ダイビング保険は必要? 水中写真家が経験した「漂流」と「耳のケガ」から考えるDAN JAPAN
ダイビングの保険、入っていますか?
経験や本数を重ねたダイバーであっても、海では思いがけないトラブルに遭遇することがある。
今回話を伺ったのは、水中写真家・関戸紀倫氏(以下、関戸氏)。ガラパゴスで約45分間の漂流を経験し、オーストラリアでは耳のトラブルによって約1年間ダイビングを休止したこともある。さらに、DAN JAPANを運営する一般財団法人 日本海洋レジャー安全・振興協会の高野修氏(以下、高野氏)にも、事故やケガが起きた際のサポート体制について話を聞いた。
本記事では、関戸氏の実体験をもとに、海で起こり得るリスクと、ダイビング保険を含む「万が一への備え」について考える。
目次
この動画・記事でわかること
- ●水中写真家・関戸紀倫氏が経験した「漂流」と「耳のケガ」の実体験
- ●プロダイバーでも遭遇し得る海でのリスクと、その経験から見直した安全対策
- ●漂流事故をきっかけに見直した装備と、「もしも」に備える考え方
- ●ダイビング中のケガやトラブルに対するDAN JAPANのサポート内容
- ●DAN JAPANが保険だけではなく、緊急ホットラインや医療相談などを提供するサポート組織である理由
- ●ダイビング保険を選ぶ際に知っておきたいポイント
実体験から考える、ダイバー自身の安全対策
経験や技術があっても、海では予期しないトラブルが起こり得る。関戸氏が実際に経験した漂流や耳のケガ、生き物との遭遇から、ダイバー自身にできる備えを考えていこう。
ガラパゴスでの漂流から見直した安全装備
世界有数のダイビングスポットとして知られるガラパゴス諸島。関戸氏が経験したのは、そんな海で起きた約45分間の漂流だった。
45分間のダイビングを終え、事前の打ち合わせ通りに水面へ浮上。しかし、そこにあるはずのダイビングボートが見当たらなかった。
「少し離れたところに船は見えたんです。でも、シグナルフロートを上げて待っていても、こちらに向かってきてくれないんですよ」。
そのうち気づくだろうと待っていたものの、状況は変わらない。笛を吹いて存在を知らせようとしても反応はなく、複雑な潮流によって少しずつ沖へ流されていく。気づけば、その状態は40〜45分ほど続いていたという。
「最初は『大丈夫ですよ』と周りにも声をかけていました。でも、時間が経つにつれて皆も不安になり、自分もだんだん焦ってきました。今でもあの時のことはよく覚えています」。
最終的にはボートに発見され、無事にピックアップされたものの、「もう少し発見が遅れていたら、見つからなかったかもしれない」と振り返る。ガラパゴス諸島はエクアドル本土から約1,000km離れた太平洋上に位置しており、一度流されてしまえば救助は決して容易ではない環境だからだ。

水中写真家・関戸紀倫氏
この経験をきっかけに、関戸氏は安全装備を見直した。現在は大型のシグナルフロートに加え、シグナルミラー、笛、そして通信手段としてApple Watchを携行しているという。漂流を防ぐことだけでなく、漂流した際に自分の存在をどう知らせるかまで準備しておく。それが、この経験から関戸氏が得た大きな教訓だった。
海外で漂流し、捜索や救助が必要になった場合、状況によっては数百万円規模の救助費用が発生するケースもあるという。DAN JAPANでは、こうした海外での事故に備え、世界各国のDANネットワークと連携しながら、ダイバーをサポートしている。
【サポート内容の一例】
- ●世界各国のDANネットワークを通じた支援
- ●現地の救助機関や医療機関との連携・調整
- ●状況に応じた救助費用の補償・サポート
- ●24時間365日対応の緊急ホットライン
※補償内容や適用条件は事故の状況や契約内容によって異なります。詳しくはDAN JAPAN公式サイト・約款をご確認ください。
耳の違和感を放置しない。それもダイバー自身の備え
漂流事故だけでなく、関戸氏にはダイビング中の耳のトラブルという苦い経験もある。
当時、ワーキングホリデー制度を利用して約2年間オーストラリアに滞在していた関戸氏。帰国前にはダイビングをしながらオーストラリア大陸を一周する旅を続けていた。
ある日、水中洞窟を潜っていた際、長さ約100mの洞窟の中ほどで耳に違和感を覚えたという。
「その日は海況があまり良くなく、うねりも強かったんです。ダイブコンピューターがずっと警告音を鳴らしているような状況で、水圧の変化も大きく、耳がピリッとするような感覚がありました」。
その場では痛みもなくダイビングを終えたものの、シャワーを浴びた際に耳へ入った水が約1週間抜けず、聞こえづらい状態が続いた。

