小田原セミナー②10年間の事故分析
レジャーダイバー10年間の潜水事故分析
毛利 元彦 日本海洋事業株式会社
■急増!? 潜水事故
ここ10年の潜水事故件数は272例、366名。
死亡事故件数は112例。
ここ数年、事故・死亡が増えている。また、潜水事故のうち、
単独潜水とmissing partner(一緒に潜っている人を見失う)の事故が68例あって、
水中における単独行動の問題を指摘。
■講習や体験ダイビング中の事故が増加!?
講習中の事故は9年間で24例、死者数は15名。
体験ダイビングの事故は9年間で10例、死者数は1名。
ここ3年で増加傾向にあり、インストラクターの質の低下のご指摘。
※その他、潜水事故が多い年齢別や男女割合などのご指摘があったが、
絶対数からの判断のみで、相対数からの分析がなく、
信ぴょう性に乏しいので書きませんでした。
※また、実際に起こった事故例における個々の事故分析もありましたが、
客観性にかけると判断したので書きませんでした。
■ダイバー目線の感想
データから見る潜水事故分析に関しては、
う〜ん、分母がわからないと意味がない……。
どころか、ミスリードの危険性を感じる。
ワイドショーで陰惨な殺人事件ばかりを目にして、
「最近は、殺人事件が増えてきていや〜ね〜」と嘆くものの、
実は昔と比較したらそんなに増えていないってのと同じ。
事故件数だけ見て30〜40代男女の事故件数が急増と言われても……。
例えばひとつの目安として、
ダイビング雑誌の読者年齢層のグラフと
事故者年齢数のグラフの山は見事に一致。
つまり、事故件数が多いのは、
単に30〜40代のダイバー数が多いってことになる可能性も。
この分母の問題は引いては「ダイビングは危ないのかどうか」という、
ダイビングのイメージそのものに直結する問題。
ないものはしょうがないので、絶対数でいろいろ考えることも大事だが、
他のレジャーとの比較、相対的な事故率の検証なしに、
前置きなく分析を言いきってしまうのはやめてほしい。
ただ、事故報告の中で、
水中の単独行動による事故の割合というのは相対データ。
準備なしに何となく単独潜水をするダイバーは少ないだろうが
(主義主張、ソロダイビングを学んでいる方を否定するものではない)、
バディ、もしくはグループ員同士がはぐれないことはよくあること。
はぐれない予防はもちろん、はぐれたときの準備も必ず必要。
「手順に確認」、「はぐれたときの(その海にあった)装備」をしておくだけで、
はぐれたときだけでなく、潜っているときの余裕にもつながるだろう。
■小田原セミナー①離島とダイバー
http://diving-commu.jp/divingspirit/item_3540.html