まで分解。錆の状態やメッキの剥がれ、部品のへたり具合などチェックしながら、慎重に作業を進めていきます。
■STEP5 洗浄
分解されたパーツは専用の洗浄液の入った超音波洗浄機にかけられます。
1秒間に4万回以上繰り返される超音波によって形成される泡が、膨張→圧縮→破裂するときの衝撃力を利用して汚れをかきとります。手動で洗うよりも短時間に精密で完璧な洗浄が可能。
汚れを取るうえで大事なのが洗浄液。
例えば、2種類の薬液を用いた2度洗浄を行う店もあり、それでも落ちないしつこい汚れがある場合は、ブラシや綿棒を使ってきれいに落とします。
■STEP6 乾燥
エアーで水気を飛ばして十分に乾かします。
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部品の細部まで気を配った乾燥。
■STEP7 組立
Oリング等の消耗部品を交換して組み立てていきます。
グリスを塗るとき指につけて塗ることが一般的ですが、不要な部分に余分な油分がつかないように、細かい刷毛を使って丁寧に作業を行います。
■STEP8 調整
レギュレーター(1stステージの中圧や2ndステージ)の圧力調節を行ないます。
デマンドレバーの高さなど、2ndステージの調整は、作業者自身の感覚と経験に基づく技術力が最も問われます。
初動抵抗計測器を使い、器材の状態を数値化。
微調整も可能となり、器材の性能を最大限に引き出すことが可能です。
■STEP9 水槽検査・仕上げ・最終点検>
水槽につけて、各部からエアー漏れがないか確認し、しっかり乾燥させます。再度調整数値の確認を行ない、次回オーバーホール時期のシールを貼って完成。
すぐに、何度も器材を動かすと部品を消耗させるので、最小限の動作確認を行った後は、1~2日寝かせて器材に部品をなじませます。
■STEP10 梱包・精算・出荷
プチプチなど梱包資材でしっかり梱包して器材を発送。
専門店の場合、急ぎで4~5日、標準で10~2週間で手元に器材が戻ってきます。
Q4.オーバーホールってどの器材を出すの?
A.とにかく“呼吸”。あとは、手が届かない器材
水中では、何を置いても確保しなければならないのは“呼吸”。
空気を供給するレギュレーターの定期的なオーバーホールは必須です。
同時に、BC、特にインフレーターのオーバーホールもオススメ。実は、器材トラブルによる事故の中でも、インフレーターは最も多い原因なのです。塩がみすると給気ボタンが押されたまま戻らず、エアーが入りっぱなしになって急浮上してしまい危険です。
また、2年以上オーバーオールしていないなら、ゲージジョイント部(残圧計と高圧ホースの接続部)も。エアー漏れをして、残圧計に湿気が入ると、計器類は修理が効かないので、高額な残圧計ユニットを取り換えることになってしまいます。
その他、BCジャケット、バルブ、排気弁清掃、ホースのカプラー(BCやドライの接続部分)などいろいろありますが、お得なセット価格を設定しているところがほとんど。まとめてやってしまえば安心です。
※自分で判断ができないという場合は、ひとまず器材診断をしてくれるところもあります。
(オーシャナは器材診断も行なっています)
Q5.どれぐらいの頻度で出せばいいの?
