世界初の水深30m耐圧防水!そのまま海中に持っていける革新的コンデジ“クールピクスAW130”
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2015年3月、ダイバーにとって革新的なコンパクトデジタルカメラ(以下、コンデジ)が登場しました。
Nikon COOLPIX AW130 (ニコンクールピクスAW130)
「今、水中撮影のためにコンデジを買うなら?」と聞かれたら、個人的にはこの1台を購入します。
今回、実際に使ってみる機会を得て、パプアニューギニアの海で撮影してみました。
※以下、水中写真作例はクールピクスAW130で撮影したものです。
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ウメイロ シーンモード(水中)撮影水深6m
本当の意味での防水機能を発揮
“水中デジタルカメラ”の誕生!?
試用レポートではあるのですが、実は、クールピクスAW130の革新的な部分は、使わなくても説明可能です。
それは……
“水深30mに対応した防水性能”
ダイバーならこの水深の重要性はすぐにわかるはず。
今、市場にある防水性能付きのコンデジの耐圧限界は、5m、10m、15m、18m……最大でも25m。
ダイビングで使用するには、25mで「もうひと声!」、それ以下では中途半端感は否めず、イルカと泳ぐなどスキンダイビングに向いているという位置づけでした。
なので、防水機能のあるコンデジでもハウジング(防水ケース)を使用することがデフォルトで、防水機能は「水没しない」ことの担保のような役割でした。
これはこれで、ものぐさな僕にはとてもありがたい機能でしたが、ハウジングを使用すること前提であれば、5mとか10mでよいので安くしてほしい、とすら思っていたのも事実です。
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スパインチークアネモネフィッシュ シーンモード(水中)撮影水深8m
しかし、耐圧限界が30mとなると話はまったく変わってきます。
この水深は、ダイバーにとっての一般的な最大水深で、ほとんどのレジャーダイビングに対応できるからです。
つまり、ハウジングに入れることなく、本来の意味での防水機能を発揮し、そのままダイビングができるコンデジの誕生ということです。
ニコンってところがまたいいですね。
思わず、昔、フィルム時代に使っていたニコンのニコノスⅤ(ファイブ)を思い出しました。
このカメラは、ハウジングに入れるカメラに対して、そのまま水中で使えることから“水中カメラ”というカテゴリーに入れられていましたが、まさに、クールピクスAW130も、ダイビングで使える水中カメラといえるでしょう。
そのまま水中で使える“水中デジタルカメラ”の誕生。
これ、ダイバーにとっては革新的なことではないでしょうか。
水中デジタルカメラのデメリット
まず、ハウジングが必要ないということは、陸と変わらず海に持ち込める手軽さ、BCポケットに入れられる携帯性、ダイレクトにボタンを押せる操作性、そして、コスト面で大きなメリットとなるでしょう。
では、他のカメラと比べてデメリットがないかといえば、確かにいくつか気になる点があります。
■操作性
耐圧性能と引き換えにボタンのテンションが硬く(特に十字キー)、陸で撮影する時は、他のコンデジと比べて硬いと感じるかもしれません。
また、指の太い人にとっては水中で操作がしづらいという意見も。
ただ、個人的には、いずれもさほど気にならず、むしろ、ハウジングで操作するより、陸と同じように水中でダイレクトに操作できることは快適でした。
■設定
細かいところでは、電源を水中でオンにするたびに、フラッシュの設定をしなければならないところ。
フラッシュオフがデフォルトですが、水中では、“強制発光”での撮影がほとんどですので、水中シーンモードでは、“強制発光”がデフォルトだとよい、と感じました。
■カメラ保護
これは驚いたのですが、「防水機能があってもハウジングに入れたい」という声をダイバーから意外と聞くこと。
確かにダブルで守られていれば安心ですが、これは慣れの問題かなとも思います。
実際、水深30mでモニターの確認をしましたが、水圧による液晶の凹みや色ムラなども、まったく問題はありませんでした。
■外付けレンズ
外付けレンズを使用したい場合は、ハウジングの必要性を感じるでしょう。
これは、いずれダイレクトに取り付けられるようになって欲しいですね。
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メアジの群れ シーンモード(水中)撮影水深12m
■外付けストロボ
