マダラハタ大産卵の瞬間を突き止めろ! @パラオ ウーロンチャネル
Palau / パラオ
どこから飛び出してくるかわからないサメたちへの恐怖と興奮が入り混じった、マダラハタたちの神秘の営みを追跡した!
Palau / パラオ
どこから飛び出してくるかわからないサメたちへの恐怖と興奮が入り混じった、マダラハタたちの神秘の営みを追跡した!
- Photo&Text
- 越智隆治
- Special Thanks
- Day Dream Palau
- Design
- PnariDesign
マダラハタの大産卵!
狭いチャネルの両サイドに、いくつものライトが設置されている。
そのライトに照らされるのを拒むように、お腹を大きくしたメスのマダラハタがあちこちのサンゴの下や岩陰にひっそりと身を隠している。
メスを呼び込む場所を勝ち取ったオスも、メスに寄り添うように、ぴったりと身体をくっつけている。
時折、縄張りが隣接するオスが接近してくると、真正面から威嚇し、それでも近づいてくるオスには容赦無く攻撃をしかける。
安全な縄張りを確保できなかったオスたちは、チャネル中央の砂地の海底にへばりついて、その瞬間を今か今かと待ち受けている。
ときに、一匹のオスが複数のメスを確保して、愛人の家を渡り歩くように、場所を移動しながら、自分のメスの様子をうかがっている。
その様子を見ていると、生存競争に打ち勝てる、強いオスの遺伝子を受け継ぐことは、自然の摂理として至極当然のことなのだろうけど、心情的には「あぶれたオスにも譲ってやればいいのに」と思ってしまう。
無防備な砂地に身体をへばり付けて、身を守っている様子を見ると、なんだか、同情したくなってしまうのだ。
一体何百匹、いや、何千匹のマダラハタがこの狭いチャネルに集まっているのか想像もつかない。
普段はあまり近寄れないマダラハタたちだが、これから始まる命をかけた営みに、我々ダイバーの接近をまったく意に介さなくなっている。
「これじゃあ、何匹でも簡単に捕まえられるな」と 邪よこしまな考えをしてもおかしく無いくらいに無防備だ。
だからこの時期、パラオでのマダラハタは禁漁になっている。
子孫を残すために集まるマダラハタたちを取り尽くしてしまう乱獲を防ぐためだ。