A.1年、100本がひとつの目安。絶対かどうかは考えて。
レギュレーターは、1年に1度、または1年経っていない場合でも1年以内に潜水本数が100本に達したときがひとつの目安です。
(ただし、ATOMICのT、B、STシリーズのみ2年に一度)
ただ、よく聞かれるのが、「どうして1年?」「1年に1回じゃないとダメなの?」というご質問。
「1年であることの根拠が不明瞭」、「器材によって傷み具合が異なる」、「1年以上しなくても長く使っている人がいる」などが、質問をする理由のようです。
まず、なぜ1年かと言われれば、明確な答えはありません。しいていえば、自社の製品を最もよく知っているメーカーが、品質に責任を負うための推奨する期間です。
賞味期限がなぜその日付? 車検ってなぜその頻度? と同じように、明確な答えはなく、実際、賞味期限が切れても食べられますし、車検を通さなくても普通に乗れる確率の方が高いのかもしれません。また、保存方法によって賞味期限は変わるでしょうし、通勤で毎日乗っている車とたまの休みにしか乗らない車では傷みも違うでしょう。それでも、賞味期限も車検も個々の事情によって設定値が変わることはありません。そういうことです。
最後はあくまで自己責任で判断することだと思いますが、ゆとりをもって安全に楽しく潜るためには、1年、100本という基準を推奨します。
1年、100本より前にオーバーホールする場合
もし、ダストキャップを閉めずに水洗いをしてしまったり、水槽内でパージボタンを押して水没させてしまった場合は、速やかにオーバーホールに出してください。
それ以外に、以下のようなことに気が付いたら、速やかな点検、調整をおススメします。
・空気の流量が多く、フリーフローしている
・ホースに亀裂、ヒビ割れ、付け根に膨らみがある
・長期間使用しておらず、久しぶりに器材を使用する
関連記事:ダイビング器材のオーバーホールはどうして1年に1度なのか?
Q6.いつ、どのタイミングで出せばいいの?
A.ブランク明け、潜る前がベター
器材をしばらく使わない場合、オーバーホールをしてから保管しておくのか、ブランク明けの、ダイビングに行く前にオーバーホールするのか、どちらがベストな選択なのでしょうか。これまたよく聞かれる質問です。
次の使用予定がなく、しばらく使用しない場合は、潜った後に出すのがベター。
塩や砂がついた状態のまま、使用しないで長期間放置していると(器材を水に浸け、動かす機会がないと)器材が傷む原因となります。清潔な状態で保管し、3ヶ月以上経過してから使用する場合は、一度エアー通しをして点検を行なってから使用するとベスト。
※ちなみに、オーシャナのオーバーホールでは、後6ヶ月間の作業保証(交換済みのパーツも保証)・再調整(工賃)無料サービスに加え、12ヶ月間のエアー通し点検(工賃)無料サービスを行っています。お気軽に何度でもご利用ください!
Q7.良い業者と悪い業者の見分け方はある?
A.あります。具体例を要チェック!
オーバーホールの作業工程や内容はおおまかには同じですが、お店(業者)によって設備や工具の質、技術力が異なります。
当然、品質や料金など、お店によって違いが出てきます。うがった見方をすれば、作業内容が見えないので、手抜きをされても気が付くこともありません。
では、良い業者とはどういう業者でしょうか?
具体的に挙げてみましょう。
【良い業者とは?】
- メーカー指定の講習を受け、メンテナンスをする資格を許可されている。
- メーカー指定の特殊工具を含め、適切な作業工具を所有している。
- 生産物賠償責任保険、受託者賠償責任保険に加入している。
- 作業した箇所、内容、器材の状態がわかる整備記録を発行している。
- メーカー指定の正規パーツへの交換を行っている。例外がある場合はOEMパーツを使用する際、お客様に説明と交換可否の確認をきちんと行っている。
- メーカーに返却しなければならない(ワランティー適用時、返却が義務づけられている)場合を除き、お客様に交換済みのパーツを返却している。
- 交換したパーツの品番・単価・個数といった明細が明記されている。
- 整備記録を保管し、アフターフォローを行っている。
ただ、これは一般ユーザーからは見えない部分もあるかもしれません。そこで、電話やメールなど、問い合わせの返答で「ちょっとあやしいかも」というQ&Aの具体例を挙げてみます。
【電話対応でピンとくる悪い業者】
Q.どれくらいかかりますか?
A.即日、もしくは翌日
→きちんと一連の作業をやろうと思えば3~4日はかかります。
Q.いくらくらいかかりますか?
