ダイビング中に突然BCのエアーが抜けなくなるトラブルを防ぐためには……

先日、オーバーホール後(約1カ月)の33ダイブ目から、「ジャバラホースを引っ張っても、弁からエアーが抜けなくなった」という旨の、インフレーターの修理が入ってきました。

結果、弁(OPEV)からエアーが抜けない原因は、ワイヤーのカシメ部(注: 複数の部品の一部を加工して接合している部分のこと)の脱落(部品の破損)であることが判明。

サンプル画像を使ってご説明します。

■ジャバラホースを引っ張ると、弁(OPEV)からエアーが抜けるタイプのインフレーターの一機種

BCのオーバーホール(提供:高尾珠実)

■OPEVとはこの部分(肩口)

BCのオーバーホール(提供:高尾珠実)

■ジャバラホースの内部には、このようなワイヤーが通っています

BCのオーバーホール(提供:高尾珠実)

黒い部品がOPEVの内部に入っており、ワイヤーが引っ張られると弁を開く、といった構造になっています

今回、使用するうちにワイヤーを繋ぐカシメ部が脱落してしまい、不具合が生じたというわけです。

オーバーホール時は、部品に問題がなくそのまま組み上げたのですが、部品自体が年数を経ており、引っ張るうちに劣化が進み、使用中に突如切れてしまったと思われます。

パーツ(ワイヤーとカシメの結合部品)を交換して簡単に修理できますが、もし海の中で突然いつもしている動作でエアーが抜けなくなってしまったら焦りますよね。

そう思ったので、こちらの事例をご紹介しておこうと思いました。

定期的な交換と落ち着いた対処が大事

基本的にはコードがちぎれてOPEVからエアーが出なくなっても、インフレーターの排気ボタンからエアーを抜くことができるので、もし水中でジャバラホースを引っ張ってエアーが抜けなくても焦らなくても大丈夫。
落ち着いて対処してください。

何より大切なのはそうならないための予防なのですが、明らかに視認や触診でダメと判断できるものでなければ、交換どきと断言することはなかなか難しいものです。

コードがダメになるまで使用される方が多いですが、心配であれば、2~3年に一度交換されることをオススメします。

潜る頻度やジャバラホースを引っ張る頻度によって、劣化の速度は違ってくるので、オーバーホールの折に現状不具合がなくても、心配な場合は、交換して欲しい旨をぜひお知らせください。

わからなければ相談していただくことをお勧めします(プロに判断してもらってください)。

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PROFILE
大学在学中、グアムで体験ダイビングをしたのを機にライセンスを取り、卒業と同時にダイビングの会社に就職。
その後、数店舗の都市型ダイビングショップで、スクールや器材販売、ツアーの企画・引率をし、2000年にインストラクターに。

数メーカーのメンテナンス講習を受けた後、ダイビング器材オーバーホール専門店「アイバディ」に10年間勤務。
現在はフリーインストラクターとして活動する傍ら、ダイビング器材・オーバーホールについて執筆活動中。

「器材の中身は見えない。だから伝えねばならない」がモットー。

ダイビング器材の中身は見えない。だから伝えねばならない~オーバーホールの現場から~ | オーシャナ
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