SEA&SEAの45°ビューファインダーVF45 1.2x本音レビュー(ストレートビューとの比較あり)

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水中撮影機材レビュー 一撮両断!

機材名&定価
SEA&SEA(シーアンドシー)
一眼レフハウジング用45°ビューファインダー「VF45 1.2x」
¥65,000(税込¥68,250)

第二回目のレビューは第一回目で紹介した「VF180 1.2x」の姉妹製品「VF45 1.2x」。
そのためこのレビューを読む前に前回「VF180 1.2x」のレビューを読んでない方は、まずそちらをご覧いただきたい。
どちらも6万5000円(税込6万8250円)とお高い贅沢パーツである。
比較して自分の好みに合う方をチョイスしてもらえればと思う。

さて「VF45 1.2x」とはどんな製品なのか?
まずはメーカー公式HPをチェック。
要約すると…

  • 45°ビューファインダー (視野倍率1.2倍)
  • 接眼部は90°ステップの360°回転機構でタテヨコさまざまな撮影ポジションに対応可能。特にウエストレベルでの撮影やマクロ撮影など、ローポジションでの撮影に向いている。
  • 専用ファインダープロテクター採用により、外光をほぼ完全に遮断することでファインダー像をクリアに見ることができる。
  • とある。早速チェックしてみよう。

    取り付けは「VF180 1.2x」と全く同じ作業で簡単

    「VF45 1.2x」はシーアンドシー社製のハウジングに装着するファインダー(※RDXシリーズには装着できない)。
    取り付けには付属の専用工具を使って標準ファインダーを取り外してから装着する。

    この作業は前回レビューした「VF180 1.2x」と全く同様の作業。
    最初は説明書を見ながら丁寧に行えば、普通に一眼レフハウジングのセッティングができる方なら誰でも装着できる。
    2回目以降は説明書なしで、ものの1分で完了するだろう。

    そして「VF45 1.2x」を装着した感じはこのようになる。

    SEA&SEA(シーアンドシー) 一眼レフハウジング用45°ビューファインダーVF45 1.2X SEA&SEA(シーアンドシー) 一眼レフハウジング用45°ビューファインダーVF45 1.2X

    最初に見て思うのは、当たり前だが見事に45°、ファインダーが上を向いていること(笑)と、そして「VF180 1.2x」と比べると「突き出ている感」が少ないことだ。

    ファインダー設置部から10cm近く突出していた「VF180 1.2x」と比べて、長さ的には約半分の突出になっている。
    これは水中で使ったときに思ったのだが、突出の少なさで使っているときの“気の遣い方”が少なくてすむ。

    「VF180 1.2x」の突き出方はかなりのものなので、「どこかにぶつけたりしないか」「ぶつけたら折れるんじゃないか」とそれなりに気を使うのだが、「VF45 1.2x」は細長く突き出ている訳ではなくがっちりした印象で、そこまで気を使わなくてすむのはうれしい。

    像の見え方も「VF180 1.2x」と同じ。明るく大きい!

    「VF45 1.2x」の像の見え方も「VF180 1.2x」とほぼ同じ。
    ファインダー画像を1.2倍にするというこの「1.2」という数字だけみると「大して変わりはないんでないの?」と思ってしまうが、このファインダー像の大きさ感は、数字以上のものと感じる。

    大きなファインダー像は想像以上に写真を撮りやすくしてくれる。
    「VF180 1.2x」と同様にケラレのない像で完璧な構図作りが可能だし、ピントの“ヤマ”もわかりやすく厳密なピント合わせができる。

    ファインダーでじっくりピント&構図を決める楽しみは、昨今流行のミラーレス一眼では味わえないもの。
    一眼レフカメラでの撮影のだいご味をより楽しませてくれるはずだ。

    また専用ファインダープロテクターが外光を遮断し、ファインダー外からの余計な光を省いてくれるのも標準ファインダーにはないメリットだ。

    アイポイントが狭いというデメリットもやはり…

    前回にレビューした「VF180 1.2x」の最大の欠点として挙げていたアイポイントの狭さ。
    少し目線がずれるとブラックアウトするかのようにファインダー像が真っ暗になり見えなくなる現象で、そのため激しく泳ぎながら撮影するようなワイド撮影には不向きと述べた。

    残念ながらこの欠点も「VF45 1.2x」は同様に持っている。
    そのため筆者の見解としてはワイド撮影をメインに撮る機材には、このファインダーは不向きと考える。

    45° という角度のメリット

    ここまで主に「VF180 1.2x」との同位点を並べて紹介したが、差異点について紹介しよう。

    まず「VF45 1.2x」の最大のポイントはファインダーに45°という角度が付けられていることだ。
    そのため水中での撮影姿勢はこのような感じになる。

    45°ビューファインダーVF45 1.2Xを使った水中撮影

    斜め45°上に向いているため、写真のような水平姿勢の場合にはラクにポジショニングできる。
    腕を通常より上げなくて済むので、長時間構えていても肩周りの疲労感は少ない。

