パラオマンタリサーチリベンジ！そして、ぐるぐるマンタの可能性

ぐるぐるマンタ、気になる遭遇確率は？

さて、今回のリサーチロケでは、大当たりだった、ぐるぐるマンタ。昨年からリサーチも兼ねて、このぐるぐるマンタ狙いで船を出しているデイドリーム。その可能性と確率はどうなのかが気になるところだ。

基本、狙える可能性があるのは、3月、4月、5月、ギリギリ6月くらいまでの時期。「昨年は10回狙いに行って、10匹以上いたのが3回、そのうち1回が約30匹で、残りの2回は10匹くらいでした。本当は12月下旬くらいから狙えるのではないかと思っているのですが1月から3月頭くらいまで比較的北東の風が強くなることが多く、上げ潮がきっちりかかるにはリスクを感じるコンディションになることが多いので、あまり狙いに行けていないんです」と遠藤さん。
確率はそんなに高くは無いようだ。

今年に関しては、4月までで9回中5回の遭遇。
取材では4回中3回と高確率で遭遇できたものの、それでも決して高い遭遇確率とは言えない。

そして、取材後のGW期間中にもゲストを連れてリサーチに訪れたが、結果は惨敗だったようだ。
今回の取材のようにひとたびプランクトンの多い潮がかかってくれれば比較的好調に見れるものの、このいい潮が上がってこなかった場合は数日にわたって厳しい結果に終わってしまうという傾向が見えてきた。
現在開発中ではあるものの、003の近くには、ポイントが少ないために、マンタが出なかった時にフォローできる場所が無いというリスキーさも抱えている。

しかし、この003、マンタがいなくても、どこかで上げ潮がきっちりかかっていればバラクーダやオオカマスの大群、ナンヨウツバメウオの群れ、パラオ最大規模のヨスジフエダイの群れや各種エイ類などが見られる楽しいポイントではある。
自分は、11月のリサーチでは、シルバーチップの撮影にも成功した。

そのために、「定番のダイビングスケジュールとして組み込むことは難しいので、大物、超大物、群れ物狙いでゲストが集まるペリリューステーションのオペレーションの一環としてペリリューエリアでのダイビングやウーロンエリアでのカンムリブダイの産卵などとセットにして日程を決めてサファリを行うツアーを何本も打ち出す予定です」とのこと。
またはゲストのリクエストで人数が揃えば、1隻船をチャーターする形で狙いに出かけるパターンになるそうだ。
ゲストにも遭遇確率の低さとリスキーな部分を理解してもらった上でのチャレンジということになる。

そういう意味では、今回、3日間も30匹〜50匹ものマンタと遭遇できた事は運が良かったと言わざるをえないのかもしれない。
「北の開拓は、DD創設時からのテーマ」だと遠藤さんが教えてくれた。
ユウカクチャネル内にある005,007などのクリーニングステーションは、DDの創設者、下田一司さん（現DDグループオーナー）が発見した。
「そういう意味では、本来のDDが目指す方向性を改めて見いだせたのかなとも思います」。

「南はペリリュー、ルーカス、アンガウル、そして、北はカヤンゲル、R018 、003などを含めた、パラオハードリピーター向けの南北縦断。これが今できるのは、デイドリームしかないのではと自負しています」と遠藤さん。

確かに、今回レストランで食事をしていて、こんな事を言われた。
「越智さんの写真が、パラオに来るゲストのリクエストのハードルを高くするので困る」。
これは、他のダイビングサービスのガイドの声だという。

「僕の写真＝DDが見せるダイビング」な訳で、まあ多くのガイドにとっては大変な事なのかもしれない。
今回のぐるぐるマンタだけでなく、ペリリューの開拓期から、ずっと彼らが新たに見いだすものを撮影し続けて来た。
これだけ開拓されたパラオの海で、またまた新たな魅力を見つけ出すことは、本当に大変なことだと思う。
しかし、「デイドリーム」の名前通り、彼らがダイビングに求めるもの、ゲストに提供したいと思っているものは、「夢」だ。
そういう思いがいまだにパラオの海に対しての飽くなき探究心へ繋がっているのだと感じた。