海水って目にしみませんか?

海水の塩分濃度は、涙の塩分濃度と同じくらいと言われている。
つまり、痛いはずがないと思うのだが、実際に痛いという人も少なくない。

>痛いのか、痛くないのか、考えてもよくわからない……。
ってことで、

実験

方法はいたってシンプル。
洗面器に水を張り、海水と同じ塩分濃度になるまで塩を入れ、顔を突っ込んでみるだけ。

死ぬほど痛い!
と思いきや勘違い。
海水の塩分濃度は28〜35%と思っていたが、水1キロに対して、28〜35グラムと判明。
つまり、 実際の塩分濃度は2.8〜3.5%。そりゃ痛いわけだ。

※ちなみに、かの有名な死海の塩分濃度は実際に30㌫以上らしいので、
皆さん、 死海に飛び込んでも目を開けちゃいけません。

気を取り直して、正しい塩分濃度で再実験。
塩を30グラム入れて洗面器に顔をつけてみる。

結果

まったく痛くない!
いたくな〜い
むしろ、目がスッキリ。
ということで、少なくとも海水で目を開けても、塩水が原因で痛いってことはないと思われる。

痛いとしたら、長期的には紫外線とか、瞬間的にはゴミや雑菌などの刺激の方が原因なのかと。

と、まったくの実体験のみの結論も根拠レスなので、本当にしみるかどうか、またどうしてしみるのかは、以下、眼科の先生のコメントを参考にしてください。
え? 最初からそうしろって? いや、だって顔を洗面器に入れたくて……。

●毛塚潤さん
「東向島毛塚眼科医院」(TEL:03‐3618-1155)院長。
ダイビング歴20年。
北極海から南極海まで潜り、現在も知床羅臼に毎週のように通う。
プランクトンからクジラまで撮影する水中写真家でもある。
潜水に関連する眼症にも詳しい。

海水が目がしみるのは、塩分濃度の濃淡だけではなく、
涙液と海水の「pH(ペーハー:水素イオン指数)」の違いが大きな原因です。
いわゆる、酸・アルカリのことです。

温泉の湯が目にしみた経験がある方も多いと思いますが、これは温泉の水が極端に酸性、またはアルカリ性にかたよっており、涙液のpHと合わないため異物と認識されてしまうためです。
点眼薬ひとつにしても、しみるもの、しみないものがあります。

また、海水はきれいなようで、さまざまな異物が混入しています。
見に見えないプランクトンもそのひとつです。
これらの条件が重なって、海水は「異物」として目にしみるのです。

さらに、しみる、しみないは個人差があります。
角膜に傷があるとしみる確率が高いようです。
無理なコンタクトレンズの使い方をしていると、顕微鏡で眼を見るとたいてい傷がついています。

しみないようにするには、「海水をマスクに入れる瞬間、眼をつぶる」事が一番です。
毛塚もそうしていますので、海水が目にしみたことはありません。
慣れれば簡単です。
また、海水が眼がしみる方の多くは、マスクに水を入れすぎている気がします。

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PROFILE
法政大学アクアダイビング時にダイビングインストラクター資格を取得。
卒業後は、ダイビング誌の編集者として世界の海を行脚。
潜ったダイビングポイントは500を超え、夢は誰よりもいろんな海を潜ること。
ダイビング入門誌副編集長を経て、「ocean+α」を立ち上げ初代編集長に。

現在、フリーランスとして、ダイバーがより安全に楽しく潜るため、新しい選択肢を提供するため、
そして、ダイビング業界で働く人が幸せになれる環境を作るために、深海に潜伏して活動中。

〇詳細プロフィール/コンタクト
https://divingman.co.jp/profile/
〇NPOプロジェクトセーフダイブ
http://safedive.or.jp/
〇問い合わせ・連絡先
teraniku@gmail.com

■著書:「スキルアップ寺子屋」、「スキルアップ寺子屋NEO」
■DVD:「絶対☆ダイビングスキル10」、「奥義☆ダイビングスキル20」
■安全ダイビング提言集
http://safedive.or.jp/journal
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