はじめての神子元で読者モニターがハンマー運試し&常連/ビギナー座談会企画!
リピーターvsビギナー特別座談会
神子元って敷居が高い?
「神子元で潜ってみたいけど、上級者のイメージがあって怖い……」
「リピーターの人に怒られそうで行きづらい(笑)」
など、敷居の高いイメージのある神子元でのハンマーヘッドシャーク・ダイビング。
そこで、神子元の海に愛を注ぐリピーターと翌日神子元デビューを果たす予定の読モのダイバーとの座談会を開催。
神子元でのダイビング、ハンマーと高確率で遭遇する方法など、いろいろなことを聞いてみました。
リピーター代表
○大久保さん……奥様の目を盗んでは神子元に通い続け、今では神子元だけで軽く200本オーバー。
○千葉さん……神子元を愛するあまり、下田に移住して年間100本神子元の海を潜るハンマーの女神、いや主!?
○洋子さん……神子元歴6年、1シーズン10回行くこともあり。旦那よりハンマーヘッドに愛を注ぐ。
神子元ビギナー代表
以上の6人に加えて、リピーターに連れられてたまに潜りにくる、リピーターとビギナーの間くらいの佐藤春彦さんの7人にお話を聞きました。
(以下、敬称略)
ハンマー以外は興味なし!?あふれるハンマー愛
――神子元に潜りに行くきっかけと、ハマるきっかけは何だったのでしょうか?
洋子
それまで海外ばかり潜っていて伊豆にはまったく興味がなかったのですが、たまたま読んだダイビング雑誌で神子元のことを知って「伊豆にもこんな大物が見られる海もあるんだ~」とふと行ってみたんです。
そして、リバー(ハンマーが川の流れのように群れる様子を通称“ハンマーリバー”と呼ぶ)を見てすっかりハマってしまいました。
千葉
そうそう、わかります。私も30本くらいの経験本数でふらっと行って潜ったら大当たり。あのリバーを一回見ちゃったらね~。
まさか、移住するほどハマるとは思わなかったけど(笑)。
大久保
僕もちょっと傷心なことがあり(笑)、サメがもともと好きだったこともあって、潜りに行ってみた。でも、最初行ったときは見られなくて、結局7回くらい連続して見られず、8回目でやっと見ることができた。
そこでやみくもに潜ってもダメだということを知り、考えて潜るようになったら当たるようになってきて、すっかり通うようになっちゃいました。
――ハンマー自体というより、”当てる”というギャンブル性が通う理由でしょうか?
大久保
そうだね、自分が最初に見つけた時の「俺、エライ感」は確かにあるかも(笑)。
洋子
後ろの人が慌ててこちらへ泳いで来たりしてね。
大久保
とりあえず、おりゃ~って感じで、タンクをカンカンカンカン叩く快感。
一同
(笑)
洋子
でも、ギャンブル性というより、やっぱり、そもそもサメ自体が好きなんですよ。
ルコ
マンタでもなくジンベエでもなくなぜハンマーなんでしょうか?
洋子
飽きない。
千葉
飽きません。
大久保
そう、飽きない。
千葉
いつ見ても違う感動があるんですよね。
角度とか光の当たり方とか泳ぎ方とか群れ具体とか。
洋子
フォルムと泳ぎ方と群れを成す感じ?見つけた時のふわ~~っというと感動がたまらない。
あとは、単純にサメがあれだけ群れている光景ってすごくないですか?
大久保
そうそう。
基本、リピーターはみんなサメが好きなんだけど、他のサメってあんなに群れないでしょ。
だから、ハンマーリバー見たらみんなハマっちゃう。
だって、大好きなサメが目の前で200匹とか300匹とかが泳いでたら、そりゃもうハマるでしょ!
千葉
それと、マンタとかジンベエとかだと、逆光当たるこの角度でこうやってこう撮ってと、ゆっくり写真が撮れたりできるけど、ハンマーだとそう簡単にはいかない。
いつかハンマーでこういう写真撮りたいって思いながら他の大物写真なんかも見ています。
大久保
変化があって、毎回条件が違ってなかなか撮れずに次こそはって通ってしまいます。
――かなりのハンマー愛が伝わってきますが、伊豆で潜る場合、ハンマー以外に興味はありますか?
リピーター
ない!(キッパリ)
ビギナー
(笑)
――では、伊豆の海は神子元以外興味がない人は?
リピーター
はーい!
ビギナー
(爆笑)
ハンマーに高確率で会う方法とは…
ミー
リバーの話が出ましたけど、どうやったらハンマーに高確率で会えますか?
大久保
潮がかかっている時の方が群れはやっぱり見やすいかな。
水温
水温とかも気にします。
ケイ
水温ってどれくらいがいいんですか?