耳のトラブルについて語る関戸氏
異変を感じて現地の病院を受診しようとしたものの、診察だけで700ドルかかると告げられる。当時は保険に加入しておらず、「何もなければもったいない」と考え、受診を見送って日本へ帰国した。
その後、ダイビング医療に詳しい医師から、経験上「外リンパ瘻の可能性が高い」と説明を受けた。耳への負担を避けるため約1年間ダイビングを休止し、「次に同じ症状が起きたら聴力を失う可能性もある」とも。
この経験を機に、関戸氏は耳抜きの方法を見直した。
「耳抜きが十分できていなかったことを痛感しました。それ以来、今でも必ず耳抜きを確認してから潜降するようにしています」。
また、関戸氏は「あの時、現地でしっかり診てもらっていたら、耳鳴りなどの症状は改善していたかもしれない」と振り返る。耳の違和感を軽く考えず、早い段階で専門的な判断を受けること。その重要性を、この経験を通して関戸氏は強く実感したという。
耳のトラブルは、DAN JAPANに寄せられる相談の中でも特に多いケースの一つ。違和感を放置すると症状が悪化したり、後遺症につながったりする恐れもあるため、できるだけ早く専門的な判断を受けることが大切だ。
海外で受診先に迷った場合や、ダイビングを続けてよいか判断に困った場合でも、DAN JAPANではダイバーをサポートしている。
【サポート内容の一例】
- ●24時間365日対応の緊急ホットライン
- ●ダイビング医療に関する相談
- ●現地医療機関との連携・調整
- ●耳のケガを含むダイビング中のケガへの補償・サポート
- ●減圧症の治療費に対する補償・サポート
※補償内容や適用条件は事故の状況や契約内容によって異なります。詳しくはDAN JAPAN公式サイト・約款をご確認ください。
野生動物との適切な距離も、安全対策の一つ
海で起こるトラブルは、器材や環境だけが原因とは限らない。自然の中で潜る以上、生き物との距離感も安全に潜るための重要な要素だ。関戸氏が印象に残っている出来事の一つが、オーストラリアで経験した魚からの威嚇だった。
当時インストラクターとして潜っていた際、水深約30mのドロップオフでゲストと一緒に生き物を観察していたところ、背後に何か気配を感じたという。振り返ると、そこには大型のハタの仲間であるタマカイが5匹並び、自分たちをじっと見つめていた。
「何か嫌な雰囲気だなと思った瞬間、水中で『バーン!』という大きな音がしたんです。エラなのか浮き袋なのかは分かりませんが、おそらく威嚇だったんだと思います」。
関戸氏は、縄張りへの接近に対する警告行動だったのではないかと振り返る。
「生き物は攻撃する前に、何らかの警告行動を見せることが多いんです。それに気づかなければ、体当たりや攻撃につながっていた可能性もあったと思います」。

多くの生き物は、攻撃の前に警告行動をとる
実際に関戸氏は、サメから体当たりを受けた経験もあるという。
「サメもいきなり攻撃するわけではありません。警戒している様子や行動の変化があり、その後に体当たりをしてくることがあります」。
だからこそ、撮影前には必ず生き物の様子を観察し、「今日はこれ以上近づかない」と判断することも少なくないという。
「いい写真を撮ることも大切ですが、一番優先すべきは安全です。相手は野生動物なので、人間の都合では動いてくれません」。
海では、生き物との接触や器材の取り扱いなど、思いがけないケガが起こることもある。万が一ケガをしてしまった場合も、DAN JAPANではダイバーをサポートしている。
【サポート内容の一例】
- ●ガンガゼや魚のヒレなどによる外傷への補償・サポート
- ●ダイビング中に発生したさまざまなケガへの補償・サポート
- ●条件を満たした場合、水中カメラなど携行品の破損も補償対象
- ●24時間365日対応の緊急ホットライン
- ●ダイビング医療に関する相談
※補償内容や適用条件は事故の状況や契約内容によって異なります。詳しくはDAN JAPAN公式サイト・約款をご確認ください。
耳のトラブルと家族の存在が、加入を考えるきっかけに
関戸氏がDAN JAPANへ加入した一番のきっかけは、オーストラリアで経験した耳のケガだった。
「一番大きかったのは、やっぱり耳のケガですね。それと家族ができたことも理由の一つです。もし自分に何かあった時に、家族へ迷惑をかけたくないと思って加入しました」。
ガラパゴスでの漂流や耳のトラブルなど、「まさか自分が」と思うような出来事を経験したからこそ、万が一への備えの大切さを実感したという。
