ダイビング中に息を止めるのはアリですか?

この記事は約4分で読めます。

■息を止めて撮影するフォト派が8割

ふむ。まずは、実態を把握するために以前行ったアンケートを紹介。

ダイバー209人に聞きました!
撮影時に息を止めますか?

息を止める 170人(81%)
息を止めない 34人(16%)
その他 5人(2%)
※mixiコミュニティ「ダイビングのことなら何でもA to Z」より

結果を見ると、8割が息を止めて撮影していることがわかる。

「止めないで撮ると手ブレするし、魚が逃げる」という声が多いが、
「そりゃ止めないほうがいいんだろうけど……」と
胸を張って息を止めているわけでもないようじゃ。

もちろん、息を止めることが全面的に悪いことであれば、
多数派だとしてもやってはいかん。
しかし、ダイバーの多くは立派な大人なわけで、
大丈夫だと感じているからこそ息を止めているのじゃろう。
結論から言うと、わしも息を止めての撮影は〝あり〟だと考えておる。

息を止めることに関するガイドラインを作ることが大事だとわしは思うのじゃ。
何となくいけない気がするのに、何となくしちゃっているのでは浮気と同じ。
恋人がかわいそうじゃ。正々堂々と浮気をするには、
きちんとガイドラインを決めて……すまん、うまい例えができず……。

■なぜ、息を止めてはいけないのか?

そもそも、息を止めるのがいけない理由は、
エアエンボリズムを防ぐためというのが大義名分じゃろう。
つまり、浮上によって膨張した肺の空気が、
息を止めることによって逃げ場を失い、肺を破裂させてしまうことを防ぐため。

講習では、その危険性を回避するための意識付けという側面が大きい。
浮力が安定せずに急浮上しがちな初心者のために、
少ない時間でわかりやすく刷り込むために、
とにかく「息を止めてはダメ」となる。

また、初心者はどうしても緊張してしまうと呼吸を
止めがち&乱れがちになってしまうので、
同時に「深くゆっくりの呼吸」という言葉で呼吸を意識させるってわけじゃ。

ただ、寺子屋ダイバーには、マニュアルの一歩先いく意味を考え、
自分で判断して行動してほしいと思うのじゃ。
いつまでも「水中では息を止めてはいけません」では芸がない。

■無意識の息止めと意識的な息止め

浮上しない状況で息を止めてはいけないのであれば、
浮上しないような状況であれば、多少の息止めはありじゃろう。

ただ、そのためには条件がある。

第一に“意識的”な息止めであること。
いつでもどこでも無意識に呼吸が止まってしまうのではいかん。
呼吸を明確に使い分けることが大事なんじゃ。

次に“急激に水深が変わらない状況下である”こと。
水底にヘバリついて撮影したり、
目安をしっかり定めた上での中層での安全停止であればこれに当てはまるが、
群れを猛ダッシュで追いかけるなんてのは、
呼吸を止めたらエアエンボリズムの危険性や酸欠の危険性があるのでNG。

そして、酸欠を起こさないために過度な息止めはダメ。
エアエンボリズムの危険はなくても、空気を取り込む量が減れば、
十分に脳に空気がいきわたらず、
思考力が低下したり、頭痛を引き起こす。
最悪、失神してしまうことすらあるかもしれない。

そこまでいかないまでも、呼吸が不安定になって気分が悪くなったりするので、
撮影であれば、数カット取ったら大きく深呼吸をして
呼吸を落ち着かせてからまた撮影、
というようなサイクルを心がけるべきであるし、
中層での安全停止でも、浮力の微調整で息止めをしつつ、
なるべくしっかり呼吸をすることを心がけるべきじゃろう。

これらの条件を守れるのであれば、
大人な判断で、時には息止めするのはありだと、わしは思うのじゃ。

FOLLOW