    例えばヤシャハゼやネジリンボウなど、砂地に腹這いになって時間をかけてにじり寄っていく、というシチュエーションは特に使いやすいだろう。
     
    また「VF45 1.2x」には回転機能がついていて下記のように上下左右、90°ずつ回転可能だ。

    SEA&SEA(シーアンドシー) 一眼レフハウジング用45°ビューファインダーVF45 1.2X

    これによりタテ位置で撮影する場合は、右あるいは左に90°回転させてこのような姿勢で撮ることができる。

    45°ビューファインダーVF45 1.2Xを使った水中撮影

    シチュエーションに合わせて回転し、撮りやすいアングルで撮れるようになっているのだ。

    45°のデメリットもある

    90°刻みでアングルが選択できるのは便利ではあるが、カバーできない問題がひとつある。
    それは「ストレートには覗けない」ということだ。

    これは水中で使って初めて感じたことだが、水中では水平に覗いた方がラクな撮影シチュエーションというのも往々にしてある。
    例えば砂地に根があって、砂地からちょうど自分の胸から顔くらいの高さに被写体がいるというシーン。

    砂地に足をついて立ち姿勢で撮影すれば、ストレートファインダーなら最も撮りやすいポジションだ。
    しかし45°の角度がついているとそれだけ上から撮影しなければならなくなるため、足を砂地から離して中性浮力を撮りながら上から覗いての撮影となってしまう。

    45°の角度でそれが回転すれば万能ということではなく、45°であるがゆえに撮りづらくなるというシーンもあるということは認識しておきたい。
     

    マクロ撮影での“被写体探し”に最初は戸惑うかも?

    45°の角度があるゆえに、もうひとつ戸惑ったことがある。
    それはとても小さな被写体の撮影でのシーンだ。

    ダンゴウオやピグミーシーホースなどに代表される極小の生物を撮るとき、まず目視で被写体を確認してからレンズを被写体の目の前に持っていき、それからファインダーをのぞいて撮影するはずだ。
    極小マクロの場合、ファインダーをのぞいてからさらに被写体を補足できるまで時間がかかることもある。

    この一連の作業がファインダーが斜めになっているために感覚に慣れが必要で、最終的にファインダーで被写体を補足するまでに結構な時間がかかってしまう。
    この部分に関してはストレートファインダーの方がレンズとファインダーの延長線上に被写体を持ってくればよいので、感覚がつかみやすい。

    「VF45 1.2x」はこんな人におすすめ

    結果からいうと、「VF45 1.2x」をおすすめしたいのは「VF180 1.2x」と全く同様に下記のような人となる。

    「厳密なピント」と「全視野が見られる構図」にこだわって、マクロ撮影での作品作りを真剣に取り組みたい人。

    やはりアイポイントの狭さはワイド撮影には厳しいと思うし、ケラレなしの見え方、大きなファインダー像とピントの合わせやすさはマクロにこだわる人向けとなろう。

    「VF180 1.2x」と「VF45 1.2x」の違い・比較

    では値段も見え方も同じな「VF45 1.2x」と「VF180 1.2x」をどちらを選ぶべきか?

    このふたつを比べるとこうなる。

    「VF45 1.2X」は……

    • 45°の角度で撮れるので撮影姿勢がラクになるシーンが多い
    • ハウジングからそれほど突き出ていないので、取り扱い時にそれほど気を使わなくて済む
    • 45°の角度がついているため、特に極小マクロ被写体狙いの時にファインダーをのぞきながらの最終的な被写体補足にけっこうな慣れが必要
    • カシャカシャとファインダーを回せるのでメカ的にかっこいい。水中で使いこなしたらそんな自分に酔える(かも!?)

    「VF180 1.2X」は……

    • ハウジングからかなり突き出ているため取り扱い時に気を遣う
    • ストレートファインダーなのでレンズの延長線上に被写体を持ってくればよいため、ファインダーをのぞきながらの被写体の補足がしやすい

    と、こんなところだろうか。

    ちなみに自分はどちらか?
    どちらか選べと聞かれれば、慣れるのに時間は承知で45°の方をチョイスする。
    慣れればいろいろなシチュエーションに有利になると思うし、水中でカシャカシャ回して悦に入っている自分が容易に想像がつくからだ。

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PROFILE
スクーバダイビングの専門誌の編集担当&カメラマンを経て2011年よりフリーランスとして活動。
旅行誌や女性誌の旅企画等に携わるほか、現在ダイビング関係では「月刊ダイバー」誌に写真と記事を寄せている。
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