日本の水中写真家の実力を証明!! 国際フォトコンOG PICOTY3部門で4名が優勝、準優勝を獲得

6月8日の世界海洋デーにあわせて開催される「Ocean Geographic Pictures of the Year(以下、OG PICOTY)」は、水中写真専門の国際フォトコンペティション。今年は日本人2名が部門優勝に、2名が準優勝に輝いた。4名の受賞者の皆さんの作品とコメントを紹介しよう。

OG PICOTYとは

OG PICOTYは、ダイビングを含め海の情報発信や海洋環境問題に取り組むオーストラリアのメディア「Ocean Geographic」が主催する水中写真専門の国際フォトコンペティション。生態行動やサンゴ礁、プリント、ムービーなど全17部門で競われ、規模や専門性において世界でもトップクラスの水中フォトコンペティションだ。
スキンケア広告A

BLACK & BLUE WATER部門

優勝:堀口和重氏の作品


堀口氏のコメント

北海道・羅臼で撮影したイクオハダカカメガイの交接シーンの写真です。2月に撮影に行ったときに撮影したのですが、今年はクリオネの当たり年でした。たくさんクリオネが見られたのですが、イクオハダカカメガイはこのペアだけでした。
以前に入選はしたことがありますが、部門グランプリは初めてだったので嬉しいです。お世話になった「知床ダイビング企画」の関さんには、本当に感謝しています。

堀口和重 Kazushige Horiguchi
水中カメラマン。1986年5月22日、東京・日本橋生まれ。日本の海や生き物の素晴らしさを伝えるために活動中。ダイビング・アウトドア・アクアリストなどに関連する雑誌やWebメディア、新聞などに記事や写真を多数掲載。4年連続で世界各地のフォトコンテストで上位入賞。

ちなみに堀口氏はBLACK & BLUE WATER部門で、もう1点の作品で入選も果たしている。さらにすべての部門の優勝作品から総合優勝を決める投票では1位に選ばれたが、審査員を入れた全体投票では惜しくも2位に……。次の機会には、是非とも総合優勝を期待したい。

FISH BEHAVIOUR部門

優勝:松田康司氏の作品


松田氏のコメント

日頃は水中ガイドとして、海の魅力や生き物たちの営みを伝える活動をしています。これまでフォトコンテストにはあまり関心がなく、刺激的なシーンを競い合うことに少し距離を感じていました。けれど今回、このような賞をいただいたことで、私が現場で大切にしている視点や思いを、より多くの方に写真を通して届けるきっかけになるのではと感じています。水中ガイドとしての経験や目線を、これからも丁寧に表現していきたいと思います。

松田康司 Koji Matsuda
鹿児島県鹿児島市にある「ダイビングショップSB」オーナーガイド。生き物の生態に詳しく、求愛や産卵行動などに力を入れている。2024年には写真集『薩摩海記』を上梓。

準優勝:川村圭吾氏の作品


川村氏のコメント

3年連続で受賞できたことは素直に嬉しく思います。ただ全体的に一流フォトグラファーの参加が少ないにもかかわらず、写真そのものの力で勝負できる部門での入賞には至らなかったのが正直なところ。今後も写真力で世界と戦っていきます。

川村圭吾 Keigo Kawamura
伊豆・川奈の「ダイビングサービス とらんち」オーナーガイド。ハウジングブランドMareluxのシニアアンバサダー、Marelux Japan の代表も兼ねる。

PORTRAITS部門

準優勝:若松樹弥氏の作品


若松氏のコメント

私がガイドしている大瀬崎では、冬から春にかけてキアンコウが水深20m以浅で出現します。この時はただ砂地にいるだけではなく、地面に生えた海藻の上に乗っており普段より身体が盛り上がっていました。大瀬崎の冬〜春シーズンの人気者が賞に入ってくれてとても誇らしいです。

若松樹弥 Mikiya Wakamatsu
1999年生まれ。「ネイチャーイン大瀬館」マリンチーフガイド。四季折々に表情を変える大瀬崎の海の魅力を発信し続けている。ビギナーダイバーから水中写真にこだわるカメラマンまで、幅広いニーズに応えるため、日々フィールドに潜り込み、経験と感性を磨いている。ガイドすることが大好き。

ここで紹介した作品以外にも、堀口氏と川村氏はBLACK & BLUE WATER部門で、松田氏はCORAL REEFS OF THE WORLD部門で、そして若松氏はFISH BEHAVIOUR部門でそれぞれ入選を果たしている。さらにほかにも7名の日本人写真家が入選しており、日本の水中写真のレベルの高さが証明されたと言えるのではないだろうか。さらなる日本人写真家の皆さんの活躍を、応援していきたいと思う。

▶︎受賞作品一覧
▶︎Ocean Geographic Pictures of the Year
▶︎Ocean Geographic

\メルマガ会員募集中/

週に2回、今読んで欲しいオーシャナの記事をピックアップしてお届けします♪
メールアドレスを入力して簡単登録はこちらから↓↓

登録
writer
PROFILE
大学時代に慶良間諸島でキャンプを行い、沖縄の海に魅せられる。卒業後、(株)水中造形センター入社。『マリンダイビング』、『海と島の旅』、『マリンフォト』編集部所属。モルディブ、タヒチ、セイシェル、ニューカレドニア、メキシコ、タイ、インドネシア、フィリピン、マレーシア、オーストラリアなどの海と島を取材。独立後はフリーランスの編集者・ライターとして、幅広いジャンルで活動を続けている。
  • facebook
  • Instagram
FOLLOW