A.見てみないとわかりませんorやってみないとわかりません
→もちろん、最終的にはやってみないとわかりませんが、毎回交換しなければならない最低限の部品は決まっているので、メーカー名や機種名から、概算見積りを出すことは可能です。
ただ、見積もりを出してもらっても、終わってみたら見積もりよりはるかに高くなってしまったというのでは納得いきません。オーバーホール中に、追加で必要な場合は、必ず事前連絡が欲しいと伝えておくとよいでしょう。
つまり、日数を費用がぼやかすようなお店はあやしいので、しっかり確認がとれたら申し込みましょう。また、あまりにも低い費用の場合も要注意です。
最後に、トラブルの実例をご紹介します。
悪い業者を回避するための参考にしてください。
【実際にあったトラブル】
■メーカーから無償交換の指示があったにもかかわらず交換されていない。
■メーカー指定の部品無償交換の期間だったが、お客の自己負担(有料)で交換することになってしまった。
×
メーカー指定の講習を受けず、無資格でオーバーホール。
資格所有者なら、正規パーツを入手したり、アップデート情報(リコール等含む)が定期的に入ってくるため、常に最新情報のもとで運営されています。
■径の違う工具を使用したことによる金属ナメ。角が潰れてしまい工具がかまなくなり、外れなくなったり、取り付ができなくなったりして、交換せざるを得ない状況に。通常交換しない金属部品は高額な傾向にあるが、お客の負担となり……。
×
適切でない工具を使ってオーバーホールしているお店があります。適正な工具を、正しい方法で使用しなれば、器材を傷める原因となります。作業跡を見れば一目瞭然です。
■異なる硬度のOリングの使用が原因で、飛び出し、切れが生じている。
×
誤ったパーツを使用して、オーバーホールをしている店があります。
汎用のOリングなど手に入るパーツがあるため、メーカー指定パーツでないものが入っていることは珍しいことではありませんが、Oリングは径だけでなく硬度という点でも種類があります。径だけ合わせればOKであると思い込み、硬度について知らない人も少なくありません。また、Oリングにはすべてグリスを塗るものだと勘違いしていることも多く、塗る必要のないところに塗るとトラブルの原因になります。
■オーバーホールしたにもかかわらず、ダイビングでフリーフロー。点検・分解したところ、中部には塩の結晶・緑錆あり、Oリングはへたり・硬化あり、製造終了でアップグレードを要する箇所には旧の部品が入ったまま。ゴムシート(LP)を裏返しにして取り付けされていました。
×
すべての部品を分解・洗浄・組立せずに、一部だけ作業することをオーバーホールと呼んでいるお店があります。
一つの判断基準としては、メーカーに返却しなければならない(ワランティー適用時、返却が義務付けられている)場合を除き、一連の作業を行っているお店は、交換済みのパーツをすべて返却してくれます。
■作業内容や器材の状態の把握のために、他店のオーバーホール明細を見ると、パーツの品番は無記入、各パーツの単価が定価の2~5倍になっていた。
×
交換したパーツの品番・単価・個数といった明細を明らかにしないお店は要注意!
明細提示を細かくされなくても明朗会計なお店はたくさんありますが、できれば交換済みの返却パーツと伝票の明細を照らし合わせて自分自身でも確認できるお店は安心です。
■オーバーホール後に初めて器材を使用したところ、エアーを通したら突然セカンドステージの部品が飛び出した。器材の構造から検証したところ、一部品を入れる向きが反対に取り付けされていたよう……。1stステージ内のポペットスプリングが入っていない(入れ忘れ)という事例も。
×
十分なトレーニングを積まれていない人が作業されている場合があります。(部品の入れ忘れ・入れ間違い)
分解図通りに、部品をもれることなく組み上げることは最低限ですができていない場合もあります。
■生産物賠償責任保険、受託者賠償責任保険に加入していない。
×
修理・調整のため預かった器材に、火災・盗難・破損などの事故が発生した場合に備え、お客様への補償が準備されていなければいけません。
メーカーから認可を受けているお店は保険加入が義務付けられています。
Q8.いくらかかるの?
