濃密なる奄美|奄美南部の3つの顔
Amami / 奄美大島
奄美南部の3つの顔
- Photo
- Takaji Ochi
- Text
- Satomi Kikuchi
- Special Thanks
- ZEROGRAVITY
- Design
- Panari Design
Amami / 奄美大島
奄美南部の3つの顔
- Photo
- Takaji Ochi
- Text
- Satomi Kikuchi
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- ZEROGRAVITY
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- Panari Design
鹿児島県本土と沖縄県の中間に位置する奄美大島。
空港のある北部から2時間ほど南に車を走らせると、海の青と木々の緑のコントラストが美しい、手つかずの大自然が広がっている。
その中にたたずむ黄色いダイビングサービス「ゼログラヴィティ」。ここで案内する海は「ビーチ」、「内海」、「外海」と大きく3つのエリアに分けることができ、違った良さがある。
それぞれが魅せる顔とそこに棲む生物たちをエリアごとに紹介していこう。
南部の魅力1 ビーチ
不思議な環境に棲むキイロサンゴハゼ
奄美南部が持つ、「ビーチ」、「内海」、「外海」の3つの顔。
まずはビーチから紹介していこう。
1mにも満たないサンゴの塊の上にいるキイロサンゴハゼ。それは1、2個体だけではなく、数え切れないほどの数がいる。
サンゴの塊自体も砂地の上に点在していてキイロサンゴハゼが居ついているのは1ヵ所だけではなく、点在しているそれぞれのサンゴにいるのだ。
近くには群生しているサンゴもあり、そちらの方が外敵から身を守りやすそうだが、なぜこの環境だけたくさんいるのかは分かっていない。
ダイバーが近づくと一斉に反対側に逃げ、その様子はまるで大家族の移動のようで、見ていて微笑ましくなる。
撮影していた越智隆治カメラマンも「たくさんいすぎてどこをどう撮ろうか迷っちゃう」と声を漏らすほどだった。
最短徒歩30秒で会いに行けるマクロ生物たち
ゼログラヴィティの施設から程近いビーチでは、通常30mより深い場所で見られるホタテツノハゼやヤシャハゼが、水深15m前後にいることが多く、体に負担をかげずじっくり観察することができる。他にもダイバーに人気のヒレナガネジリンボウやオグロクロユリハゼ、アカメハゼ、オドリハゼなど、他にも豊富な種類でハゼ好きにはたまらないエリアだ。
施設の目の前もビーチポイントになっていて、いつでもダイビングを楽しむことが可能。特にオススメは春から秋にかけて行われるクマノミのハッチアウトで、生命誕生の瞬間は感動もの。日没後に行われるのだが、終わったあとも徒歩30秒ほどで施設に戻れるので、すぐに片付けて身体を休ませることができるのもうれしい。
また、ゼログラヴィティのガイドは、ポイント開拓に余念がない。ショップから近場はもちろん、片道2時間ほどかかる北部にもリサーチで定期的に足を運んでいる。その原動力は「お客さんを楽しませたい」という思いから。リクエストをしたら数あるポイントの中から希望の場所を選んでくれるだろう。
南部の魅力2 内海
豊富な生物とバラエティに富んだダイビングシーン
奄美大島と加計呂麻島に挟まれた内海、大島海峡は、雨や風に強くて荒れにくく、シーズン通して比較的安定して潜ることができる。また、リアス式海岸のように入り組んでいるため、さまざまな海中環境と豊富な生物を観察することが可能だ。
その中でもリピーターが多く人気ポイントである「嘉鉄」。真っ白な砂地に大小さまざまな根が点在していて、一際大きな根の周りにはケラマハナダイ、キンギョハナダイ、スカジテンジクダイ、キンメモドキのほか、クマノミやモンハナシャコ、ハナヒゲウツボなど多くの生物が生息しとても賑やか。流れはほとんどなく、水深6~9mと比較的浅いのでゆったり癒される。
この内海ではポイントが点在していて、港からボートに乗って5~20分ほどで行くことができるので身体への負担も少ない。
また、地形ポイントも魅力的で、内海と言えどいろいろなダイビングシーンが楽しめる。
アマミホシゾラフグを見に行きたい!
