ネオプレンばかり着てきた編集長、初めてのシェルドライスーツWATERPROOF D7を徹底レビュー!

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使用感の感想は正直“よくわからない”、のわけ

日本で流行の兆しのあるシェルドライスーツの記事をいろいろ読んでみると、どうしてもネオプレンと対比することになり、かつ、シェルをアピールしようとするあまり、「水没しやすい」とか「動きづらい」など、これまでの恩を忘れて、さんざんな言われようなネオプレン(笑)。

ただ、実際に使ってみても、同じドライスーツ、しかもまあまあ経験のあるダイバーが着れば、通常のレジャーダイビングなら、どちらで潜っても快適に潜れます。
後述しますが、大きなメリットも感じましたが、たったの3本で「わあ、シェルだとめっちゃ快適に潜れた!」と大げさに言えるほど劇的な変化は感じなかったというのが正直な感想です。

ただ、この“すぐにわからない”、“体感ではわかりづらい”という中に、シェルドライスーツの特徴が隠されているのかもしれません。
裏を返せば、“長く使い続けることによってメリットが見えてくる”、“体感ではわからない中にメリットがある”ということで、これは説明するしかありません。

長く使ってわかる、優れた耐久性

体感ではわかりづらくても、ネオプレンに比べて、シェルに使われているファブリック素材が耐久性に優れていることは疑いようがないこと。

ネオプレンはウエットスーツと同様、気泡が入っており、それが保温効果にもなっていますが、使っているうちにヘタってしまう運命です(圧縮ネオプレンというのもありますが、話がややこしくなるので、ここではしません)。

さらにWATERPROOF D7の場合、摩耗の激しい膝の部分を、軍事用にも採用されている、鉄の7倍の強度を誇るケプラー素材を使って強化するなど、とにかく非常に耐久性が高いのが特徴で、これが最も大きなメリットで、使えば使うほど違いが見えてくるメリットでしょう。

伊豆の海から極寒の海まで
“融通が利く”がシェルの正体

シェルタイプのドライスーツ、それ自体は生地が薄く保温力が低いですが、その分インナーによって保温を確保します。

このことが、「シェルはたくさん着込まないといけない」「シェルは寒い」という先入観を生み出していましたが、そりゃ、水温10度を切るような極寒の海に潜る時には着込まないといけないですし、着なけりゃ寒い、というだけの話。

むしろ、ゆったり目に作ってあるので、インナーの選択肢の幅が広く、イコール、対応できる水温の幅も広く、インナーをたくさん着込める分はネオプレンよりも温かくも感じられます。
Tシャツ一枚で近場の海から、しっかりとしたインナーで北海道の海まで、活躍できるのがシェルタイプ。

僕が潜った伊豆(水温16~17度)の場合、ネオプレンで使っていたインナーでも試してみたところ、変わらず潜れたので、薄手のインナーを増やす程度の違いかもしれません。

“インナーをたくさん着なければいけない”ではなく、“インナーによって、あらゆる環境に融通が利く”というのがシェルドライの本質じゃないでしょうか。

シェルドライスーツ・WATERPROOF D7使用レポート

専用のインナーもある。つなぎだとずん胴に見えて、ずり落ちるという欠点がったが、WATER PROOFのインナーは、腰の部分が締まっていて、デザイン的にも機能的にも優れ、陸上でも着ていられる

首や手首のシリコンシールが交換可能なのは大きなメリット

WATERPROOF D7の首や手首のシリコンシール。
柔らかく、伸縮性に優れ、“首元のストレスフリー”がウリ。

自分の場合は、首元までつながるフードを装着してしまったためか、温かい代わりに、首の可動域の違いはあまり感じませんでした。

ただ、フードをかぶらないで使ったダイバーが、「首が苦しくない」と、この部分にメリットを感じている声はよく聞くので、実際にそうなのでしょう。

シェルドライスーツ・WATERPROOF D7使用レポート

何より、このシリコンシール、メーカー交換ではなく、自分で変えられるメリットはかなり大きい。
これも長く使って感じるメリットでしょう。

浮力が安定、BC操作がいらないのが嬉しい

ネオプレンの場合、ウエットスーツと同じく生地に気泡があり、水圧によって伸縮します。
イコール、浮力の増減があるので、BCで調整して、中性浮力を保つというのは、ダイバーの常識。

しかし、シェルドライスーツの場合、スーツ自体には浮力がないので、浮力の安定を保ちやすい。
とは言いつつも、ネオプレンで問題なく潜れている自分は、水中でそこまで中性浮力の感覚に違いはありませんでしたが、潜降時の“すぐに沈めない”とか浮上時の“ふきが上がり”がないのはとても快適に感じました。

シェルドライスーツ・WATERPROOF D7使用レポート

また、気泡の浮力の増減をBCで補わなくていいので、スクイーズ対処のためにドライスーツへ給排気するだけでよく、浮力調整がシンプルで楽でした。

ただ、肩口だけでなく、手首近くの排気バルブに慣れている自分としては、シェルでもこの部分に排気バルブがあるといいなとは感じました。

シェルドライスーツ・WATERPROOF D7使用レポート

ウエイト量は、保温性の高いつなぎタイプのインナーを着て潜った際は、ネオプレインの時とさほど変わりませんでしたが、これは寒冷地でもいけるインナー。
もう少し薄手のインナーであれば、ウエイト量は減らせるかもしれません。

逆に、極寒地でさらにインナーを着こめば、ウエイト量は増えるかもしれませんが、これはネオプレンでも同じですね。

良いものであることは間違いなし!
“本格派”“プロ”向けの一着としてオススメ

ネオプレンのドライスーツに比べて、シェルタイプのドライスーツのメリットは多いように思います。その中でも30万近くするD7は上位クラスで、とても良いものであることに間違いはありません。
この一着あれば、長い間、あらゆる海に対応できるでしょう。

ただ、だからと言ってネオプレンが悪いというわけでもなく、例えば、伊豆でしか使わず、そこまで潜りこむわけでもないダイバーの最初の一着として手軽に購入できるメリットは大きいと思います。
これまで、特に問題なく、皆さん使っていたわけですからね。

やはり、このドライスーツを真っ先にオススメしたいのは、ガイドやインストラクターなどプロのダイバー。

ダイビング本数が多いダイバーには耐久性の高さは魅力だし、ゆとりある設計は、脱ぎ着が楽なので、これも何度も潜るプロに最適。

さらに、首や手首のシールを自分で変えられ、フロントファスナーなので、1人で開けることができたりするのも、毎日潜るプロには何かと魅力です。

もちろん、プロが使えるものは、一般のダイバーが使っても快適なわけで、最初の一着として選ぶのももちろんあり。カメラ始めたばかりの人でも、コンデジではなく、いきなり一眼で撮ったほうが上手く撮れるのと同じですね。

そして、最初にも言いましたが、ダイビング器材においては、ブランディングはとても重要。

ネオプレンと比べて値段が高いことも性能が良い証。シェルドライスーツを着ていると「なんか、プロっぽいよね~」となり、D7を着ていると「なんか、クールでカッコイイよね~」となるんじゃないかなと思います。

以上、あれこれ言ってきましたが、ひと言でまとめると、本気で欲しいです(笑)。

シェルドライスーツ・WATERPROOF D7使用レポート

※次ページでは、このWATERPROOFを購入した現地ダイビングガイドさんに「なぜ購入したのか?」「どの点が気に入ったのか?」をうかがっています!

ネオプレンばかり着てきた編集長、初めてのシェルドライスーツWATERPROOF D7を徹底レビュー!

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