今回は、水中スピードライトSB-N10も使ってみました。
もちろん、ストロボがあると撮影の幅は段違いに広がるのですが、現在のアームだと、照射角度が前後のみ(首を上下する感じ)なので、遠くの被写体を撮影する時は、ハレーションがやや気になります(なので、最後は、ストロボをアームから外して手持ち・笑)
ハレーション例
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ツバメウオ シーンモード(水中)撮影水深12m
また、水中撮影で意外と多いのが、“片手撮影”なのですが、ストロボ付きのアームでは片手撮影を想定されておらず、持ち方に工夫がいります。
これは、右手部分にグリップがあるとスムーズだと思います。
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持ち方を工夫すれば片手での撮影もストレスはなくなりますが、グリップに工夫があるとさらに良くなるかも
コンデジ単体で撮る場合であれば、まったく不自由は感じませんが、外付けというカテゴリーでは改良点がありそうです。
水中カメラマン・中村卓哉こだわりの色味を再現
個人的には、水深30mに対応する防水性能があれば、よっぽどのデメリットがなければよい、というのが正直な感想ですが、水中写真の“色”の部分でアドバイザーとして関わっている、水中カメラマンの中村卓哉さんに「いやいや、色もすごいこだわって作っているんだから、そこも見てよ~」とチクリ(笑)。
そこで、中村卓哉さんのこだわりの部分をチェックしつつ、撮影してみました。
※以下、写真の色味は、加工することなく撮って出しです。
■“シーンモード”の水中の色合いが前機種に比べ大幅に改善されている。全体的に暖色系が増し深みのある青色の再現性が向上している。
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クマザサハナムロ シーンモード(水中)撮影水深16m
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スパインチークアネモネフィッシュ シーンモード(水中)撮影水深10m
■海に溶けこみがちなハナダイ系のピンクやオレンジの色合いも彩度が高く華やかに表現できる(ただし、彩度が上がりすぎて色飽和を起こすようなことはない)。
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パープルビューティー シーンモード(水中)撮影水深7m
■岩肌や砂地が真っ赤になるような事はない。
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ハナヒゲウツボ シーンモード(水中)撮影水深4m
■ウメイロの尾ひれの黄色などを注視するとこちらも鮮やかさが増している印象を受ける。
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ウメイロ シーンモード(水中)撮影水深11m
■マクロモードを使用したマクロ撮影において、レンズ前1cmまで寄ってもピントが合うので、ウミウシなどの動かない生物であれば画面いっぱいに撮影できる。
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イソギンチャクエビ シーンモード(水中)撮影水深6m
■マクロモード使用時にスピードライトを用いて撮影した場合に絞りが開放の状態で撮影できるため、背景を青く抜く通称“青ヌキ”の撮影もできるようになった。
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エソ シーンモード(水中)撮影水深12m
いかがでしょうか?
標準レンズで、ワイドからマクロまで十分に水中撮影を楽しめます。
普段、一眼レフを使っている僕としては、外付けのレンズやストロボをさらに付けたり、贅沢を言えば、絞り優先、マニュアルモードが欲しいところですが、コンデジというカテゴリー上、そこまでの機能を求めるかどうか。
むしろ、買ったままの1台で、陸も海も手軽に簡単に、そしてコストをかけずに楽しみたいというコンデジ本来の楽しみ方をするのであれば、3万いくらかで、これだけ水中撮影を楽しめるクールピクスAW130は断然オススメです。
【使用機材】
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・COOLPIX AW130
・水中スピードライトSB-N10
・水中光ファイバーケーブルアダプター SR−CP10A
・水中ブラケット SK-N10A
・水中光ファイバーケーブル SC−N10A