パラオ、 ミッドナイト★ダイブクルーズ

Palau / パラオ

見たことの無い不思議な容姿の魚達と、あらゆる生き物のラーバ(幼生)との出会い。

Photo&Text
峯水 亮
Special Thanks
デイドリームパラオ、坂上治郎、フィッシュアイ
Design
PanariDesign
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Palau / パラオ

見たことの無い不思議な容姿の魚達と、あらゆる生き物のラーバ(幼生)との出会い。

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峯水 亮
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デイドリームパラオ、坂上治郎、フィッシュアイ
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親の姿からは想像もできないエキセントリックな姿

形はすでにシャコに なっている最終期のストマトポーダラーバ

形はすでにシャコに なっている最終期のストマトポーダラーバ。目が赤くて印象的だ

程よい間隔にライトが設置され、点灯が始まると、真っ暗な水中は映画“Abyss”の様な幻想的な風景へと変わる。
しばらくすると、ライトの周りには無数のプランクトンが集まり始めた。まずは数mmほどのヨコエビやカイアシ類が無数にライトの周りを取り囲み、それを捕食しようとするシャコのアリマ(※)幼生や細長い体と長いヒレが特徴のカクレウオのラーバなどがやってくる。さらに、ライトから少し離れた場所には頭部が張り出したチョウチョウウオ類のトリクチス幼生や、腹ビレの大きく伸びたテンジクダイ科のラーバなどの姿もあり、徐々にボルテージが上がり始めた。

エフィラクラゲの上にのるジェリーフィッシュライダー

エフィラクラゲの上にのるジェリーフィッシュライダー。ヒメセミエビ科のフィロゾーマと思われる

ラーバの面白さはなんと言っても親の姿からは想像もできないエキセントリックな姿だ。
特にこの時代のヒレには一定の期間しか見られない各々に独特な特徴があって、中にはどのような役割があるのか想像がつきにくいものもいる。今回出会ったハナスズキ科のラーバは、他ではあまり例が無いような、体よりも極端に太くて大きいヒモムシの様な幅広のヒレを持っていた。これでは逆に海の中で目だってしまいそうだが、おそらくは、襲われたときに瞬時に切り離して、その間に自分が逃げるなどの役割があるのだろうと想像できる。

背びれに独特の吹流しがあるハナスズキ科のラーバ

背びれに独特の吹流しがあるハナスズキ科のラーバ。これにも皆で大興奮した

しかし、それが可能なのも、おそらく切り離してしまう一回きりだろう。襲った魚が嫌がりそうな何か分泌物を含んでいるのだろうか? 海の中では人間が想像もしない様な魚達の生き抜く知恵が渦巻いていて、今はまだ想像の範囲に過ぎない。そういったことを探っていく楽しさも、このミッドナイトダイブでの出会いで得られる楽しみの一つだ。

また、今回は一個体しか出会わなかったが、腹ビレが大きい事からテンジクダイ科のラーバと思われる個体がいた。閉じているときには一瞬気づかなかったが、滑空し始めた際に腹ビレを開くと、まるでホウボウのような美しい鰭膜を持っていて、目を奪われた。

テンジクダイ科のラーバ

比較的多く出現するテンジクダイ科のラーバの中でも、この様に美しい腹ビレを持つタイプは今回のクルーズで初出で大興奮

これらのラーバの生態は、まだまだ判っていない事が多いが、スペシャルアドバイザーの坂上氏が乗船していると、見た魚が何の仲間なのかがその場で判明する点もアドバンテージが大きい。また、浮遊系は魚に限らず、甲殻類やイカタコなどの頭足類・刺胞動物などなど、あらゆるラーバが一挙に見られる。ハワイの著名な水中写真家でもあるクリストファー・ニューバートの写真集“Rainbow Ocean”で紹介された様な、クリスタルで鮮やかな生物が満載だ。

魚類生態学研究家の坂上治郎氏

パラオのミッドナイ トダイブ先駆者で、魚類生態学研究家の坂上治郎氏。乗船ク ルーズでは様々な情報を提供してくれる

パラオのミッドナイトダイブクルーズでは、何が出てもおかしくない状況は続き、潜る度にその期待は膨らんだ。

オトヒメエビ科の1種

個人的にずっと探して いたオトヒメエビ科の1種。ミッドナイトダイブでこんな簡単に出会えるとは…

※アリマ=Alimaは、現在では死語ですが、ダイバーの間では便宜的にアリマ幼生と呼んでいます

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