「マスクがどうしても曇る…」という方への究極のくもり止め

これはよく来る質問。

新しいマスクのレンズには油膜が付着していて、
洗い落すのを忘れたり 、不十分だと曇ってしまう。
そのため、中性洗剤や研磨剤入りの歯磨き粉やクレンザーで洗い落とす。

と、ここまで知っている人は多いが、これでは不十分。

まず知っておきたいのは、マスクのレンズに油膜が付着する理由は
マスクを覆うシリコンゴムにある。

僕はこのシリコンから出るシロキサンという物質が原因と思っていたが、
ダイビング歴50年のNAUIインストラクターで、
潜酔亭」を主宰するmonoダイバー慶松亮二さんによれば、
シリコンの型を取る際に使う剥離剤 (油性成分)が曇る原因とのこと。

いずれにせよ、マスクが曇らないようにするには、
レンズだけでなくマスク全体をケアしなくてはならないということだ。

最も簡単な方法はレンズと同様、シリコンも洗うことだが、
慶松さんによれば「それでも不十分」で、確実に曇らなくする方法があるという。
その方法とは……

煮る

煮るというと少し語弊があるが、要するに熱い湯で油を溶かすということだ。
ただ、マスクに使われるプラスチックは80度台で変形するものもあるので、
70〜80度ほど(できれば80度近い温度が良い) のお湯で5分ほど煮る
(鍋に直に置くに抵抗があるなら布巾などを敷く)。

煮ていると、マスク全体に細かい泡がまとわりつくので、
煮ながら箸や箸の先に布で包んだりしてこする。
すると、泡が取り除かれる時に油や汚れが一緒に取れるという寸法だ。

油膜の付着したシリコンは水を弾くが、油膜がとれたシリコンは水がなじむ。
人間で例えるなら、若い肌より熟年の肌ということ(笑)。
煮る前と後でその違いを確かめれば、油がとれたかどうかは一目瞭然だ。

また、度付きやノーフォグ加工されたレンズを使っているマスクの中には、
説明書に研磨剤を使わないように書いてあるものもあるが
(ガラスより柔らかく研磨剤で傷がつくため) 、
「中性洗剤で洗ってもやっぱり曇る」という声も耳にする。
※この方のブログが詳しいので参考に(5/5、5/7のブログ)。
http://asahiscuba.ti-da.net/d2010-05.html

その点でも”煮る”はとても有効かもしれない。

マスクをしっかりケアした上で曇るのであれば、以下のような原因が考えられる。

■鼻から息をしている:口から呼吸のトレーニングを!
■くもり止めを洗い流してしまっている:ごしごしと洗い流さない!
■水洗いしてからくもり止めをしている:乾いたレンズに塗ろう!

慶松さんが提唱する、まさか、まさかの”煮る “(熱して油を溶かす)。
「目からウロコの裏技 でした」とお伝えすると、
「こっちが表技。皆がやっているのは”あてずっぽう”」とのことでした(汗)。

※注すべてのマスクにあてはまるかはわかりません。あくまで自己責任でお願いします。

■おまけ:安良里のクリス山中氏の「海藻でくもり止め」
http://dukeyama.blog79.fc2.com/blog-entry-146.html

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PROFILE
法政大学アクアダイビング時にダイビングインストラクター資格を取得。
卒業後は、ダイビング誌の編集者として世界の海を行脚。
潜ったダイビングポイントは500を超え、夢は誰よりもいろんな海を潜ること。
ダイビング入門誌副編集長を経て、「ocean+α」を立ち上げ初代編集長に。

現在、フリーランスとして、ダイバーがより安全に楽しく潜るため、新しい選択肢を提供するため、
そして、ダイビング業界で働く人が幸せになれる環境を作るために、深海に潜伏して活動中。

〇詳細プロフィール/コンタクト
https://divingman.co.jp/profile/
〇NPOプロジェクトセーフダイブ
http://safedive.or.jp/
〇問い合わせ・連絡先
teraniku@gmail.com

■著書:「スキルアップ寺子屋」、「スキルアップ寺子屋NEO」
■DVD:「絶対☆ダイビングスキル10」、「奥義☆ダイビングスキル20」
■安全ダイビング提言集
http://safedive.or.jp/journal
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