ダイビングは危険?安全?インストラクターと一般ダイバーの意識調査結果

オーストラリア、GBRの魚の群れ(撮影:越智隆治)

こんにちは。高野です。
ダイビング事故(主に国内)に関する質問として、今回は3つ目の「あなたはダイビングを危険な活動だととらえていますか?(極めて危険⇔極めて安全)」(現在での意識を4段階で回答)という質問についての結果をお話します。

Q.ダイビングを危険な活動と捉えていますか?(インストラクター)

ダイビングを危険な活動と捉えていますか?(インストラクター)

ダイビングを危険な活動と捉えていますか?(インストラクター) n=129 欠損=5

Q. ダイビングを危険な活動と捉えていますか?(一般ダイバー)

ダイビングを危険な活動と捉えていますか?(一般ダイバー)

ダイビングを危険な活動と捉えていますか?(一般ダイバー)n=447 欠損=4

結果は、ダイビング事故の多くは、「4(極めて危険)」と回答したインストラクターは12%、に対し、一般ダイバーは11%と、ほぼ変わらない結果となりましたが、「3」を加えた場合、危険と考えているインストラクターは62%に対し、一般ダイバーは52%でした。

ダイビングを危険な活動と捉えている者、安全と捉えている者は、一般ダイバーのほぼ50/50に比べ、インストラクターの方が危険と捉えている者が多いようです。

これは、以前にも触れました、一般ダイバーの「ヒヤリ・ハット経験のなしの理由」(複数回答可)とも関連しているように思います。

一般ダイバーのヒヤリ・ハット経験のなしの理由

一般ダイバーのヒヤリ・ハット経験のなしの理由(複数回答可)n=122

個人的には、ダイビング活動をより多くの方に「安全」と捉えていただきたいと思う反面、昨今のダイビング事故の現状や、今回インストラクター及び一般ダイバーに行った、ヒヤリ・ハット意識調査の結果(前回までに書かせていただいている調査結果から)から考えると、双方ともにダイビング活動を「危険」と捉えた上で、より確実にトラブルが発生した場合の対処法、並びに発生を防ぐ為のスキル(知識・技術)を身に付け(身に付けさせ)、それらの経験を積む(積ませる)ことで向上させていくことが必要と感じます。

私自身、現場で活動する中で、現状を見ていると、経験を積むことで自信や心の余裕は生まれるものの、逆に「大丈夫だろう・・・」、ましてやC-カード取得講習で習ったことでも「やらなくていいだろう・・・」(例えば器材のバディチェックや活動中のバディシステムなど)という、事故発生の一因とも考えられる、心の「油断」を生んでしまっていると感じます。

講習においては、一つひとつのスキルには意味がある(誰が、どんな時に、何故そのスキル必要なのか、それを怠ることによって、どのような危険・結果を招く可能性があるのか)ことをしっかりと理解する(させる)こと、またファンダイビングにおいては、スキル(例えば、バディシステムやはぐれた時の手順など)によっては、実施・継続させることも、もう一度再確認する重要なところではないでしょうか。

※次回は、4つ目の「ダイビングにおける行動の責任について(全面的に自己責任⇔全面的に指導者責任)」(現在での意識を4段階で回答)についてお話します。

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PROFILE
大学にて法学を学び、卒業後、某一部上場企業にて人事採用・研修を担当していたが、「人は自然と共に生きていくことが本来の姿である」と思ってしまい…退職。

都市型ダイビングショップを経験後、静岡県の熱海を専門に水中ガイド、コースディレクターとしてインストラクター養成などを行う。
また、潜水士として、海洋調査・水中撮影・ナマコ潜水漁・潜水捜索救難などでも活動している。
 
ある時、業界の発展、健全性の確立を考えるようになり、大学院へ進学してスポーツマネジメントについて学ぶ(学位:体育学修士)。
現在は、教育・指導の観点から、ダイビングのマネジメントについて研究している。
 
■「筑波大学 大学院」 体育系研究員 高度競技マネジメント研究室(山口香研究室)
■「文部科学省所管 財団法人社会スポーツセンター」マリンスポーツ振興事業部 専門職員
■「NPO熱海・自然の学校」理事 安全対策委員長
■「NPOユニバーサルダイビングネットワーク」理事 潜水捜索救難協会トレーニングディレクター
■「Office 海心(うみこころ)」代表
 
【学会発表・論文】
■「SCUBAダイビングにおける裁判事例から見た事故分析」
■「SCUBAダイビングにおけるヒヤリ・ハット調査から見た事故分析 -ハインリッヒの法則に基づいた観点から-」
■ 「SCUBAダイビング指導者育成における教育課程に関する研究 -中高齢者事故予防の観点から-」
他
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