西表島のビッグスポット・オガン!
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Iriomote / 西表島
中村卓哉の心を動かした超ビッグスポット!
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Iriomote / 西表島
中村卓哉の心を動かした超ビッグスポット!
- Photo&Text
- 中村卓哉
- Special Thanks
- ダイビングチームうなりざき西表
- Design
- 中村孝子
沖縄本島・辺野古の海を撮り続けることをライフワークとする水中カメラマン・中村卓哉。
彼が「潜るのは人生でまだ2度目」と言う、西表島の超ビッグスポット・オガン。
そこで中村卓哉の心を揺さぶった絶景とは?
中村卓哉による西表島のウェブマガジン、どうぞご堪能ください。
人生2回目のオガンダイビングへ
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オガンの周囲では頭上をカツオドリが旋回していた
西表島にはベテランダイバーが憧れて止まない聖域のようなポイントがある。
西表島から南西に約15 キロ離れた仲之御神島、通称“オガン” である。
無人島である岩場に囲まれたこの島は渡り鳥の繁殖地としても知られており、カツオドリやアジサシの仲間が1万羽以上も住み着いている。
過去に、この島に野鳥観察をしに来たくてわざわざダイビングのCカードを取ったという野鳥愛好家もいるという。
その方はさらにオガンダイビングが可能な最低経験本数50本以上を潜ってオガンをリクエストしに西表島に戻ってきたのだというから驚きだ。
勿論、こうした黒潮のバンバン当たる孤島は外洋を回遊する魚達にとってもオアシスとなる。
ある程度経験を積んだダイバーなら、この島のロケーションを見ただけでワクワクが止まらないはずだ。
しかし何を隠そう私自身、このオガンへ潜るのは今回が2回目。
15年程前に別の島から遠征し潜りにいったのだが、ただ流れがきつく激流を泳いだだけで何も出会えずに引き返した経験がある。
以来オガンには軽いトラウマがあったのである。
船がオガンに向う間にそんな話をオーナーの吉坊さんに話すと、「それもオガンだからね。当たればカスミアジ1000匹の群れにツムブリとバラクーダが混在するよ。絶対は無い!だからみんなオガンに戻ってくるんだ。」
なるほど、なんとも夢のような話ではないか。
そんな凄まじいオガンの姿を早くこの目に焼き付けたい。遠くにうっすらオガンの島影が見えてくると一気に胸の中がザワザワと騒ぎはじめてきた。

オガンへ到着
「まずは天馬崎というポイントへ入りましょう」
今回ガイドを担当してくれるダイビングサービスうなりざき西表の店長、森脇さんがもの静かに言う。
彼は20才の時に広島から西表島へ渡り、以来13年間うなりざき一筋で経験を積んだオガンのスペシャリストだ。
ポイントへ到着すると潮の流れのチェックをしに彼は海に飛び込んだ。
「行きましょう」
その合図で皆エントリーの準備を始めた。
天馬崎の海中の景色は、
まるで世界中の絶景を飛行しているようだ

空気を入れたペットボトルを指示棒で太鼓の様に打ち鳴らしカスミアジを寄せるガイドの森脇さん
エントリーしてすぐに現れる岩畳のような不思議な地層の上を気持ちよく流されて行く。
すると不思議なムチヤギが覆い茂った根や巨大な岩がゴロゴロと置かれた光景を横目にし、やがて巨岩が重なり合って出来た洞窟に突き当たる。
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まるで岩畳のような不思議な地層をもつ天馬崎の海底
カレントの通り道となったその洞窟の中は強力な流れで、一気に身が暗闇に吸い込まれていく。
自分の吐いたエアーが映り込まない様に息を止め必死に流れに堪えながら洞窟内を撮影すると、ここで少々体力を消耗してしまった。
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巨岩が重なり合って出来た天馬崎の洞窟
しかしこの後に待ち構える光景でその疲れも吹っ飛ぶ事になる。
いよいよクライマックス、潮がぶち当たる根にしがみつくと、目の前を悠然と50匹ほどのイソマグロが回遊していた。
無我夢中でシャッターを切りながらマグロを追いかけようとすると、森脇さんが静かに手をかざし静止の合図を出した。
言われるがまま、方向転換し岩にしがみつきながら彼の後についていくとやがて目の前の岩陰から巨大なマグロの魚影が再び姿を現した!
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悠然と目の前を泳ぐイソマグロの編隊(天馬崎)
“郷に入りては郷に従え“
ここでは彼の指示は的確である。
この鋭い読みは長年の培われてきた経験に裏打ちされたものだ。
5月〜9月のコンディションが良く波の無い時期でしか潜る事の出来ないオガンへ年間70回ほど行っているうなりざき。
この数は西表島のダイビングショップの中でも群を抜いて多い。
「オガンならうちに任せろ」というような内に秘めた自信と誇りを彼のガイドを見て感じた。
15年前に潜ったネガティブな印象をかき消すには十分な、感動的なオガンダイビングだった。
海から上がると森脇さんに「今日のオガンはベストが100なら何%くらい?」と聞くと「うーん、40%です」と苦笑いしながらこたえてくれた。
「これで40%?」その言葉を聞き、さらに期待が増幅されていった。
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東ノ根では約20匹と数は少ないがギンガメアジの群れに遭遇した
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タイマイも潮に流されながら優雅に泳いでいた