A.定価の20~40%オフが適正価格!?
オーバーホールを業者に直接出す場合、「適正価格の目安は、メーカー定価の20~40%オフ程度」と業者の方は言っています。このひとつの目安で考えれば、通常のレギュレーターであれば、1万2,000~5,000円くらいでしょうか。もちろん、使用頻度や劣化具合、パーツ代、海外のもの、ワランディーカードの有無などによっても異なります。
それ以上に安い場合、企業努力や寝る間も惜しんで、ということも考えられますが、作業を見られない以上、「すべての作業を行っていない」「工賃を安く、高額パーツ代を高く設定。見積もりよりかなり高額な結果になる」といった可能性を疑いたくもなります。
ちなみに、オーシャナのレギュレーターセットプランを一例に具体的に見てみましょう。
いずれにせよ、詳細明朗に金額を提示してくれるお店を選ぶのが鉄則です。
Q9.器材を長持ちさせる裏技を教えて?
A.教えましょう。
ホースを長持ちさせるプチ裏技
タンクのバルブを開けるとき、パージボタンを押しながらバルブを開けるとホースにかかる負荷が軽減されます。意外と知られていませんが、こうするだけでホースの持ちは全然違います。
パージボタンを押しながら、ゆっくりとバルブを開ける。シューっとエアがもれるのが聞こえたらパージから指を離してバルブを全開。
バルブを開けると、高圧のエアが一気に流れ込み、ホースに大きな負荷がかかります。パージボタンを押し、空気の逃げ道を作ることによって、その負荷を減らしてあげるというわけですね。
ホースは1万円前後する決して安くはないパーツ。ホースに優しく接して、少しでも長持ちさせることは財布への優しさでもあります。
また、水中でホースが破裂!なんてことも希に聞きます。もしもに備えることは安全ダイビングの鉄則。ホースへの優しさは、自分自身を守ることにもつながるのです。
傷んだホースの見分け方
傷んだホースはエアを通すとぷっくり膨らみます。こうなってしまったらすぐに交換しましょう。
ゲージを長持ちさせるプチ裏技
ゲージ、特に残圧計のケアを怠るとどうなるのでしょうか?こんなことになります。
こんなこと:結露
炎天下に器材がさらされたゲージは外気温で熱を持ち、そのまま海へ入ると一気に水温が下がって結露してしまうというわけです。
特に金属製のゲージは熱伝導率が高いので結露がしやすく、結露は残圧計の針を腐らす原因にもなりかねません。
逆に樹脂製のゲージは結露しにくいのですが、一度結露して水滴が発生すると熱が入りにくいので乾きにくいです。
なので、直射日光が当たらないように、ゲージをBCのポケットに入れたり、タオルなどで巻いておくだけでも長持ちします。
保管の際は、やはり直射日光を避け、風通しのよい日陰というのが基本です。日射しの強い南国では特にオススメします。
※
また、こんなトラブルもあります。
こんなトラブル:水没
原因は“外部からの衝撃”。
衝撃が加わることで、中の管(ブルドン管)に亀裂が生じたり、小さな穴が開いて、文字盤とガラスとの空間にエアが漏れ出し、そのエアの圧力が前面ガラスを押し上げ、水が入ってしまいます。
写真のゲージのように弁がついていないタイプのものは、水が内部に溜まった状態になり、弁がついているタイプのものは、弁からエアが放出され弁がはずれます。そして陸上で残圧ゲージを振ると、弁から水が出てきます。
予防の方法は至ってシンプル。衝撃を与えないよう、丁寧に器材を扱うしかありません。
直射日光と衝撃。2つの大敵に気をつけながらも器材は消耗品。定期的なオーバーホールをせず長期放置していると、致命的なダメージに繋がってしまいます。
致命的なダメージ:金属の腐食
塩がついたまま長期放置していると金属が腐り、洗浄にかけて塩を取り除くと、メッキ剥がれを起こしている状態です(写真)。一度メッキが剥がれると、あとは広がっていくのみで元には戻りません。剥がれたメッキ片がOリングに付着するとエア漏れを起こす事もあります。
最悪の場合……。
ゲージジョイント部(残圧計と高圧ホースの接続部)のOリングが劣化し、エア漏れを起こしたり、湿気が入ってブルドン管が腐って計器が狂う原因になります。破裂することもあります。
器材の劣化具合によって料金はかなり変わってきます。さらに、ダイビングのリスクを減らして安全なダイビングを楽しむ上でも日々の器材のケア、定期的なオーバーホールは欠かせません。
器材への優しさは、お財布と自分自身への優しさです。
器材はいつ洗う?