関戸氏は、「以前は『自分は大丈夫だろう』という気持ちもあった」と振り返る。しかし、世界中の海を潜ってきた今だからこそ、「自然相手では何が起こるか分からない」と強く感じているという。
万が一の事態は、経験や技術だけで防げるものではない。だからこそ、安心してダイビングを楽しみ続けるための「備え」として、DAN JAPANへの加入を選んだ。
DAN JAPANは、ダイバーの「もしも」をどう支えるのか
関戸氏が加入を決めたDAN JAPANは、具体的にどのような備えを提供しているのだろうか。
「よく保険会社と間違われるのですが、DAN JAPANは保険会社ではありません」と話すのは、DAN JAPANを運営する一般財団法人 日本海洋レジャー安全・振興協会の高野だ。
DAN JAPANは、ダイバーの安全を支えるサポート組織として、24時間365日対応の緊急ホットラインをはじめ、ダイビングに関する医療相談や安全情報の提供、安全セミナーの開催など、さまざまな活動を行っている。
こうしたサポートは、海外でダイビングをする際にも役立つ。関戸氏によると、海外のダイビングショップでDAN会員かどうかを確認されたこともあるという。会員証はデジタルでも提示できるため、事前にショップへ伝えておくことで、万が一の際にもスムーズな対応につながるという。

DAN JAPANの緊急医療援助事業について語る高野氏
高野氏は、DAN JAPANの使命について次のように話す。
「ダイバーの皆さまと一緒に、ダイビングに関する安全を作り上げていくことが私たちの使命です。安全について気になることがあれば、いつでもお気軽にご相談ください」
ダイビングでは、経験やスキルだけですべてのリスクを防ぐことはできない。だからこそ、「何か起きた後」ではなく、「何も起きていない今」から備えておくことが、安全に海を楽しみ続けるための大切な一歩になる。
海へ出かける前に確認したい「もしも」への備え
「自分は大丈夫」と思っていても、海では予想もしないトラブルが起こることがある。
ガラパゴスでの漂流、オーストラリアでの耳のケガ、生き物からの威嚇──。これらはすべて、長年世界中で潜ってきた水中写真家・関戸紀倫氏が実際に経験した出来事だ。
安全にダイビングを楽しみ続けるために、出発前に一度、自分の備えを確認してみよう。
- □国内・海外それぞれのダイビングで利用できる保険やサポート内容を確認している
- □緊急時の連絡先や、自分の会員・保険情報をすぐ確認できる
- □シグナルフロートや笛など、自分の位置を知らせる安全装備を携行している
- □耳や体に異変を感じた場合は、無理をせず専門家へ相談する
- □生き物の警告行動を見逃さず、適切な距離を保つ
- □経験や本数だけを理由に「自分は大丈夫」と思い込まない
ダイビングに「絶対安全」はない。しかし、漂流への装備、体調への判断、緊急時の相談先など、リスクを減らすためにできる備えはある。今回紹介した内容を参考に、自分の安全対策を一度見直してみてほしい。
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会員限定動画では、さらに詳しく解説!
今回の記事では、水中写真家・関戸紀倫氏が実際に経験した漂流や耳のケガ、生き物とのヒヤリとした出来事を紹介した。
しかし、会員限定動画では、これらのエピソードをさらに詳しく掘り下げている。
例えば、
- ●ガラパゴスで漂流中、実際にはどんなことを考えていたのか
- ●耳のケガで医師からどのような説明を受けたのか
- ●長年世界中で潜ってきた関戸氏だからこそ実践している、安全への考え方
- ●DAN JAPANの緊急ホットラインはどのような場面で利用されるのか
- ●本編では紹介しきれなかったDAN JAPANのサポート事例
など、公開版では紹介しきれなかった内容を、高野氏との対談形式で詳しくお届けしている。
「もっと詳しく知りたい」「海外ダイビングへ行く予定がある」「万が一への備えについて理解を深めたい」という方は、ぜひ会員限定動画もあわせてご覧いただきたい。
緊急ホットライン、医療インフォメーションライン(医療相談)、潜水医学の研究、ダイバーへの教育、レジャーダイビング保険の分野で、活動しています。世界で4つのDANからなるI DAN(インターナショナルDAN)のメンバー。会員は、全世界の主要なダイビングスポットを網羅するDANのサポートが受けられます。全世界で約38万人のDANの会員とともに、安全なダイビングを目指しています。
▶Tell:045-228-3066(平日10:00-16:00)
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