2012年夏、神子元島

Mikomoto Island / 神子元島

ハンマーヘッドシャークを求めて伊豆半島最南端の海へ

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寺山 英樹
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むらい さち
Special Thanks
神子元ハンマーズ
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Sana☆
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Mikomoto Island / 神子元島

ハンマーヘッドシャークを求めて伊豆半島最南端の海へ

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寺山 英樹
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Drift Stlye

ドリフトダイビング

ドリフトダイビング。マスターすべき3つのこと

神子元島は、ドリフトダイビングと呼ばれる、潮に乗って潜るダイビングスタイル。
流された先で船にピックアップしてもらえるので効率よく潜れる一方、ドリフトダイビングならではのスキルや注意点もある。

まず、潜降ロープがないので、ロープなしのフリー潜降ができなくてはならない。潜降でもたついてしまうと、チームはバラバラになってしまう。
また、中性浮力のスキルも必須。流れに翻弄されずに水深を保つことができ、何もつかまるもののない中層で、一定の水深を保って安全停止ができなければならない。
そして、ある程度の経験も必要だろう。Cカード取得直後に、いきなりドリフトダイビングは無謀といえる。神子元の場合、神子元ダイビング協議会の規定により、最低でも30本以上が、潜ることのできる条件となっている。

エントリーから潜降、浮上、中性浮力など、ダイビングに必要なスキルが完璧とまではいかなくても、ストレスなくできるようになる程度の経験と自己管理できる意識が必要。つまり、自分のことは自分でできることがドリフトダイビングのパスポートとなる。

3つの最低条件

◉フリー(ロープなし)潜降&浮上がスムーズ
◉一定の水深にとどまっていられる
◉ダイビング経験30本以上&ボートダイビングの経験

ダイビングの流れとチェックポイント

1.ブリーフィングをしっかり聞く

ドリフトダイビングの最大のポイントは、まずは“ブリーフィングをしっかり聞く”こと。EN&EX法、集合方法、申告残圧、安全停止&浮上法など、要す
るにダイビング1本を頭でイメージできるまでしっかりと聞くということ。そして、絶対忘れてはいけないのが、はぐれたときの手順。通常は1分間そ
の場で待つが、神子元の場合、一旦はぐれたら会える確率はかなり低いので、すぐに浮上する。

2.エントリー前のお作法

波が立つことの多い神子元では、船酔いの可能性が少なくない。酔い防止のためにも船上ではなるべく作業しないのが鉄則。慌てて作業しなくてもいいように、ポイントに到着する前に徐々にゆっくりと準備し、到着したらエントリーするだけの状態にしておこう。マスクに曇り止めをし、器材を装着して、体力を消耗しないようにタンクの底をイスに着けて座り、深呼吸をして心と呼吸が落ち着いたときにスポットに到着するタイミングがベスト。焦るとロクなことがないので、ゆっくり準備することは大事なことなのだ。また、恥ずかしがらずに、薬を飲んだり、吐いてしまうことも大事。

3.エントリーは一斉に!

ところてん方式でどんどんエントリー

間隔を置かずにエントリーできるように、あらかじめ並び、ところてん方式でどんどんエントリーする

エントリーはまとまって行なうのが鉄則。間が空いてしまうと、潮が流れているのでダイバーが流され、おまけにアンカリングしないので風の影響で船も流されてしまう。結果、グループがバラバラになってしまい、一度船上に戻って仕切り直し、なんてことも。船の後ろから、ところてん式にどんどんエントリー。エントリー後は、一旦水面でガイドのもとへ集合し、まとまって潜降する。

4.潜降は素早く!

エントリー同様、潜降も素早くまとまって行なう必要がある。オーソドックスな方法はヘッドファースト。おじぎするように腰を90度に曲げるのがポイント。足から潜降するならジャンピング潜降がオススメ。水面に向かって大きく息を吸いながらフィンキックし、体が水面から出たら、気をつけのポーズで息を吐き出す。勢いがつくので、素早く沈めるだろう。

5.持っておきたいセーフティティーグッズ

エアを入れると海面で立ち上 がる。 船に発見、ピックアップしてもらうための必須アイテム

エアを入れると海面で立ち上 がる。 船に発見、ピックアップしてもらうための必須アイテム

ドリフトで持っておきたいのは潮流対策グッズ。意外と盲点だがグローブは大事。流れに対して一番シンプルな対処法は泳がずに“つかまる”こ
と。グローブがあるのとないのでは大違いだ。また、ドリフトでは、即座に意思を伝えられるように水中ホーンやタンクを叩くものなど、“音”を出せるアイテムも必須だろう。万が一のグッズにはいろいろあるが、はぐれたときのために自分の位置を知らせる、シグナルフロートは必須。

6.バラけず、ガイドのマネをしよう

水中では、“ガイドの行動をマネる”こと。ガイドは流れを考え、必然性の上で行動しているので、特に指示がない場合でも同じように行動してみるといい。ガイドが岩をつかみながら移動し始めたら自分も同じように行動し、流れに対する泳ぎ方なども参考に。常に一緒に行動することも大事。あまり離れないようにして、水深やコースはガイドと同じ位置かやや上方をキープしよう。

7.中層で安全停止してから浮上

安全停止は、ガイドがフロートを打ち上げるので、そのロープ周辺にまとまって行なう。スキルのポイントは、一定の水深を保つこと。手元のコンピュータばかりを見ていると行動が半歩遅れてしまうので、ガイドを目安に、一定の水深を保つ。浮上も鉄則通り、まとまって行なうことが大事。水中でしばらくウロウロしているダイバーを見かけるが、ガイドが水面と水中の確認をしなければならないし、船が近づくときに、ダイバーが見えないと事故の原因にもなりかねない。しっかりと水面に浮上することは大事なのだ。

シグナルフロートの打ち上げ

安全停止はフロートを打ち上げ、一定の水深を保ってい るガイドの周りで行なう

8.船が来たら素早くエグジット

ダイビングボートのパワーリフト

タラップに立ち上がると、パワーリフトで持ち上げてくれる

浮上後はBCに給気してグループでまとまっていれば、ボートの方から近づいてきてピックアップしてくれる。逆にこちらから泳いでいくとボートは動いているものに近づかねばならず迷惑だ。ボートがアクセルを止めてすぐ近くまで来たら、この一瞬だけはダッシュして素早くラダーをつかみ、タラップに足をかけたら、そのままフィンを履いた状態で立ち上がる。パワーリフトで持ち上げてもらったら、後ろから来る人のために、どんどん船の奥へつめていく。

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