ニューカレドニア北部州 ダイビング放浪記
New Caledonia/ニューカレドニア
北部を回る、ニューカレドニア第一弾!
New Caledonia/ニューカレドニア
北部を回る、ニューカレドニア第一弾!
- Photo&Text
- 越智 隆治
- Deisign
- Panari Design
- Special Thanks
- ニューカレドニア観光局、ニューカレドニア北部州観光局、エアカラン、REVE BLUE CALEDONIE、BABOU COTE OCEAN、Tieti Diving
ヤンゲン、モンスターの潜む海
ヤンゲンはグランドテール島北東部に位置する。
なだらかな山並みが続くニューカレドニアにあって、唯一針山のような奇岩群が立ち並ぶ。
この奇岩群は、ニューカレドニアの500パシフィックフランにも描かれていて、週末には多くの地元観光客でにぎわう景勝地でもある。
なだらかな山並みから、突如として出現するこの奇岩群は、まるで原始の世界にタイムスッリップしてしまったかのような感覚に捕われる。
鬱蒼とした木々の間から覗く針山を見上げていると、どこからともなく、巨大なモンスターが出現してもおかしく無いなと、一人、様々な空想を働かせてしまう。
海の中はと言うと、こちらもサンゴのバリアリーフによって、形成された複雑な地形が特徴的。
発達したリーフの合間には、長い亀裂や、簡単に通り抜けられるケーブが点在している。
そのケーブや亀裂には、鮮やかなウミウチワなどが群生して、さながら迷路のような森をさまよっているかのようだ。
サンゴ礁が作り出した海中迷路に迷い込む
5年前、水中モデルと一緒にこの海を訪れたとき、BABOU COTE OCEANのオーナーガイド、チェリー・バブレーンさんが、そのモデルの女性を楽しませようとして、BCDのポケットから取り出したのが、緑色をしたモンスターのマスクだった。
薄暗いケーブの中でモンスターマスクを着けて、おどけてみせたのだけど、その時の記憶は今でも強烈に残っていた。
だから、今回も同じポイントに潜るときに、ブリーフィングで「モンスターが出るかもしれないよ」と通訳を通して言われたときには、「またモンスターマスク被るの?」と冗談半分で質問を返してみた。
すると、案の定、チェリーさんはBCDのポケットから嬉しそうにモンスターマスクをつまみ出したのだ。
「あ、やっぱりね、しかも5年前と同じマスクだよ……」。
少し苦笑いしながらも、彼の海中パフォーマンスを期待していた。
しかし、初日のダイビングを終えてダイブショップに戻り、HPの写真を見せてもらって、ポイントの説明を聞いていたときに、海中の切り通しの壁に、巨大な狼男の顔が浮かび上がっている写真に驚いた。
ポアント・オ・キャシャロというこのポイントは、映画「オーシャンズ」のワンシーンに使われた場所だ。
その撮影のときに、同映画に出ていた俳優のフランソワ・サラノが、このモンスターを発見したのだという。
彼がこのポイントに潜った後に「ここには、モンスターが住んでいるね、しかも2匹も!」と言ってきて、チェリーさんも初めてモンスターの存在に気がついたのだそうだ。
海中で、モンスターたちに遭遇
チェリーさんのモンスターマスクと勘違いしていた僕は、彼がこの狼男を見せようと、ライトを照らしていたのに、一体何の生物を見せようとしているのかと、照らした岩の一部分を食い入るように見てしまい、狼男の存在にはまったく気づかなかったわけだ。
翌日、再度このポイントに潜りたいとリクエストを出し、撮影したのが1ページ目の写真。
こうやって、口に見える部分にライトを当てると、まるで今にも火を吹き出しそうな迫力を感じる。
目も耳も鼻も、そして、大きく切り裂かれた口も、完璧なまでにモンスターだ。
そして、2匹のモンスターが写っている、もう一枚の写真がこれ。
確かに、この写真では、狼男の下僕のようなドワーフ系のモンスターが、写真の手前の方に潜んでいるのがわかる。
面白い感覚で潜る人もいるものだなと感心しながら、その写真を見ていると、なんだか他の岩もモンスターに見えて来るから不思議だ。
ほら!ドワーフと狼男の間にも、頭が異様にでかい恐そうな顔をしたモンスターが潜んでいた!