ボートダイビングで船酔いしない方法はありますか?

この記事は約3分で読めます。

ダイバーの大敵といえば船酔い。

ボートダイビングに慣れてくると、船酔いしない過ごし方も身についてくるものだが、
なんと、海に行かずとも陸上で克服できるらしい。

熟練のテックダイバーにして、三保耳鼻咽喉科院長の三保仁先生に聞いた。

Q.
まずは、船酔いのメカニズムを教えてください。

A.
頭が揺れると、内耳の中にある前庭および三半規管がその揺れを感じて、
電気信号を脳に送ります。
脳ではその電気信号を受け取り、「揺れている」と認識します。

しかし、その揺れが極端にひどかったり、長時間に及ぶと、
自律神経が刺激を受けてその調節バランスがおかしくなり、
吐き気、頭痛、めまい、冷や汗などの症状を起こしてしまいます。
それが、「乗り物酔い」のメカニズムです。

Q.
船酔いしない体にはなれますか?

A.
長期間、反復して揺れの電気信号が脳に送られ続けているうちに、
脳は疲れ果ててしまい、とうとう最後には脳の神経回路を組み替え、
その電気信号を受け取れないようにブロックしてしまいます。
すると、いくら揺れていても酔わなくなるのです。
このメカニズムを「中枢代償」と呼びます。

漁師は子供の頃には船に酔いましたが、毎日何年も船に乗っているうちに、
中枢代償が完成して酔わなくなるのです。
しかし、私たちは毎日船に乗れません。
ですから、地上にいながら揺れの刺激を受ける訓練をしなくてはなりません。

Q.
具体的な訓練の方法を教えてください。

A.
近所の公園などで、毎日5分間ブランコに乗ります。
降りた後にふらつかなくなったら、今度は目をつぶり、下を向いて5分間乗るようにします。
時には横向きに座ると良いでしょう。

近所にブランコがない場合には、
その場でピョンピョン垂直跳びをしながら回転する運動を2〜3分間、
その後逆回りで2〜3分間跳ぶと、波や船に酔わなくなるという論文もあります。

これらの訓練を1ヶ月ほどすれば、
ほとんどの人はダイビングボート程度では酔わなくなります。

訓練をしても、どうしても酔いに慣れない人は、
もともとめまいの持病を持っている場合が多いので、
耳鼻科医に相談してみましょう。

Q.
ダイビング当日に気をつける点はありますか?

A.
前日の飲酒を控え、寝不足を避けます。空腹も満腹もいけません。
ボートに乗る前は柑橘類を避けた軽い食事をとります。
ボートでは、排気ガスを吸わない場所で後方に座り、
下を向いて細かい作業をしない、などの工夫も有効です。

せっかく憧れの海に行っても、船酔いしてしまっては台無し。
一生に一度しか行けないようなビッグスポットに行くときは、
船酔い自主トレをしてみてはいかが!?

FOLLOW