竜宮の海 夏の沖縄、恩納村へ
Onna / 恩納村
恩納村の驚くべきサンゴの大群生とスミレナガハナダイのコロニー!
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恩納村の驚くべきサンゴの大群生とスミレナガハナダイのコロニー!
- Photo&Text
- 越智 隆治
- Special Thanks
- ベントスダイバーズ
- Design
- Panari Design
水深30mで発見された竜宮城
なにはともあれ、やはり自分が興味を惹かれたのは、深場のポイントリサーチ中に発見したというリュウモンサンゴ属の大群落だ。
新たなダイビングポイントリサーチ中に、偶然発見。
「最初にそのポイントを見つけた時には、見渡す限りサンゴの大群落が広がり、タイムスリップして別世界に迷い込んでしまったような不思議な感覚に捕われました。そう、まるで竜宮城に迷い込んでしまったような感じです」と拓ちゃん。
それもそのはず、そのエリアより浅い深度では、サンゴのガレ場や砂地が広がり、こんな状況でサンゴが元気に群生しているとは想像もしていなかったからだ。
「最初は、変わったハゼのいるガレ場でも無いかなと思ってリサーチしていたので、本当にびっくりしました」というそのサンゴ群落の深度は、水深30mからなんと水深45mにまで及ぶ。
群落の規模の大きさと、深度に「これは、もしかして珍しいのでは」と思い、一緒にフィールドワークをしてくれる研究者を探した。
拓ちゃんの思いに賛同して、一緒に調査を進める協力者になったのが、琉球大学准教授のジェイムス・デイビス・ライマー理学博士。
同准教授はサンゴと同じ、刺胞動物のスナギンチャク研究の世界的な第一人者。
実際に自分自身で潜って、フィールドワークを多く行なうことでも知られている。
ライマー准教授らの琉球大学調査チームは、拓ちゃんとともに、早速、群落の規模を計測し、長さ約150m、幅約80mに及ぶ群落であることを確認した。
そしてocean+αロケで自分が恩納村に滞在しているタイミングに合わせて、次なる調査となる、群体の採集を行なった。
結果、学名でPachyeris foliosaという、熱帯域に多くみられる種で、日本未記録種である事が判明。
この種のサンゴとしての北限一気に押しあげた。
このリュウモンサンゴ属の周辺にも、多くの種類のサンゴが群生する場所が広がっていて、「これほどの多様性のあるサンゴの
群落は、少なくとも沖縄の他のエリアでは、見た事が無い」と、ライマー准教授も驚きを隠せない。
「白化の回復が遅い沖縄本島にあっては、本当に貴重なものなので、このサンゴ群落の環境を守り、見守って行く必要があると思います」とライマー准教授は、このサンゴ群落の重要性を強調し、大切に守って行く必要性を主張した。
多様性のあるサンゴ群落と、リュウモンサンゴ属のサンゴ一種が隆盛を極めるエリアに二分されるこの海域は、今後沖縄本島のサンゴ分布にどのような影響を及ぼすのだろうか。