器材は現地のお店の水槽でしっかり洗うべきなのか、家に帰ってしっかり洗うべきなのか。どちらがいいのでしょうか?
現地では軽く塩を落とす程度に洗い流し、少しの間水につけておきます。その後、自宅の浴槽や水槽に10分前後つけて、ホース部についている塩をスポンジなどで軽く拭き洗いし、日陰で乾かすのが良いと思います。
現地のお店の水槽では、混み合っている時などは水も汚れていたり、海水が混入したりしています。自宅での洗浄を行うか、行わないかで器材のもちに違いが出てきます。
関連記事:オーバーホールの専門家に聞く!おすすめしたいマイ器材のメンテナンス&収納方法
Q10.オーバーホールはどこに出せばいい?
A.お得で安心のオーシャナ・オーバーホール始めました!
オーシャナでは、ダイバーの命を預かる器材をコンスタントにオーバーホールしてほしいとの思いから、最先端の機器と信頼できる技術者とタッグを組んで、オーバーホール事業を開始します。
これまでご紹介してきた、オーバーホールで必要なもの、良い業者の条件などをすべて兼ね備え、信頼ある最高レベルの質を提供することをお約束します。
info[at]oceana.ne.jpもしくはお問い合わせフォームからご連絡ください。
※メールの場合、[at]をアットマークに変換してお送りください。
オーシャナからの5つのお約束
1.コンスタントにオーバーホールしてほしいから……
来年は5%オフ、再来年は10%オフ……やればやるほどお得!
いつまでも安全に楽しく潜って欲しい。
そんな思いから、コンスタントにオーバーホールしていただける方法を考えた結果が、“コンスタントにオーバーホールを続けるとお得”というシンプルなもの。
2回目のオーバーホール代金は5%オフ、3回目は10%オフで、その後はずっと10%オフの料金でオーバーホールをお引き受けします。また、オーシャナの通販サイト・Dive Market会員の方は、ポイントが加算されます。
2.ブラックボックスはトラブルのもと
明朗会計のために修理・整備記録ですべてをオープン
料金をしっかりと提示することは当たり前のことですが、その修理・整備内容をオープンにして始めて明朗会計と言えます。というのも、オーバーホールの作業内容を実際に見て確認することはほとんどなく、お客様は、業者を信頼してお任せするしかありません。多くの業者が適正にオーバーホールをしていると信じたいですが、ブラックボックスである以上、作業工賃を下げるために必要な手順を省いたり、部品に不当な料金が上乗せされていてもわかりませんし、実際にそのようなケースがあります。
そこで、オーシャナでは、その作業内容はもちろん、パーツの品番から単価・個数を詳細に明記した整備記録を発行します。お客様が完全に内容を把握できないとしても、こうした記録発行と保管は、健全性を担保するために必要不可欠なことだと考えています。
3.職人だからこそ丁寧に完ぺきに
工具にこだわった精度の高い作業
オーバーホールにおいて、精度の高い信頼のおける工具を使うことはとても重要です。メーカー指定の特殊工具を始め、元車の整備士である職人が厳選した工具を使っています。例)トルクレンチは「東日」、スパナやメガネレンチ、ヘクスレンチなどは「HAZET」等を使用
また、妥協のない丁寧な作業を心がけているからこその工具。例えば、Oリングに指でグリスを塗ってオーバーホールをするケースが多いですが、不要な場所に不要な油分がついてしまいます。細い刷毛を使うことにより、こうしたことを回避しています。
4.現状維持ではなく、より快適を目指して
こだわりの最新機器
オーバーホールで汚れを取り、整備して組み立てることは最低限のこと。器材の性能を、個々に合わせて最大限に引き出すことが大切だと思っています。そのために、実際に使っている2つの機器をご紹介します。熟練の技と合わさることにより、より快適な仕上がりを目指しています。
◆自分に合った吸い心地を見つける!
