大物狙いオンリー!パラオ
Palau / パラオ
デイドリームスペシャルサファリ
Palau / パラオ
デイドリームスペシャルサファリ
- Photo&Text
- 越智隆治
- Special Thanks
- Day Dream Palau
- Design
- Panari Design
やってみたいけど、よくわからない!?
サイドマウントQ&A
Q.そもそもサイドマウントってなに?
簡単に言えば、「タンクを、従来の背中ではなく、ダイバーの身体の脇(腕の下)に取りつけて潜るダイビング」のこと。タンクを2つ使用するダブルタンクだけでなく、1本使用のシングルパターンもある。
Q.普通のダイバーにもできるの?
サイドマウントというと、沈船やケーブを潜る屈強のテックダイバーを思い浮かべるが、デイドリームパラオで開催しているのは、“レクリエーションレベル”、“オープンウォーター環境”でのサイドマウント講習。例えば、フィンでフルフットタイプとバックルタイプを使い分けるような感覚でバックマウント(タンクを背中に背負う従来の方法)とサイドマウントを使い分けることができます。
あくまで、スペシャルティのひとつという位置づけで、実際、オープンウォーターダイバーでも受講可能だ。
Q.メリットはなに?
一般的に言われるサイドマウントのメリットといえば…
- 流線型になりやすい
→ 水の抵抗が減り、場合によっては流れの影響を受けにくい。 - 器材の運搬が簡単
→ タンクの脱着が可能なので、環境によっては運搬がスムーズ。
例えば、ボートダイビングではタンクを渡してエグジットできるし、タンクの持ち運びも大きなタンク1本よりも小さいタンク2本を持ち運ぶほうが楽だったりする。 - 多様性
→ エア消費の少ない方であれば小さいサイズのタンクを使用することにより負荷の軽減といった具合に、サイドマウントひとつでさまざまなシチュエーション・要望に対応できる。 - 増量されるガス供給
→ ときに2本のタンクで潜るので、バックアップとして安心。 - 扱いやすいさ
→ 基本的には個人に合うように装備を組み立てるので、慣れれば、自分用に調整できて扱いやすくなる。 - 調整しやすさ
→ 器材の位置や装備の種類など決まったものはなく、環境や目的に合わせて調整できる。サイドマウントBCD自体も個人で調整しやすいように設計されているものがメインである。 - 問題解決
→ 環境に合わせて、いろいろ装備を変えられるので、問題解決の選択肢が多い。水中でも、例えばタンクを前にもってきて狭い場所をくぐったり、2本のタンクがあることでエア切れのリスクを減らすことができる。また、タンクバルブが脇の下にあることで、バルブトラブルに一人で容易に対応できることにつながるなど、対処能力が高い。
Q.講習ってどんなことやるの?
◆新鮮! 初めてやることばかりの講習
他のCカード講習と同様、学科と限定水域実習、海洋実習に分けられ、PADIの場合、限定水域実習は1dive、海洋実習は3diveとなる。
内容については、文字通り、バックからサイドにタンクを付けることになるので、基本的な姿勢やタンクの脱着などから始まり、レギュレーター交換を含むガスマネージメント、バックアップ空気源の供給と確保など、レクリエーションダイビングではやらなかった初めてのスキルも多く、新鮮なことばかり。
どれも、Cカードを持っていれば誰でも始められるが、やはり、アドバンス程度のスキルを持ち、中性浮力ができる方がより効果的で楽しい講習となるだろう。
◆器材は“セッティング”ではなく、“コンフィグレーション”!?
器材の“セッティング”が一般のダイビングとは異なり、単にセッティングする以上の意味を持つ、“コンフィグレーション”という考え方が採用されている。
直訳すると、“配置、構成、設定”となる。
テクニカルダイビングから来た考え方で、与えられた器材をそのまま使うのではなく、個人や目的によって最適なものは違うという考え方のもと、自分で考え、自分に合わせて器材を組む。
講習では、まずは、水の抵抗を少なくするため、トリムの調整を行い、計器類はプラプラしないように体に密着させ、省エネで操作ができるような位置に固定され、あらゆるトラブル時のバックアップを備えたコンフィグレーションを学ぶ。
(例)
すぐにレギュレーターをくわえられるようにマウスピースがホールドされ、ホースがたるんで岩に引っかかったりインフレーター操作の邪魔にならないようにホースは首に一周。BC操作も胸元でできるように固定され、ライトはワンタッチで取れるようになっている。
(例)
オクトパスがすぐに外せるようにゴムで固定され、残圧計は目の前で見られるようにホースがかなり短い。
◆実際にどんなことをやるの?
限定水域実習の始めの時間は、器材の取り扱いに時間を使い、基本的な器材の取り扱いを理解してから、実際のスキル講習に進む。
ここでしっかり器材の取り扱いや基本的なスキルを練習しておけば、あとは海で楽しみながら試してみるだけ!
サイドマウントSP自体、繰り返し練習する項目は多いが、実施スキルの量はそれほど多くはない。サイドマウント特有のスキルを少し紹介しよう。
水面でのタンク脱着
通常のダイビングと違って、タンクのお尻側を外して、底を前方に向けるようにして泳ぐこともあるサイドマウントでは、タンクを素早く脱着することも大事なスキル。
当然、講習の習得スキルの中には「タンク脱着」が含まれる。
足が立つ所での装着や取り外し、足が届かない所や水中での脱着など、さまざまなシチュエーションで行われる。
腰の部分にあるDリングと手元のタンクのクリップを手探りで脱着するなど、自分の器材によく慣れることが重要だ。
水中でのフィンキック
サイドマウントダイビングの基本姿勢は水平なので、いわゆるトリム(水平姿勢)がとても大事。
BCもトリムがとりやすいようにデザインされており、トリムがとれていることにより、ヘリコプターターンと呼ばれる、180°、360°の旋回スキルが可能となる。
講習では、トリムを生かした、通常では使う事のないキックをマスターできる。
後ろに進むバックキックなどがその代表例。
これらのスキルをマスターすれば、水底が泥のような場所で写真を撮ったり、手ぶれせずにバックしながら動画撮影するなど、何かと有効だ。
まとめ
今回パラオを訪れたときに気づいたのは、デイドリームパラオのガイドの多くが、通常のダイビングではなくて、サイドマウントスタイルで潜っていたということ。すでにサイドマウントスペシャリティー講習を行なえるガイドもいるので、興味のある人は受講してみるのも面白いかも。
特にペリリューやテールトップなど、深くてかつ時に泳力を要求されるダイビングのときなど、サイドマウントでタンクを2つつけていると、エアの消費が気にならなくて安心だ。
いろいろメリットのあるサイドマウントだが、何より、今までやったことのないダイビングにチャレンジするのは楽しいもの。
例えるなら、ウィンタースポーツではスキーしかなかったところに、スノボーが入ってきて楽しみの選択肢が増えたようなもので、やったことのない人は、世界最高峰の海で、まずは楽しみながらぜひ体験してみては!?