南オーストラリアで「ホホジロザメ・ケージダイブクルーズ」を開催します ~Part.1 サーフェースケージダイビング~

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2016年12月頭に、南オーストラリアでのホホジロケージダイブクルーズに乗船してきた。
場所は南オーストラリア州の州都アデレードから飛行機で1時間ちょっとで到着する小さな港町、ポートリンカーン。
15年ほど前に、ホホジロケージダイブの取材で2度ほど訪れたことがある。

アデレードからポートリンカーンへは、双発のプロペラ機で

アデレードからポートリンカーンへは、双発のプロペラ機で

当時と比べて、空港は新しく綺麗になっていて、町も多少は開発が進んでいるが、ホホジロザメのクルーズが出ている場所という印象は町ではあまり見当たらない。
しかし、町から少し離れたマリーナに向かうと、ホホジロザメケージダイブを行なっているオペレーターの広告が目立つようになってくる。

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一番驚いたのは、「シャークケージダイブ!」と謳われている広告の横に、「シーライオンスイム!」の宣伝が並んでいて、「観光客の皆さ〜ん、デイトリップでこの両方が楽しめるんだよ!」的な……。

ホホジロの出る海で、アシカスイムって、それってどうよ。
さすがNo worries mate! で何でも陽気に済ませてしまうオーストラリアの海の男たちって感じの適当さ加減に、看板を前に思わず一人、笑みをこぼした。
半分は、「さすが、期待通りにやってくれるな!」って期待の笑いと、半分は「俺は、これに参加するのか?」って引きつり笑い。

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マリーナのホテルに一泊して、翌日の朝、ホホジロケージダイブクルーズを行なっている船に乗船した。
この船をオペレートしているのは、RODNY FOX SHARK EXPEDITINSという会社。

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このロドニー・フォックスという人、若かりし頃に、ホホジロザメに左脇腹を「ガブリ!」と噛まれちゃって、九死に一生を得た人物で、この世界では伝説のヒーロー的に有名。
今はその息子のアンドリューがメインでケージダイブクルーズをオペレートしている。

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クルーズは、2泊3日。

初日は朝ポートリンカーンを出港して、まずはホホジロザメの多く生息する海域に向かう途中にあるホプキンス島でアシカスイムを楽しむ(心底楽しめるかは疑問)。
その後、ケージダイブを行うポイントに移動するのが普通のパターンらしいのだが、自分が乗船したクルーズではホプキンス島のアシカのいるビーチ側にかが吹いていて、波があり透明度が落ちているという情報が、他の船から入っていた。
ということで、アシカスイムはクルーズの最後に回して、先にホホジロケージダイブを行う、ネプチューン島を目指すことに。

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ネプチューン島は、北島と南島に分かれていて、今回ケージダイブを行ったのは、北島エリア。
到着した時には、すでにデイトリップの船が一隻ケージダイブをスタートしていて、ホホジロも姿を見せているとの情報。

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皆、喜び勇んでウエットスーツやドライスーツに着替えて、まずはサーフェースケージにチャレンジ。

クルーがバックデッキに固定してあった大きなケージを海に落とすと、それは、船尾に固定されて、バックデッキから直接ケージに入れるように設置される。
エアの確保は、船から繋がっているフーカーのオクトパス。
なので、身につけるのは、スーツの他は、マスクと普段よりかなり重めのウエイトベルトのみ。

着底して身体を安定させるためなので、普段の2倍以上の重さがあるため、ケージ入り口にしゃがみこんで、ベストタイプのウエイトを着るような感じで、クルーに着せてもらう。
身体を固定するのだか、もちろんフィンは履かない。
ウエイトベストを装着すると、フーカーのレギュレーターをくわえて、ケージの中へと身体を滑り込ませる。
4人が一度にケージ内に入れることになってはいるが、大柄な欧米人が一緒だと、できれば3人くらいがいいなという感じの広さ。

デイトリップの船では、このサーフェースケージのみなのだが、クルーズでの場合は、これに加えて、ボトムケージダイブを行うこともできる。
周囲には、撒き餌や、魚肉と血をミンチ状にして、撹拌したおぞましいスープ状のものを、流し続ける。
クルーは、魚のエラの部分をロープで結びつけたものを、何度も何ども繰り返し、海に放り投げている。

船上から観察していると、しばらくすると巨大な黒い影が、ケージの側に姿を現した。
「サメだ! 来たぞ!」それに気づいたクルーやゲストが、大声で叫び、僕はカメラを持ったままトップデッキから、海中をゆっくりと移動する姿を撮影するために、デッキの右から左へ、左から右へと忙しなく移動した。

