地球を潜る!宮古島

Miyako / 宮古島

まるで地球を潜っているような宮古島!

Photo
越智 隆治
Text
寺山 英樹
Special Thanks
宮古島ダイビング事業組合、JTA、ホテルニュー丸勝
Design
中村 孝子
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Miyako / 宮古島

まるで地球を潜っているような宮古島!

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越智 隆治
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寺山 英樹
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宮古島ダイビング事業組合、JTA、ホテルニュー丸勝
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中村 孝子
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この記事は約4分で読めます。

世界中のダイバーたちに、“Geographic(地形)” な海として知られる、宮古島。

“Geo-” はギリシャ語の“地球” に由来。
サンゴが隆起し大地を作り、海が大地を削って造り上げた宮古島の地形は、まさに地球を感じるダイビング。

シーズンインの宮古島で、地球を潜る!

宮古島・南海岸「七又アーチ」(撮影:越智隆治)

宮古島・南海岸「七又アーチ」

地球のダイナミズムを体感!

宮古島の王道
「アントニオガウディ」の芸術

宮古島を代表するポイント「アントニオガウディ」へ飛び込み、水面から水中をのぞきこむと、澄み渡る海の先に見えるのは、地球のダイナミズムを感じさせる迫力ある地形。

潜降し、メインホールへ向かって水深を落としていくと、水底には、鋭角な切り込みが走り、奇岩が折り重なっていて、海底遺跡を思わせる。

やがて、水深20m付近の、地球にぽっかりと口を開けたホール入口へ進入し、水深30mオーバーの水底からメインホールを見上げてみる。

6つのブルーのグラデーションが美しく幻想的だが、見方を変えると笑った顔にも見えてどこかユーモアもあり、複雑に入り組みつつも調和が保たれた独創的な世界が広がっている。

自然を賛美し、“独創の傑作”と讃えられる作品群を残したスペインの建築家アントニオ・ガウディが見たらなんと言うだろうか。

サンゴが隆起してできた宮古島は、浸食されやすい石灰岩のため独特な造形を生み出し、世界屈指の“地形”の海としてあまりにも有名。
また、島自体が濾過装置の役割を担っているため、沖縄屈指の透明度を誇っている。

「アントニオガウディ」はひとつの象徴だが、宮古島、下地島(しもじしま)、伊良部島(いらぶじま)周辺には世界屈指の地形ポイントが集中し、バリエーションも豊富。

ポイントの数だけ、名前に込められたストーリー、光と地形の演出がある。

アントニオガウディ

宮古島「アントニオガウディ」(撮影:越智隆治)

スペインの建築家・アントニオガウディがそのままポイント名になった、宮古島を代表する地形ポイント

七又アーチ

宮古島「七又アーチ」(撮影:越智隆治)

透明度が高く大物も期待できる宮古島の南海岸だが、風の影響も受けやすく潜る機会も少ないプレミアムな海。
断崖絶壁の海岸線でもひと際目につく基地のような岸壁の下を潜ると「七又アーチ」と呼ばれる巨大神殿が現れる

宮古島「七又アーチ」(撮影:越智隆治)

魔王の宮殿

宮古島「魔王の宮殿」(撮影:越智隆治)

水底にぽっかり空いた穴に進入し、狭い通路を抜けていくと、大広間が広がっている。縦穴から差し込む強烈なスポットライトを浴びれば自分が主役!?

宮古島の地形(撮影:越智隆治)

サンゴが隆起してできた宮古島。海岸線では、長い年月を風雨に削られ生まれた自然のアートが多く見られる

地球のヘソを潜る!

摩訶不思議な2色の海
世界最大のケーブ「通り池」の神秘

下地島には多くの地形ポイントが集中するが、ひと際、異彩を放っているのが「通り池」。

宮古島「通り池」(撮影:越智隆治)

見上げると蜃気楼の中にブルーとグリーンがユラユラ揺れる幻想的な世界が…

レジャーダイビングで潜れるケーブでは世界最大といわれるが、そんなスゴイことがかすんでしまうほど、このポイントはストーリーとシーンが独特だ。

下地島の大地にぽっかりと大小の穴があいて池となり、水中でつながっているばかりか、なぜか海とも横穴でつながっている、地球の悪戯が生んだ不思議なポイント。

ダイバーは横穴に潜って、文字通り“通り”抜けることができるというわけだ。

“地球の悪戯” ではなく、捕えられたジュゴンが海に助けを求めて津波を引き起こしてできた、というユナイタマ(ジュゴン)伝説や、いわゆる“口減らし” のために子供を突き落して……なんていう継子伝説など、シリアスな伝説も残っているためか、中には“出る”なんていう霊感の強いダイバーも……。

こうした伝説を知って潜るダイビングもまた違った趣があっておもしろいかも!?

宮古島「通り池」(撮影:越智隆治)

「通り池」を上から見ると、大地にぽっかり口をあけた、まさに“地球のヘソ”

そんな噂はさておき、何より素晴らしいのは、「通り池」でしか見られない唯一無二のシーン。
水温や比重の異なる淡水と海水が混じり合っているため、サーモクラインという水の層が生まれ、ユラユラとまるで蜃気楼のよう。

さらに、光の入り方によって、ブルーとグリーン、時にはイエローやグレーの色が見られる幻想的な世界。

その伝説や噂も相まって、摩訶不思議、妖しくも魅力的なポイントなのである。

宮古島「通り池」(撮影:越智隆治)

池で浮上すると、池の上から観光客がこちらをジ~。観光客にとっては浮いてくるダイバーも観光のひとつ!?

宮古島の優しい横顔

宮古島の白い砂とサンゴ(撮影:越智隆治)

地形ポイントの集中する下地島周辺だが、場所を選べばホワイトサンドとサンゴの癒しの世界

ホワイトサンド&サンゴ
“王道の沖縄”も宮古島の一面

宮古島といえば“地形”といわれる通り、豪快で迫力ある顔がその肖像だが、女性的で優しい横顔を見せるときも。

地形ポイントから少し離れ、水深の浅い場所へボートで移動すると、紺碧の海は徐々に明るさを増し、やがて船上から見える海はエメラルドグリーンとなる。

宮古島の青い海とサンゴ(撮影:越智隆治)

エメラルドグリーンの海の下は、優しく繊細な癒しの世界

エントリーすると純白のホワイドサンドが広がり、サンゴの根にデバスズメダイが群れるという、“THE 沖縄” というべき、気持ちのいいシーンが広がっている。

さらに、今回は宮古島西側エリアの地形ポイントメインの撮影だったが、北部には大サンゴ礁「八重干瀬( やびじ)」が広がり、4月からいよいよシーズンイン!

これからの季節は、地形だけでなく、宮古島の優しい一面も見ることができるのだ。

宮古島の空とカヤック(撮影:越智隆治)

伊良部島にある下地島空港では、航空機のタッチ&ゴー訓練が行われており、ダイビングの合間に空を見上げると、真っ青なキャンパスに映える純白の機体を間近に見ることができる

宮古島の青い海とボート(撮影:越智隆治)
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