大久保
25~26度くらいを好むって言われていて、今日潜ったときは28度くらいでやっぱりあんまりいなかった。
高すぎても低すぎてもダメ。
個人的には23~26度を攻めることにしています。
千葉
でも、最近はちょっと様子が違っていて、20度切っても出たりしています。
5月くらいには結構な数が深場で出ていましたよ。
ミー
行く前のリサーチが大事なんですねー。
洋子
やっぱり、天気と潮の予報と月齢、そして各ショップのログは全部見ます。
ケイ
全部ですか!
洋子
全部。
大久保
全部チェックしちゃいますねー。黒潮マップ、海水温マップ、そして、現地サービス4社のログは必須。
出ているかいないかはもちろん、どこで出ているかとかね。
洋子
最近はフェイスブックの速報も見ます。仕事中にちらちら(笑)。
――ダイビングショップのログは、リピーターになると、文章のテンションまで気にするというのは本当ですか?
千葉
いつも見ていると、苦しみつつあおるように書いているとか、たまたまなのか爆発なのかわかるようになってきます(笑)。
洋子
全店のを見て、ひとつだけ当てているのか、みんなが見れているのかで、マグレなのか、爆発なのかを見るけど、あとは速報が大事かも。
大久保
速報をテンション高く速攻で出している時はやっぱり本物の時。
洋子
速報はお店のテンションを感じますよねー。
千葉
で、私の場合、近所なので、いい潮が来るかもと思ったら、お金を捨ててもとりあえず潜らないことには当たらないので、少しでもよい潮が入ってきたら攻めモードで潜りまくります。
ミー
水中で見るコツはありますか?
大久保
ポジションが大事かも。
リピーター一同
(大きくうなずく)
ルコ
ポ、ポジションとは?
洋子
ポジションというか、要はグループみんなでガイドの指示に従いながらガイドを中心とした衛星のようなフォーメーションを組んで探すと効率が良い。
ケイ
フォーメーション!
大久保
常連になると自然とサーチ組になる。
千葉ちゃんが右上なら僕が左とか。僕はいつもガイドのちょい斜め右上かな。
ルコ
ビギナーもそういうポジショニングを気にしないといけませんか?
大久保
いや、初めてだったら、ガイドさんの指に集中するのがよいと思いますよ。
千葉
ガイドさんが指さす方向へとりあえずダッシュしてみる。
大久保
ガイドさんの方が探す目が圧倒的に良いので、とりあえずダッシュすれば、その先にハンマーが見えてくる。
千葉
見えてくるとテンションあがって元気になって、ダッシュする力が湧いてくる(笑)
大久保
でも、初心者だと結構ダッシュに遠慮がち。
やっぱり近づこうと思ったらハンマーダッシュが最後はものをいうかも。
洋子
ポジションとかダッシュとか、ちょっとしたテクニックで同じチームでも運命が別れちゃうんですよね。
ミー
やっぱり普通のダイビングと違いますねー。
ケイ
やってみないとわかんないな~。
ルコ
ログを見ていたら簡単にガッツリ見られちゃう気がしていましたが(笑)、努力も必要なんですね~。
――水中でハンマーが出る兆候ってありますか?
洋子
結局はよく探すしかないのですが、ガイドさんをよく見ていると、ふにゃふにゃ泳いでいたのが、急にクッとなる。
千葉
そう、ロックオン。
大久保
で、ロックオンしている先を見ていると白いものがうっすら見えるんだよ。
クラゲかなープランクトンかなーと思ってみていると、点滅する瞬間があって、それがハンマーの合図。
千葉
そうそうそう。お腹が白いので泳いでいるとキラキラと点滅して見えますよね。
――ハンマーに会うために、情報収集や試行錯誤があるのはわかりましたが、結果、どの程度の遭遇率なのでしょうか?
大久保
最初のころは全然ダメだったけど、考えてから潜るようになっては、単体なら7割、群れは5分5分って感じかな。
千葉
6割くらいは当たっている気がします。
洋子
7割くらいかなー。
でも、納得のいくすごいハンマーリバーっていわれると数えるほどで、だからこそ、1回見ちゃうとまた見たくなっちゃうんですよね。
――ゲン担ぎとかしますか?
千葉
私は、ハンマーズの船にいるラッキーベイビー人形ちゃんをなでたり、抱っこしたりしています。
大久保
よく聞くのが、東名で右ルートと左ルートに分かれるところがあるんだけど、ゲンのいい方で来るって人いますよね。
ちなみに、僕は必ず右ルート。
洋子
“もっている”人と行く。
一緒に行く人を選びます(笑)
神子元のイメージって敷居が高い?
――ビギナーたちにも聞いてみましょう。神子元でのダイビングに敷居が高いイメージありましたか?
ミー
私、神子元で潜りたいと思っていたけど、2年間行けなかったんですよね。敷居が高そうで。
一同
えー!
