水中ワイド写真で感じる鹿児島・錦江湾の海中の四季〜SBオーナーガイド・松田さん撮影〜

鹿児島(提供:松田康司)

シオミドロが繁茂し、木漏れ日が海中に差し込む、幻想的な写真:松田康司さん撮影

海中にも四季があり、季節によって、海の表情も変わるし、見られる生物、観察しやすくなる生物も違ってくる。

今回、急遽決まった錦江湾ロケで、そんなシーズナリティ、前情報などもよくわからずに来てしまった感があった。

スクーバダイビングショップSBに到着してすぐに、オーナーガイドの松田康司さんの撮影した錦江湾の水中写真を見せてもらい、ブリーフィングをしてもらった。

錦江湾の海中の四季折々

一番目を引いた写真は、店内にも大きく飾られていた、半水面写真で撮影された鹿児島市の夜景と、タコクラゲの群れ。そして、新緑のようなシオミドロという海藻が水面を覆い尽くすように繁茂し、その間から差し込んでくる太陽の日差しが、まるで、森林の中に差し込む木漏れ日のように美しい海中景観の写真(トップの写真)。

鹿児島(提供:松田康司)

ミズクラゲが、繁殖し、こちらも幻想的な光景。鹿児島の街と絡めたナイトの半水面。とてもインパクトのある写真だ:松田康司さん撮影

鹿児島(提供:松田康司)

カンパチが、木漏れ日の中を泳ぐ:松田康司さん撮影

「こんな写真が撮影できるんですか!?」と今までに見たことのない、海中景観に、感動し、滞在期間中に撮影できる可能性もあるのかと、ワクワクして、俄然撮影意欲が湧いてきた。

しかし、「え、いえ、このタコクラゲは、8月くらいにならないと、こんな風にはならないんです」と松田さん。「え〜、そうなの、じゃあ、今は時期が少し早いってことですか?」と意気消沈して答える。
「じゃあ、この木漏れ日みたいな写真は?個人的には、これが一番好きな写真だな〜」と感心しながら、眺めていたら、「えっと、シオミドロがこんな風に繁殖するのは、2月ですね。ちなみに、このシオミドロとタコクラゲを撮影した場所は、まったく同じ場所なんですよ」との回答。

季節が違えば、同じ場所でも撮影できるものがこんなに違ってくる。

鹿児島(提供:松田康司)

「あと、マクロ生物が撮影しやすいのは、9月、10月です。アカオビハナダイ単体の婚姻色も、10月の方が良い色が出ます。それに、水温が上がって、ネジリンボウなどのハゼも寄りやすくなります。アカタチがビョンビョン飛び出すのもこの時期ですね」。

鹿児島(提供:松田康司)

9月、10月には、3〜4m上まで飛び跳ねるそうだ:松田康司さん撮影

鹿児島(撮影:越智 隆治)

今回僕が見たアカタチはこの状態で巣穴からは出てこない・・・(涙)

鹿児島(提供:松田康司)
鹿児島(提供:松田康司)

ちょっと分かりづらい写真だけど、上は、ハクセンアカホシカクレエビが一つのイソギンチャクに群れているところ。下は、ムチカラマツに、クロホシイシモチが群れているシーン。どちらも9〜10月が狙い目:松田康司さん撮影

で、結局は何を撮影する?

「・・・・・って、じゃあ、6月は何がいいの・・・?」と少々意気消沈しながらたずねると、「透明度が落ちて、緑色が強くなり、アカオビハナダイの群れに寄りやすくなります。透明度が良いと、結構警戒して、寄れなくなるんです」。

鹿児島(撮影:越智 隆治)

アカオビの根に群れる、アカオビハナダイのオス

う〜む、喜んで良いのか悪いのか・・・

「あとは、錦江湾ではなくて、南薩摩から潜る外洋のポイント、大瀬に群れるイサキの群れは、今が旬なんです!色々なところで、イサキの群れがすごいって言ってますけど、個人的には、勝手に南薩摩のイサキの群れが1番だと思っています。今回は、内湾の錦江湾と、外洋の南薩摩の海の違いも感じてもらえればと思って、1日は外洋で潜ってもらえるスケジュールを組んでいます」とのこと。

南薩摩の海は、次のヘッドラインで紹介するとして、透明度の悪い、錦江湾の四季を表現する海中写真をすべてワイドで見せてくれたのには、正直感心した。

「透明度が悪い=マクロ生物に特化される」という図式はどこでもあることだとは思うが、梅雨時期のアカオビハナダイの群れの写真、8月夏真っ盛りのときのミズクラゲと街並みの半水面の写真、そして、シオミドロが繁茂して、その隙間から、太陽光が海中に差し込むシーンは、是非とも撮影にチャレンジしてみたいシーンだ。

鹿児島(提供:松田康司)

「もう一つ、浅場のイソギンチャクの群生はどうでしょう?これは通年観察できます。」確かに、群生の規模はすごそうだけど、まあ他でも見れない景観でも無いような。それにクマノミも少ない。「かなりの豪邸に住んでいる感じですね」と松田さん。まあ、確かにそうだけどね。

鹿児島(撮影:越智 隆治)
鹿児島(撮影:越智 隆治)

海中を埋め尽くす、イソギンチャクの大群生

季節によって見られるものが違うから、その海の四季を撮りためられるのは、やはりその海を見続けるガイドの特権。それはとても羨ましいことだと、写真家としてはいつも感じる。

これからも、「羨ましい!こんな写真撮影してみたい!」という写真を撮り続けて、錦江湾の魅力をどんどん発表していってもらいたいですね。

そして、たまにはまた是非呼んでください〜(笑・営業)

ちなみに、最後の最後に、雲がはけて、桜島の全貌を見ることができました〜。

鹿児島(撮影:越智 隆治)

60万都市、鹿児島が目と鼻の先、活火山・桜島とともに生きる町

■supported by Scuba Diving Shop SB (スマイルビームス)

鹿児島(撮影:越智 隆治)

松田康司さん、環さん御夫婦とスタッフガイドの射手園さん3名のアットホームなDS。鹿児島市内にあるダイビングショップで唯一、自社ボート(ブラックパール号)を所有。船長は松田さんのお父さんの俊一さん。
桜島を仰ぎ見て潜る超個性的で独特な海、錦江湾だけでなく、外洋で透明度の高い南薩摩の海専用の小型ボートも所有。

ボートダイビング、ビーチダイビング両方対応してもらえる数少ないDSだ。オーナーの松田康司さんは、ガイド会にも所属し、錦江湾の海中の四季を捉えた写真は、他の海ではあまり目にすることが無い不思議な光景で、とても興味深く、撮影意欲を掻き立ててくれる。

錦江湾でのマニアックなダイビングから、南薩摩の明るい海でのファンダイビングまで、どんなダイバーにも、対応してくれるダイビングサービス。

〒891-0144 鹿児島市下福元町7641
TEL/FAX:099-262-5838
営業時間:10:00~19:00
店休日:毎週火曜日(夏季7月~9月無休)
http://sb-diving.sakura.ne.jp

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PROFILE
慶応大学文学部人間関係学科卒業。
産経新聞写真報道局(同紙潜水取材班に所属)を経てフリーのフォトグラファー&ライターに。
以降、南の島や暖かい海などを中心に、自然環境をテーマに取材を続けている。
与那国島の海底遺跡、バハマ・ビミニ島の海に沈むアトランティス・ロード、核実験でビキニ環礁に沈められた戦艦長門、南オーストラリア でのホオジロザメ取材などの水中取材経験もある。
ダイビング経験本数5500本以上。
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