自分の器材が勝手にレンタルされて……

某ダイブショップでCカードを夫婦で取得したOさん。

夫婦共にMSDまでの講習費用とセット販売で、
ウエットスーツ、ドライスーツ、軽重器材フルセットで購入。
購入特典として器材一式を無料でショップに預かってもらい、
以来、そのショップで潜り続けて約3年。ショップに変化が。

今年の春までは店長1人でマッタリ経営していたショップが、
夏からテレビや地元の情報誌、ラジオなどに取り上げられ、
器材&スーツレンタル無料、安い講習費をうたい文句に急激にお客さんが増え、
スタッフも1人増え、目に見えて盛況に。
Oさんは、初期のヒマな時を知っているだけに自分の事のように嬉しかった。

しかし、事件は秋に起きる。

前回のダイビングから約1ヶ月空いてファンダイブを申し込んだOさんは、
その日は午前が講習で満員との事で午後から夫婦でショップへ。
さて、スーツを着ようかと手に取ると、スーツはビッチョリ濡れている……。

「おや?」

さらに、裏返しだったスーツを表に返すとスーツが砂だらけで、
しかも、白いラインも茶色っぽく汚れまくっている!!
几帳面なOさんは、毎回脱いだ時にシッカリ洗剤で洗って、
汚れをキチンと落としているはずなのに……。

妻に「なんだか濡れてるんだけど……」と言うと「私のも(笑)」と。
まさか? と思ってBCを触ってみると、BCも濡れている。
「ひょっとして」と思いつつもその日は普通に潜って帰り、真相は藪の中。

そんなことも忘れたある日。

Oさんが毎日更新されているショップのブログを何気なく見ていると、
不鮮明ながら午前の部で講習を受けている人の中に、
Oさん夫婦のウエットスーツを着てニッコリ笑顔で写っている人が!!


※写真はイメージです。

1週間後、沖縄で潜るためにショップから器材をピックアップしたときも、
やはり器材は湿っているが何も言えず。
Oさんは沖縄のガイドさんに「使われているのかも……」ともらすと
「まさかそんな事あり得ないですよ(笑)」と笑われ、「考え過ぎかな?」と思うことに。

しかし。

やはりブログをチェックしていると、先日Oさんのウエットスーツを着ていた人が
今度はOさんのドライスーツを着てニッコリ笑顔で登場。


※写真はやっぱりイメージです。

Oさんの猜疑心が確信に変わろうとしている時、
今年の夏にダイビングで仲良くなったBさんから決定的なことを聞く。

ドライスーツを作ったBさんが、「必ず家に持って帰る」というので、
「面倒くさいのになぜ?」と聞くと、Bさんがスタッフに
「スーツとか器材って、預けてたら他の人に貸し出したりしない?」と聞くと、
軽く「あっ、貸しますよぉ〜」と答えられ、
それを聞いたBさんは、場所は無いけど自宅保管を選んだとのこと。
Oさんは確信する。

「自分の器材が勝手に使われている!」

ホームページに、”器材、スーツ、レンタル無料でサイズも豊富にそろえてます!”
と書いてあるが、お客さんのを貸せば、そりゃよりどりみどりでサイズも豊富だろう。

「高いお金を払って手にした大事なマイ器材が
他人(特に初心者)に雑に扱われるのを我慢するか、
部屋が狭くなるのを我慢して持ち帰るか、ショップを変えるかです……。
技術面はスキルアップ寺子屋2冊あればもう習う必要ないかな?とも思ってますし」

Oさんは今、悩んでいる。

ショップのオーナーに事実関係を確認すると「そういう事実はあったと思います」と率直に認め、
「急激な変化で粗くなっちゃっていたのかもしれません。申し訳ないと思います。
そういう声を教えていただき、ありがたいです」とのこと。

営業方針を変えたところゲストが増えスタッフを増やしたものの、
そのスタッフがレンタルとゲストの器材を混ぜてしまうことがあり、
そうしたことに目が届かず指導しきれていなかったという。
お店としては意図的ではなかったとのこと。

今後、レンタル器材と預かり器材を分けて保管する部屋を作るなど、
再発防止に取り組むという。

オーナーは1時間近く、この件以外にもいろいろ率直にお話してくれ、
Oさんも「本来、とてもいい人なんです」という。

Oさんが「ブログ見たら私のウエット着てニコって笑っているんですよ〜」と
おもしろおかしく報告するので僕も思わず笑ってしまったが、
それはOさんの優しさで、本人はとっても不信感を抱いていたのだと思う。

実はこの手の話は聞かないでもない(もちろん希ですよ!)。
その多くが器材を貸すのが嫌なのではなく、Oさんが言うように、

「せめて言ってもらえれば良かったのに……」

という思い。「どうしても器材が足りないので、貸してくれませんか?
次、お昼おごりますから〜」と一報もらえればいいと思っている人がほとんどなのだ。

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PROFILE
法政大学アクアダイビング時にダイビングインストラクター資格を取得。
卒業後は、ダイビング誌の編集者として世界の海を行脚。
潜ったダイビングポイントは500を超え、夢は誰よりもいろんな海を潜ること。
ダイビング入門誌副編集長を経て、「ocean+α」を立ち上げ初代編集長に。

現在、フリーランスとして、ダイバーがより安全に楽しく潜るため、新しい選択肢を提供するため、
そして、ダイビング業界で働く人が幸せになれる環境を作るために、深海に潜伏して活動中。

〇詳細プロフィール/コンタクト
https://divingman.co.jp/profile/
〇NPOプロジェクトセーフダイブ
http://safedive.or.jp/
〇問い合わせ・連絡先
teraniku@gmail.com

■著書:「スキルアップ寺子屋」、「スキルアップ寺子屋NEO」
■DVD:「絶対☆ダイビングスキル10」、「奥義☆ダイビングスキル20」
■安全ダイビング提言集
http://safedive.or.jp/journal
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