2022年、沖縄県全域で進むサンゴの白化現象 緊急レポート
7月下旬より「サンゴの白化現象が進んでいる」と、沖縄県各地で耳にするようになった。サンゴの白化とはどういった状態なのか。なぜ白化現象が起きているのか。現在のサンゴの状態をお伝えする。
サンゴの様子
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上の画像は9月上旬に撮影した沖縄本島の中北部に位置する恩納村周辺のサンゴ。奥の方に写っている枝サンゴが真っ白になっている。中には白化が進み一部が死んでしまっているサンゴも。
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藻がついているのは白化が進み死んでしまった部分だという
浅瀬では水面からもわかるほど。
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水面
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水中
9月下旬、宮古島を訪れた際にも各地で白化が見られた。
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ソフトコーラルやイソギンチャクにも白化が見られる
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通常白化しにくいというハマサンゴも白化していた。
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白化=死ではない?なぜ白化するのか
なぜサンゴの白化現象が起きるのか。最大の原因は、水温の上昇といわれている。今年8月の沖縄周辺海域の平均海面水温は30.1℃。これは過去 40年の間でもっとも高い。
水温が上がると、通常サンゴと共生している褐虫藻という植物プランクトンの一種がサンゴからいなくなってしまう。白化というのは褐虫藻が消え、サンゴの白い骨格が見えてしまっている状態なのだ。
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白化していないサンゴ
そして、サンゴは生きるためのエネルギーの80~90%を褐虫藻の光合成によって得ているので、白化の状態が長く続くと死んでしまうというわけだ。
台風と水温の関係
9月に入り、沖縄をはじめ日本全国で猛威を振るっている台風。ダイバー的には週末には来ないでくれと願うばかりだが、台風は海面水温を下げてくれるのだ。台風による反時計回りの風が海面下の冷たい海水を引っ張り上げる「湧昇」という現象が主な要因だ。
今年9月までに沖縄に上陸した台風は、7月に発生した4号のみ。真夏の水温が下がりにくい時期に台風が来ないのは、ダイバーにとって嬉しい反面、サンゴの白化につながっていると考えると、喜んでばかりもいられない。
9月に入り、海面水温が全体的に平年より低くなっている沖縄周辺海域。サンゴの白化現象が収まり、回復してくれることを切に願うばかりだ。