ケイ
2年も。なんで?
ミー
いろんなところに潜りにいくと必ず神子元の話が出るんですが、ダウンカレントがどうのとか、潮に巻かれてどうのとかとにかく難しそうなイメージ。
それに、潜る時は先発隊と後発隊に分かれていて、先発隊に乗らないと見られない、しかも、先発隊に乗れるのは500本、600本が当たり前で、2000本潜っているダイバーもザラみたいな話を聞いていて……。
一同
(笑)
ミー
そんなところに行ったら、すいませんって感じじゃないですかー。
大久保
今、何本くらい潜っているんですか?
ミー
200本くらい。
大久保
えー、結構潜っているじゃないですか!
洋子
私、初めて潜ったときは60本くらいでしたよ。
千葉
私なんて30本くらい。
で、いきなりすごい群れ見ちゃったら、移住までして、今こんなことになっているんです(笑)
ケイ
僕はそんなに敷居の高さは感じていなかったかな。というより、よく知らなかったので、とりあえず行ってみっかって感じ。
ルコ
私は、現地ダイビングサービスに直接申し込んで潜る気にはなれなかった。
足引っ張るのは嫌だなーと思って。
なので、いつも潜っている都市型ショップのツアーならよいかなと思って、昔、ショップツアーで一回だけ来たことがあります。
(え? 初めてじゃない! まあ、聞かなかったことに……)
ルコ
春彦さんはどうでしたか?
晴彦
パラオで大久保さんと友達になって引きずりこまれた感じなので(笑)、よく潜っている人と行けることもあって不安はなかったかな。
というか、パラオに住んでいて500本くらい潜っていたし、ペリリューもガンガン潜っていたので(笑)。
ルコ
春彦さんみたいに、ダイバー同士のつながりで常連さんとかと仲良くなると来るきっかけがありますよね。
私、都市型ショップのダイバーだったので、そういうきっかけがなかったんです。
常連さんがいっぱいいる世界に飛び込む勇気はなかった。
――そんなに常連さんが怖い? (笑)
ルコ
本数がまず怖い!
洋子
わかるわかる。私もやっぱり最初は本数が怖かったですもん。
ルコ
海況も怖い。
洋子
そして、装備も怖い、でしょ? (笑)
ルコ
そうです、そうです。
真っ黒なロクハン(編注:6.5ミリの海女さんが着るようなスーツ)着たおじさんたちがいっぱいだと、それだけで怖気づいてしまいます。
そして、何が一番怖いって、あのパラシュート部隊みたいに次々にエントリーするのが怖い。
大久保
そんなに怖がらないでよー(笑)。
誰だって最初は初めてなんだから。
千葉
そうですよ。みんな、優しい眼差しでお手伝いしましょうか?って感じですよ。
別にエラそうにするわけでもなく、ただ勝手知ったる海だから教えているだけです。
セッティング手伝ったり。
ミー
そんな雰囲気に包まれているのなら安心ですね。
洋子
どうかなー。私の時は、正直ギロッてときもありましたよ。
でも、最初に行ったお店で潜ったとき、1グループだったのも大きかったのかな。
1グループだと一番レベルの低い人に合わせなくちゃいけないから、あまりにもレベルが低いとギロってなっちゃう。
ルコ
私、大丈夫かな……。
大久保
いや、神子元ハンマーズなら大丈夫だよ。
チーム分けしてくれるから、安心だよね。
ルコ
あと、“準備岩”の話とか聞いてビビってました。
(編注:ポイントに到着したらすぐにエントリーできる状態になっているのが神子元スタイル。島へ向かう途中にある岩を目安に準備を始めるとちょうどよいことから、この岩を“準備岩”と呼ぶ人も)
大久保
いや、あれもあくまで僕は個人的にそろそろ準備する頃かな~っていうくらいの目安にしているだけで、実際はガイドさんの「準備してくださーい!」の合図があるので、そこから準備するんですよ。
海況によっては勝手に行動すると危険だし。
なんだか、どんどん噂話ばかりが大きくなっちゃっているのかも。
神子元を潜るにはどれくらいのスキルが必要なの?
――スキルや海況に不安を覚えるビギナーが多いようですが、リピーターから見て、どれくらいの経験やスキルがあれば神子元の海は潜れると思いますか?
