メキシコ・セールフィッシュスイム。初日からバショウカジキの群れに遭遇

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2012年12月30日、今年の潜り納めは、昨年に引き続き、メキシコはムヘーレス島沖でのバショウカジキとのスイミング。
今回も4名限定で毎回ゲストを募り、1月末まで、4週間のセールフィッシュスイムを行なう。

初日の30日、風が強く、出れるのか心配していた。
カンクンの情報では、港がクローズになり、カンクン側からバショウカジキを狙う船は全てキャンセルになったと連絡を受けた。

ムヘーレス島もそうならないか心配だったので、オーナーのアンソニーやキャプテンのロヘリオに、「大丈夫かな?」と訪ねると、「オレたちはプロ中のプロだ。心配するな」と心強い返事が返って来た。

それはそれで嬉しいのだけど、今度は逆に、ゲストの体調が心配になる。
「明日は、風が上がり、カンクンの船は全部キャンセルになるくらいなので、船酔い対策はしっかりしておいて下さい」と伝えた。

海のコンディションが良いと、ムヘーレス島だけでなく、カンクンからも沢山の船がスポーツフィッシングや、セールフィッシュスイミング目的で海に出るために、海上はラッシュアワー状態になる。
特にピークシーズンは尚更だ。
バショウカジキの群れがイワシを海面に押し上げるのは、そんなに長い時間ではないので、ピンポイントでそこにいないといけないし、良い群れがいると、船が集中してしまう。
なので、「海が荒れていた方が船も少なくて、自分たちだけで見れるから、いいんだ」と以前にロヘリオが教えてくれた。

翌早朝、出港は6時だったが、少し風の様子を見てから出発。
やはり相当に荒れている。
風は北。荒波に向かう船は、激しく上下して、時に海面に激しく叩き付けられるように跳ねた。
それでも、天気が良いのが救いだった。

しばらく船を北に向けて、走り続ける。
皆一様に無口になって、最後には横になって眠り始めた。おそらく酔い止めが効いて来たのだろう。

そうこうしているうちに、グンカンドリの群れを発見する。
あちこちで微妙な動きをしている。
どうやら、下にバショウカジキに追い立てられて、水面下まで上がってきた、イワシの群れがいるようだ。

皆を起こし、エントリーの準備を始める。
荒れた海の上をグンカンドリの群れが徐々にこちらに接近して来る。
いや、こちらがグンカンドリの群れに接近しているんだった。
しかし、かなり近くまで来ても、海が荒れていて、バショウカジキの群れを確認できない。

メキシコ、バショウカジキスイム

突然、キャプテンのロへリオが「今だ、行け!」と声を発した。
「全員?」と聞くと、「全員だ!」という返事をもらうと同時に、「全員で行きます!」と皆に声をかけて、荒波にエントリー。

透視度も悪いので、たまに顔を上げて、鳥山を確認しながらダッシュする。
大きめのイワシ玉と、30匹程度のバショウカジキの群れが確認できた。
しかし、まだイワシ玉が大きいために、なかなか止まらない。波に翻弄されながら、移動を続ける群れを追いかけての撮影となった。

メキシコ、バショウカジキスイム(撮影:越智隆治)

この群れとは30分ほど泳いだ。
初日、荒れ中海に出た成果があって、ほっとした。

メキシコ、バショウカジキスイム(撮影:越智隆治)

その後も25匹程度ではあったけど、最初逃げ回っていたイワシの群れが、追跡を続けるうちに適度なサイズになり、自分の身体から離れなくなったために、動きが止まった。
そこからゲストの皆が入って来て,1時間以上、この群れと泳ぐことができた。
途中から、小さめのシルキーシャークも登場。
目の前で捕食シーンを見せてくれた。

メキシコ、バショウカジキスイム(撮影:越智隆治) メキシコ、シルバーシャーク(撮影:越智隆治)
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PROFILE
慶応大学文学部人間関係学科卒業。
産経新聞写真報道局(同紙潜水取材班に所属)を経てフリーのフォトグラファー&ライターに。
以降、南の島や暖かい海などを中心に、自然環境をテーマに取材を続けている。
与那国島の海底遺跡、バハマ・ビミニ島の海に沈むアトランティス・ロード、核実験でビキニ環礁に沈められた戦艦長門、南オーストラリア でのホオジロザメ取材などの水中取材経験もある。
ダイビング経験本数5500本以上。
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