奄美大島といえば“アマミホシゾラフグ”。海底に幾何学模様が美しいミステリーサークルが発見され、2011年になって新種のフグによって作られていることが判明。それから3年、体の白点を奄美の夜空に散らばる星になぞり、その名がつけられた。
オスが産卵床として作っているのだが、約15cmの体で1週間ほどかけて作るサークルはなんと2mほど。しかも中の貝殻など余計なものまで取り除き、外敵がきたら自分より大きくても果敢に攻撃するという徹底ぶり。産卵シーズンは4~7月なので、ぜひ必死でかわいらしい姿を見てほしい。
南部の魅力3 外海
これぞ外洋!ダイナミックな「奄美ホール」
船に乗って港から約1時間。濃い青の海が広がる外海まで出ると、巨大なアーチが広がる「奄美ホール」がある。加計呂麻島の西に位置していて、水深10mほどの場所から穴の中に入り込むと大小のトンネルやアーチがあり、中でもメインホールは、ダイバーが10人ほど入っても余裕なほどのダイナミックさ。真上に空いている穴から差し込む光はとても神秘的で、水深30mほどまで繋がっている空洞を照らしている。日本とは思えないような、自然が創った地球の壮大さを感じられる場所だ。
憧れのザトウクジラとの時間
1月から3月末までの間はホエールウォッチ&スイムのシーズン。この時期になると、出産、子育てのために奄美大島近くの海を訪れる。
奄美大島でザトウクジラとの遭遇率が高くなり、ホエールウォッチングが盛んになってきたのはここ数年。2016年に米国の絶滅危惧種からザトウクジラが外されるほど数が増えたからか、水温の上昇により沖縄まで南下していた個体が奄美大島に留まるようになったからか、理由はわかっていない。
トンガで15年ほどホエールスイムを行っている越智カメラマンに話を聞いた。
「トンガでは15年ホエールスイムをしているが、奄美大島では僕はまだ2年。奄美大島自体でもホエールスイムをこれまでずっとやってきているわけではない。そのせいか、同じザトウクジラといえど、トンガに比べて人に慣れていない印象だった。もしくは北半球と南半球のザトウクジラの性格の差があるのだろうか。日本でザトウクジラと一緒に泳げる環境は多くないので、今後もなるべくクジラに負担をかけることなくホエールスイムを続けていけるよう、アプローチの仕方などを考え、できることは協力していきたい」
外洋へ行く際は、自社ボートである、大型のカタマラン船「ゼログラヴィティⅠ号」を使用。横揺れが少なく、温水シャワーやウォシュレットトイレ、テレビ、冷蔵庫、エアコンも完備。行き帰りも快適に過ごすことができる。
南部の魅力Extra 珊瑚礁
さまざまな表情を魅せるサンゴ
豊富な種類の生物やダイナミックな地形もさることながら、もう1つ見逃せないのがサンゴだ。
いくつかのポイントを潜っていて感じたのは、奄美大島のサンゴはバリエーション豊かな表情を持っているということ。
少し霞がったような神秘的な雰囲気を持っているサンゴや、ビーチポイントなのにダイナミックで躍動的な迫力のあるサンゴ、はたまたキラキラした太陽の光を受け、紫と黄色のカラーリングで癒しを与えてくれるようなサンゴ。
たくさんの引き出しを持った奄美大島の海。一度潜っただけで終わらせることはできないだろう。
南部の魅力 ダイビングサービス
大自然の中で優雅な時間を。充実した施設と選べる宿泊
ゼログラヴィティは奄美大島南部に位置する、マリンスポーツ総合施設。目の前には大島海峡が臨める、自然が溢れた開放的な環境だ。海はもちろんのこと、生い茂る木々や植物も魅力の1つ。マングローブ原生林ではカヌーが楽しめたり、奄美大島特有の植物もあるので、興味がある方はそちらも鑑賞してみてはいかがだろうか。
宿泊もできる施設は、オーナーの「車いすの方にもダイビングの浮遊感を楽しんでほしい」という思いから建てられ、完全バリアフリー。トイレやお風呂のスペースも広く、障がい者も安心して一緒に楽しむことができる。もちろん一般の方の宿泊も可能だ。
少し離れた奄美南部の中心街、古仁屋にはダイバー向けのゲストハウスもあり、一人参加やリーズナブルに過ごしたいという方はこちらもオススメ。
また、シュノーケリングはもちろん、クリアカヤックやSUP、バナナボート、ウェイクボードなどダイビング以外のアクティビティも充実。施設には最大水深2.5mのプールもあるので、事前にダイビングの練習も可能だ。
自然がいっぱいの場所で優雅な時間を過ごすもよし、アクティブに遊ぶもよし。笑顔いっぱいのスタッフたちとアットホームな雰囲気の中で、自分の思い思いの時間を過ごせるだろう。
ZEROGRAVITY(ゼログラヴィティ)
〒894-1521 鹿児島県大島郡瀬戸内町清水122番地
Tel.0997-76-3901
zero1@zerogravity.jp
https://zerogravity.jp/scubadiving.php