初動抵抗計測器
この機械は、簡単にいえば、レギュレーターを口にくわえて吸った時の抵抗感(吸い心地)を数値化してくれるもの。最終的な調整は作業者の感覚ですが、吸い心地を数値化することで、より確実にニーズに合った調整を可能にします。しばらくして、吸い心地が悪くなってきて、「前回の状態に戻してほしい」とか「前回よりもう少し軽めで」といった要望にも応えることができます。
◆体にも環境にも優しく、ピッカピカ
2種類の洗浄液と2度の超音波洗浄
汚れを落とすためのポイントとなるのが洗浄液。お店ごとに違ったものを使っていますが、口に入れてはいけないものやトイレ洗浄液を使っているなんていう話も聞きます。きれいに汚れが落ちても、金属にダメージを与えたり、体や環境に悪くては意味がありません。
そこで、オーシャナのオーバーホールでは、1回目の洗浄にクエン酸で超音波洗浄をしています。グレープフルーツの皮などに含まれる天然素材を使用した、環境にも体にも優しい素材です。そして、2回目の洗浄では、金属のメッキを保護するオリジナルの洗浄保護液を使用して超音波洗浄をかけ、ピカピカにします。こちらも人体に安全なイオン系の薬品です。汚れをとった後に保護をすることで、傷んだ器材も少しでも長持ちさせようという試みです。
通常オーバーホールの洗浄は一つの薬品で一度しか行わないのが一般的ですが、試行錯誤から生まれたこだわりです。正直手間がかかるのですが、お預かりした器材を一つ一つ丁寧に想いを込めて仕上げています。
5.アフターフォローを大事にします
6カ月の修理保証、器材の相談もお気軽に
オーバーホール終了後、6ヶ月間の修理保証がついています。同期間内に再調整のご要望があれば、何度でも無償で調整させて頂きます(宅急便利用の場合は、送料のみご負担ください)。
例えば、オーバーホール後の器材の不具合への対処は当然のことですが、「もっと呼吸抵抗を軽くしたい」など、微調整のご要望にも無料でお応えします。その他、器材に対するストレス(アゴの疲れ、ノドの渇きなど)があればお気軽にご相談ください。
マウスピースを変える、空気洗浄加湿機をつける、など改良のアイデア、実際の取り付けなども行ないます。
◆自動車整備士でありインストラクター
オーバーホール専門の職人技
ひとつひとつの器材に向き合うオーバーホールは、最終的には作業者の腕がものを言います。機器や器具にくわえ、最終的には作業者の腕や思いが最高のオーバーホールにつながると信じて、オーシャナでは、最も信頼できるオーバーホールの職人とタッグを組みました。
元マツダ勤務で自動車整備士資格を持つことからもわかるように、もともと機械いじりは大の得意。好きが高じて、ダイビングショップ経営後、13年以上、ダイビング器材のオーバーホールを専門に行なっています。
ぜひ、オーシャナ・オーバーホールをご利用くださいませ!
■協力/園田万伍当