黒い影は徐々に、ロープで縛られ、ケージの側に投げられた餌へと接近していく。
それに食いつこうとした瞬間、ロープを持ったクルーがそのロープをケージ近くまで引き寄せた。
つられてホホジロも、ケージの近くまで大きな口を開けたまま接近して来て、ケージに激突した。

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「わ〜!!」と皆が歓声をあげる。
自分は船上にいながら、「う、羨ましい! 早くケージに入りたい!」とケージとサメの様子をうかがいながらシャッターを切った。

いよいよ、自分の順番が回って来た。
サーフェースケージは、前に経験したこともあるし、最近はノーケージのタイガーシャーククルーズも主催しているので、巨大なサメへの恐怖心はそれほど強くはなくなってるので、冷静に対応できていた。

しかし、問題だったのは、巨大なサメへの恐怖心とかではなくて、一緒に入ったゲストの巨大さだった。
ある女性ゲスト、最初から「この人と一緒に入ったら狭そう。一緒に入るのは避けないと撮影できなさそう」と思っていたのに、初っ端に、タイミング悪く、その人と一緒にケージに入ることに。

正直、一人で2.5人分はある。

しかも、その女性が先に入ってしまい、ベストポジションをキープしている。
「う、撮影するスペースがない……」 真正面の一番良いスペースは彼女がそこにいると、本来、3人で並べるスペースが一人でさえ満席になってしまっていた。

おまけに、自分のカメラには、アームとストロボも付いている。
ケージだからと短めのアームを持って来ていたのだけど、それでも邪魔になる始末。

さらに、出発前に、動画撮影用に購入し、アームの途中に装着したTGトレッカーなんか、ケージの撮影窓の上の枠にぶつかって、ただの障害物にしかならない。
「し、しまった〜、欲張るんじゃなかった!」と瞬時に後悔し、すぐにトレッカーを外して、少しでも身動きしやすいようにした。

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迫り来るホホジロザメへの恐怖よりも、巨大なゲストの背中と格闘し、カメラに余計なものを取り付けてしまってさらに身動きできなくしてしまった浅はかさにイライラしながら、カメラをガンガンケージにぶつけながら、ホホジロの撮影を行なっていたのだった。

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2017年12月南オーストラリアのポートリンカーンでホホジロザメケージクルーズを開催します。

■日程1

11月30日(木) 午後遅くに日本発(成田、または羽田など)
12月1日(金) ポートリンカーン着 午後遅く 港にて、船上泊
12月2日(土) 早朝出港 アシカスイム&ホホジロケージダイブ
12月3日(日) ホホジロケージダイブ
12月4日(月) ホホジロケージダイブ 港にて下船 ホテル泊
12月5日(火) 朝のフライトでポートリンカーン出発
12月6日(水) 早朝羽田着

■日程2

12月6日(水) 午後遅くに日本発(成田、または羽田など)
12月7日(土) ポートリンカーン着 午後遅く 港にて、船上泊
12月8日(日) 早朝出港 アシカスイム&ホホジロケージダイブ
12月9日(月) ホホジロケージダイブ
12月10日(火) ホホジロケージダイブ 港にて下船 ホテル泊
12月11日(水) 朝のフライトでポートリンカーン出発
12月12日(木) 早朝羽田着

2週連続参加もオッケーです。

現地費用は約35万円
■含まれるもの ポートリンカーンの空港からクルーズ船まで、ホテルから空港までの送迎費用 下船後のホテル1泊分(2名1室) クルーズ代(サーフェースケージ、ボトムケージダイブ6本)アシカスイム代
■含まれないもの 国際線エア+諸税 クルーへのチップ 乗船中のビール代(ソフトドリンクは無料) 乗船中でない時の食事代 アルコール代

【問い合わせ先】
tour@oceana.ne.jp

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PROFILE
慶応大学文学部人間関係学科卒業。
産経新聞写真報道局(同紙潜水取材班に所属)を経てフリーのフォトグラファー&ライターに。
以降、南の島や暖かい海などを中心に、自然環境をテーマに取材を続けている。
与那国島の海底遺跡、バハマ・ビミニ島の海に沈むアトランティス・ロード、核実験でビキニ環礁に沈められた戦艦長門、南オーストラリア でのホオジロザメ取材などの水中取材経験もある。
ダイビング経験本数5500本以上。
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