秋田・男鹿半島の海で“True North”を見つける旅 ~「こころのこえをきかせ展」に行ってきました~

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NICA / Gallery CAUTIONで開催中の「True North,Museum~こころのこえをきかせ展~」に行ってきました。

世界150カ国以上、70万人以上から視聴される秋田の映像シリーズ True North, Akita.
1作目、2作目と秋田の暮らしや豊かな自然風景 を捉えて地方創生の先進事例、海外情報発信の成功事例として大きく取り上げられています。

True North, Akita. #1 from augment5 Inc. on Vimeo.

True North, Akita. #2 from augment5 Inc. on Vimeo.

そして、今回、3作目は、男鹿半島を中心とした漁師の暮らし、海辺に広がるゆたかな風景とその毎日を描いた新作映像と中村卓哉氏の水中写真とともに映像・写真展を行っています。

映像には、文字やナレーションなどよけいな情報が一切なく、男鹿半島の夏の穏やかな海と変わらない豊かな日常がそのまま再現。
音や空気感、そして、においまで感じられる秋田の美しい自然の映像と失われつつあるノスタルジーな生活の原風景は、ずっと見ていられそう。

そして、映像に込められた思いを、周囲に配置された写真の瞬発力がさらに効果的に伝えてくれます。

陸上撮影を担当した蜂屋雄士さん(左)と水中撮影の中村卓哉さん(右)

陸上撮影を担当した蜂屋雄士さん(左)と水中撮影の中村卓哉さん(右)

中村卓哉

男鹿半島の海は、色で見せる海ではない。水墨画のような光の陰影で表現したいと思って、写真は自然光が中心です

「True North,Museum~こころのこえをきかせ展~」
プロデューサーの井野英隆さんに聞く

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展示会のテーマとなっているTrue Northには、そのような意味が込められているのでしょうか?

井野

直訳すれば地軸に沿った“地球の北”という意味なのですが、現代の忙しい暮らしの中で、本当にそれぞれの心の中にある大事なもの、決して失ってはいけない価値というような想いをのせています。そして、普遍的に変わらないもの。それをぼくたちの表現の中にコンセプトとして込めようとしています。

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なぜ、True Northを意識するようになったのでしょうか?

井野

例えばいまの10代の人たちを見ているとつい10年前の自分たちと比較してもライフスタイルがまったく異なってきている。自分自身、IT産業の情報があふれている中で生まれ育ってきて、社会そのもの変化を感じる中、これからは生き方を自分で考えて、定義し直さなくてはならないと感じました。

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生き方を考える中で、決して失ってはいけない価値、それを秋田の日常に見た、ということなのですね

井野

そうですね。東北の暮らしを自分たちの目で見たときに、そこで暮らす本人たちにとっては日常なわけですが、我々の視点で見た時、とても豊かな時間にあふれ、純粋に暮らしの中で大事にしてきた風景を見たような気持ちになりました。私自身、小さい時は田舎で育ち、10歳で東京に出てきた時、野菜をスーパーで買うことが衝撃だったことを思い出しました。

―――

おっしゃることは展示会の中に感じることができました。一方で、秋田県のプロモーションという意味合いもあると思うのですが、プロモというと、ウリとなる観光資源を打ち出していくというのが定番だと思いますが、映像ではあえてまったくそのような情報が入っておらず、ただただ日常が流れています

井野

よく行政が地方活性化のためにお金をかけてプロモーションをするとき、多くの場合は中心となるのは地域とは関係性の薄い広告代理店やコンサルタントで、あくまで東京での常識や成功事例を地域ごとに少し手を入れて提案しているだけで、実感の伴いない内容を押し付けられてしまっているような気がしています。まずは地元の人に喜んでもらい興味を持ってもらって、秋田の人たちから「秋田に来て」と言ってほしい。内と外の圧力が一致して変化が起きるというような……

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なるほど。井野さんの意図を明確に言語化するのは難しいのですが、映像や写真を見てひとつ言えるのは、説明抜きに、映像の力を信じて、感情に訴えかけているように感じます

井野

あえて言語化せずに情緒化し、衝動に訴えかけたいと思いました。そのために誰かの意図が入っていない映像を心がけました。ただ、海という点では、日本海のイメージを変えて「ここ秋田!?」と思ってもらえれば嬉しいし、中村さんの素晴らしい映像がとても生きています

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行政のプロモというと結果が数値化できないと難しいというイメージもある。例えば何人観光客が来たのかとか。そうした状況で情報も入れず押し付けないやり方は斬新です

井野

結果、これまでの2作は世界中の視聴があり話題となりました。そして、秋田県ということこれまでまったく話題に出ることがなかったのが、秋田の人もそれ以外の人も話題にする機会ができたことが一番大きなことだと思っています。今回の映像・写真展では、美しく澄んだ夏の男鹿の海の中から、またそこに暮らす漁師の家族から、それぞれが本当に大事にしたいもの、True Northを見つける旅をみんなにしてほしいなと思っています。

True North,Museum
~こころのこえをきかせ展~

〇会期:2016.11.1-11.25
〇主催:秋田県
〇企画・制作:augment5 Inc.
〇出展:True North, Akita #3 / augment5 Inc.(映像) 中村卓哉 蜂屋雄士(写真)
〇公式HP:http://true-north.jp/
〇入場料:無料
〇会場:NICA / Gallery CAUTION 〒103-0011 東京都中央区日本橋大伝馬町13-1

日比谷線 小伝馬町駅 1番出口 徒歩4分
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PROFILE
法政大学アクアダイビング時にダイビングインストラクター資格を取得。
卒業後は、ダイビング誌の編集者として世界の海を行脚。
潜ったダイビングポイントは500を超え、夢は誰よりもいろんな海を潜ること。
ダイビング入門誌副編集長を経て、「ocean+α」を立ち上げ初代編集長に。

現在、フリーランスとして、ダイバーがより安全に楽しく潜るため、新しい選択肢を提供するため、
そして、ダイビング業界で働く人が幸せになれる環境を作るために、深海に潜伏して活動中。

〇詳細プロフィール/コンタクト
https://divingman.co.jp/profile/
〇NPOプロジェクトセーフダイブ
http://safedive.or.jp/
〇問い合わせ・連絡先
teraniku@gmail.com

■著書:「スキルアップ寺子屋」、「スキルアップ寺子屋NEO」
■DVD:「絶対☆ダイビングスキル10」、「奥義☆ダイビングスキル20」
■安全ダイビング提言集
http://safedive.or.jp/journal
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