千葉
30本で潜り始めた身から言わせていただくと、中性浮力がとれて、フリー潜降が本当にきちんとできるんだったら、30本からでもいいと思います。
ガイドさんもレベルを見ているので、経験なりに楽しめばいいんじゃないですかね。
洋子
もちろん、スキルアップすればできることも増えてくるので、よりハンマーとの遭遇率も上がるし、楽しめるようにはなると思いますけどね。
大久保
スキルの差がでるのは海況が悪い時かな。特にエグジットのとき、うねりで船が上下しているときは、最初怖いと思うかも。この辺も慣れだけどね。
ルコ
やっぱり、経験値が高い方が楽しめるのはどこの海でも同じですね。
神子元もある程度スキルアップして潜ったほうが楽しめそうですね。
洋子
でも、逆に神子元でスキルアップするって考え方もありますよ。
私も「ここの海で潜れれば、どこの海でも潜れる」と言われて、そこから器材を買って神子元に通うようになって随分スキルアップしましたよ。
大久保
そうそう。
以前、パラオのペリリューに潜ることになった時、さんざん、潮の流れで脅かされたけど、大潮の時の神子元の激流を体験していたからまったく問題なかったもん。
ケイ
流れるときってどんな感じになるんですか?
大久保
こいのぼり状態。
岩につかまることも多いから、神子元の海だけではグローブするね。
ルコ
装備も大事なんですねー。
大久保
特にフィン。
やっぱりフルフットで、ワープかスーパーミューが定番かな。
洋子
先割れはダッシュが効かないしやめたほうがいいと思いますよ。
たまに履いてくる人をみますが、あちゃーって思います。
大久保
あとは、フロートは上げられるようになったほうがいい。
あまり練習する機会がないかもしれないけど、それなら、せめて手順や方法は知っておいてほしいよね。
実際、はぐれることがあってもおかしくない海というのは確かだからね。
――最後に、明日神子元デビューする3人へぜひひと言を!
大久保
そんな、なんか偉そうだな(笑)。
まあ、ハンマーは1回で見られないかもしれない。僕も8本目でやっと1匹だったからね。
でも、あきらめないで通い続ければいっぱい見られるようになるよ。
千葉
私の場合は、30本程度で潜った初めての神子元で、群れ群れを見てハマってしまったので、ぜひそういう経験してほしいなー。
洋子
正直なところ、好き嫌いがハッキリ出る潜り方かもしれません。
最初は、結構大変かもしれませんが、好きになったら癖になる。
大変ですけど、ハマって楽しんでいただければ。
大久保
あ、あと、潜れる時はとにかく潜ることが大事。
「今日は出ないかなー」なんて時に限って出たりするからね。
ルコ
チャンスの神様は禿げているっていいますものね。
――リピーターの励まし(?)を聞いて、デビュー組はどうでしょう?
ミー
これだけ熱い話を聞いてしまったら見たいですよー。
ルコ
リバー見たーい。
千葉
リバー見たら、やめられなくなるよ~。
洋子
仕事もやめられなくなるけど(笑)。
ケイ
これだけ語られたら見ないわけにはいかないでしょ。
みんながハマっている理由を体験したい。
――ということで、ほとんど、リピーターのハンマー愛を語る会になってしまいましたが(笑)、神子元デビューでの幸運を祈ります。
洋子
うちらがどれだけハンマーを愛してるか伝わったかな。
大久保
変な奴らだと思われるかもね。
※翌日、神子元デビューを果たしたビギナー組は、リピーターたちのアドバイスが効いたかどうかはわかりませんが、無事、全員が群れをゲットしたのでした。
座談会を終えて
「リピーターさんたちとの座談会で聞いた話は、想像していた以上のものでした。ハンマーを見るために、事前の情報収集に余念なく、十分に狙いを定めて見に来るという姿勢は今まで潜った他の海では出会ったことがありませんでした」
(ミーちゃん)。
「潜る前は会えるのは99%運と思っていたけど、運すらも自ら作らなくてはいけない。自ら作った(準備した)上に幸運があるんだと、神子元とはそういう海なんだと思った」
(ルコちゃん)
上の気合いの入った(?)2人のコメントが神子元の魅力であり、逆に敷居が高いと思われるゆえんなのかもしれません。
ただ、後日、「一方で、現地サービスのスタッフさんの雰囲気は、他のサービス(ショップ)とそんなに変わりないと感じました。それぞれのレベルに合わせて無理のないダイビングを提供してくれているし、初めてでもハンマーが見られても見られなくても『楽しかった。また来たい』と思えるような雰囲気を作ろうとしてくれていたと思います」とミーちゃんがいうように、現地サービスとしては、「敷居は高くないので、潜りに来てね」というテンション。
また、もちろん、初めて潜るに来る人も多いので、まずは気軽に潜りにきて、「常連さんが多いと仲間に加わりづらい雰囲気が一見あるけど、自分から積極的に声かけて、初めてなこととか不安に思うこととかを素直に伝えて質問したりすれば、みんな優しく教えてくれるし打ち解けられるので、自分からガンガン行った方が良いと思った」(ケイ君)というように、あれこれ聞きながら、経験なりに潜ってみればいいのではないでしょうか。
皆さんの幸運もお祈りします!
協力/神子元ハンマーズ