竜宮の海 夏の沖縄、恩納村へ

Onna / 恩納村

恩納村の驚くべきサンゴの大群生とスミレナガハナダイのコロニー!

Photo&Text
越智 隆治
Special Thanks
ベントスダイバーズ
Design
Panari Design
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恩納村の驚くべきサンゴの大群生とスミレナガハナダイのコロニー!

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「夏の沖縄=ぽっかりと浮かぶ雲、そして緑深い山間から覗く、青い海」
僕が連想する沖縄のイメージだ。

世界中の海を取材して回る自分にしてみれば、沖縄は国内だし、距離的にはとても近いところになる。

でも、何故かいつも心の中には「遥か海の彼方にあるのにどこか懐かしく、居心地の良い場所」というイメージが常にある。
ダイバーの多くもそんなイメージに惹かれて、この島にやって来るのかもしれない。

今回は、そんな恩納村の海で見つけた竜宮城の話をしよう。

恩納村の風景(撮影:越智隆治)

ベントスダイバーズの拓ちゃん

1年に一回くらいは沖縄の海に来たい。
もちろん、僕の場合は取材なのだけど、やっぱり何故かリラックスできる場所だから。

たまに、そんな機会を与えてくれるのが、恩納村にあるベントスダイバーズ

恩納村の海を知り尽くしているガイド、大原拓さん(ベントスダイバーズ)

恩納村の海を知り尽くしているガイド、大原拓さん(ベントスダイバーズ)

オーナーの大原拓さん(以下拓ちゃん)とは、僕がまだ新聞社時代に、某ダイビング雑誌の取材で同じく沖縄のダイビングショップを訪れたとき、スタッフとして働いていた時以来の知り合いだ。
あまり多く無いダイビング業界の知り合いの中でも、最も古くからの知り合いの一人でもある。

また、娘たちを大切にする子煩悩さも、共感を感じているところ。

地元の空手道場で、子どもたちに空手を教えている

地元の空手道場で、子どもたちに空手を教えている

彼のなんとなく「ほわ~ん」とした印象が、一緒にいて、とても居心地が良くて、自分の持つ、沖縄のイメージともマッチして、取材なのになんだか余計にリラックスさせてくれる。

そんな雰囲気にもかかわらず、彼のダイビングに対する情熱は結構ハードだったりする。
取材の度に、テクニカルダイビングで潜ったり、リブリーザーの資格取得体験取材だったり。

過去にリブリーザー講習ロケなども行なった

過去にリブリーザー講習ロケなども行なった

興味はあるし、取材ネタとしても面白いのだけど、元来がテキト~な性格の自分には、細かいセッティングとか覚えたりするので、向かないのかもしれないと思いながらも、ちょっと面白いから体験してみようと、毎回彼の話にノッてしまうんだ。

空手は、ケーブダイブなどを行なう上で、自分の精神の鍛錬にもなっている

空手は、ケーブダイブなどを行なう上で、自分の精神の鍛錬にもなっている

復活するサンゴ

前置きが長くなったけど、この恩納村を訪れたのは、「サンゴが復活してきたから、その復活したサンゴと、深場でのリサーチで見つけたサンゴの大群落を中心に恩納村の取材して欲しい」という依頼を拓ちゃんから受けたからだ。

浅場のサンゴの復活の兆しは、古くから沖縄の海を断片的に見てきた自分にも明らかにわかる状況だった。

「ホーシュー」というポイントの棚の上には、かわいらしいサンゴたちが成長して、それまで岩礁がむき出しでつるつるしていた印象だった場所にカラフルな彩りを添えていた。

浅場に増えつつあるサンゴ

浅場に増えつつあるサンゴ

サンゴフェチ? と言ってもいい拓ちゃんが最近ハマっているのが、クサビライシ。

「クサビラとはキノコの事で、クサビライシ類の事を英語でマッシュルームコーラルと呼びます。それ自体ダイバーは知らない人が多いけれど、サンゴ一つの科の中でも、世界に50種、日本には37種いると言われています」
と、事クサビライシに関して質問すると、堰を切ったかのようにしゃべりだす。

様々なクサビライシの仲間

様々なクサビライシの仲間

「自分がこのサンゴに興味を持ったのは、サンゴなのに動くという意外性です。ほとんどのサンゴが群体性で、固着生活を送るのに対して、クサビライシの多くの種が単体性で自由生活を送ります。それに、ひっくりかえると自分で起き上がるんですよ。すごくないですか! それにね……」
と彼のクサビライシトークは延々に続くのでした。

海の生き物って意外性のある生き物が本当に多い。
クラゲだって、イソギンチャクが移動してるようなものだし…。とは言わないでおいた。

大きなカブトサンゴ!

大きなカブトサンゴ!

彼にとって運が良いことに、恩納村にある定番ポイントの「なかゆくい」には、クサビライシの山(きのこの山)があり、見渡す限りクサビライシが転がっていた。
そんな環境だったので、クサビライシに対する彼の興味は、ますます増幅していった。

好きが講じて、今では、琉球大学の大学院に通い、クサビライシの研究を始めるにまで至っている。

ミドリイシの仲間

ミドリイシの仲間

ユキンコボウシガニの愛称を持つ、オガサワラカムリ

ユキンコボウシガニの愛称を持つ、オガサワラカムリ

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